テラーノベル
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「うおおおおっ!!」
七人は最後の力を振り絞り、安全地帯へ向かって駆け抜ける。
背後からは、耳をつんざくような轟音。
大地が揺れ、土砂が木々をなぎ倒しながら迫ってくる。
「あと少しだ!」
九条の叫びに全員が歯を食いしばった。
蒼井は天城を抱えたまま、一歩も速度を緩めない。
「このくらい……!」
「大した重さじゃねぇ!!」
黒崎と神童が左右を警戒しながら走る。
如月は何度も後ろを振り返り、不安そうに声を上げた。
「来る!」
「急いで!」
そして――
七人はほぼ同時に安全地帯へ飛び込んだ。
ドゴォォォォォォン!!
わずか数メートル後方を、大量の土砂が飲み込んでいく。
立っていた場所は跡形もなく埋まり、巨大な土砂崩れとなって山肌を覆った。
誰も言葉を発せない。
ただ荒い呼吸だけが響く。
「……助かった。」
湊がそう呟くと、全員がその場へ座り込んだ。
日下部教官は七人を見渡し、小さく頷く。
「訓練終了。」
その一言で、ようやく全員の緊張が解けた。
富山教官が七人の前へ歩み出る。
「まずは全員、無事に帰還できたことを評価します。」
七人は姿勢を正した。
「ですが、一つ聞きたいことがあります。」
富山教官は湊を見る。
「朝霧。」
「なぜ土砂崩れを予測できた?」
湊は少し考え、静かに答えた。
「予測じゃありません。」
「同じクラスに、動物と会話できる能力の女の子がいます。」
教官たちは黙って耳を傾ける。
「その子に、動物は人間より先に危険を察知することがあるって教えてもらいました。」
「鳥が一斉に飛び立ったのを見て、嫌な予感がしたんです。」
日下部教官は静かに頷いた。
「なるほど。」
「能力から得た知識を現場で活かしたわけか。」
富山教官も満足そうに頷く。
「良い判断でした。」
「知識を信じ、自分の目で確認し、行動へ移した。」
「その判断が、多くの仲間を救いました。」
湊は少し照れくさそうに笑った。
富山教官は七人全員を見渡す。
「蒼井。」
「負傷した天城を最後まで運び続けた判断は立派でした。」
「仲間を見捨てない。その覚悟は救助活動で最も大切なものです。」
「はい!」
「如月。」
「応急処置は冷静でした。」
「能力の精度はまだ伸ばせます。しかし、あの場で最善を尽くしました。」
「ありがとうございます!」
「黒崎。」
「信号炎は状況を大きく変えました。」
「落ち着いた判断でした。」
黒崎は照れ隠しのように頭をかく。
「天城。」
「負傷しながらも最後まで諦めませんでした。」
「その強さも、人を救うためには必要な力です。」
「はい!」
天城は笑顔で返事をした。
「神童。」
「状況を見極め、自分の役割を理解し、仲間を支えました。」
神童は静かに頷く。
「九条。」
「班長として最後まで責任を果たしました。」
「仲間を信じ、自らの判断で全員を導いたことを評価します。」
「ありがとうございます!」
九条は力強く返事をした。
富山教官は七人全員を見回した。
「今日、お前たちは能力だけで人を救ったわけではありません。」
「知識。」
「経験。」
「冷静な判断。」
「そして、仲間を信じる心。」
「そのすべてが揃って、初めて人は人を救うことができます。」
七人は真剣な眼差しで、その言葉を聞いていた。
「そして、今日の救助に一人だけの功労者はいません。」
「誰か一人でも欠けていたら、全員で帰ってくることはできなかったでしょう。」
静かな風が吹き抜ける。
富山教官は優しく微笑んだ。
「それが、救助です。」
日下部教官が一歩前へ出る。
「今日の経験を忘れるな。」
「以上。」
「解散。」
七人は声を揃えた。
「ありがとうございました!!」
山々に響くその声は、七人が確かに成長した証だった。
第32話 救助に必要なもの 完
コメント
1件
うわ、もう32話か!今回も熱かったですね🔥 土砂崩れからのギリギリの脱出、本当にハラハラしました。特に湊が「動物と会話できる子から学んだ知識」を実戦で活かしたシーン、まさにチームワークの勝利だなって思いました。富山教官が一人ひとりを名前で褒めるところも胸にくるものがあって。単なる能力バトルじゃなくて、知識や信頼が人を救うんだって教えてくれる、良い回でした!
20
あまね🍡💠
75