テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
―侑視点―
「ん~、美味い!!やっぱサムの作った弁当は美味いな〜」
四時間目の授業が終わって、俺は治、角名、銀で昼ごはんを食べていた。昼休みはいつもこうして治たちと一緒に屋上で昼ごはん食べて過ごしている。
「いつ見ても侑は美味しそうに食べるね。今度俺も治にお弁当作ってもらおうかな〜」
「あかん!これは俺だけの弁当なんやから!」
「おー、侑にとって治の弁当はそんな特別なんやな」
「まぁな!」
治はいつも俺より朝早く起きて弁当を作ってくれる。俺も手伝うとは言ってるのだが「セッターの指が怪我したら大変や。それに侑は料理できひんやろ」とか言うて手伝わせてくれない。
まぁ、未来の世界トップセッターの指を心配してくれるのはありがたいけど、別に俺も料理くらい作れるわ!!卵焼きくらいやけど!!
「モグモグ、べふにふつふのへんとうやへ。モグモグ」
「いや!治の弁当美味いから!」
「ほーか?モグモグ」
「え、いやなんで普通に治の言ってること分かってんの?てか、治は食べてから喋りなよ」
「え?いや、わかるやろ?」
「いや、わかんないから」
「俺もわからんかったわ。やっぱ双子やからなんかわかるんやろうな」
「銀に同感」
俺は普通に分かったけどそんなものなのかな?
俺はまた箸を進め、弁当を食べた。
もうすぐで食べ終わる所である事に俺は少し違和感を抱いた。治がまだ弁当を食べ終わってなく、箸を止めていたからだ。
「治、食べないんか?」
「え、あー……もうええかなって」
「え、でもさっきまで普通に食べてたで?」
「いや、最近ちょっと食欲なくて…」
「「「はぁ!?!?」」」
あまりの驚きに俺と角名と銀は同時に叫んでしまった。あの治が食欲ないなんてあり得ないと多分3人全員同じ事を思っていた。
「あの治がか!!」
「昼休み毎回早弁してるあの治が!!」
「『お腹いっぱい』って言葉も言わないあの治が!!」
「いやいや、俺のことどう思ってんねん」
「「「腹がブラックホールの奴」」」
「俺はカー〇ィか。別になんともあらへんから大丈夫やで」
いや、だとしてもだ。治がこんなに食べない事なんて今までないし初めてだ。流石に心配が勝つ。
「治、ホンマ熱とかないん?」
「おん、元気やで」
「ホンマか〜?」
俺は治の髪をかき上げ、自分の額と突き合わせて熱を測った。角名は隣で何やら写真を撮ってたらしいが、どうせ俺らをネタにしてネットにあげる写真だろう。額を合わせたところ特に熱くもなく、自分と同じくらいの体温だった。
「ん~、熱はなさそうやな」
「な?俺は大丈夫やって。ただ食欲がないだけや」
「だから、それ自体がおかしいんの」
「え〜、そーか?」
「「「そうや(だよ)」」」
「治、体調とかは大丈夫なん?」
「おん、大丈夫やで」
「それならええんやけど……体調悪なったらすぐに行ってな?絶対やで?」
「心配しすぎや。ホンマ大丈夫だから、心配せんでええで」
「おん…」
治は大丈夫だと言っているがやはり心配だ。
何もなかったらいいのだけど…
―放課後―
帰りのホームルームが終わり俺は帰る準備をしていた。今日は体育館の点検があるため部活は休みだ。いつもなら治の教室へ行き一緒に帰っているのだが今朝用事があると言われてしまったため、1人で帰ることになってしまった。
帰る準備を終え、俺は教室を出て家へ向かった。
下駄箱には帰る人がチラホラいた。毎日夜まで部活をしているため、帰る時に誰かがいるのは少し新鮮だった。
校門を出て、俺はいつも通りの路で家へ帰った。けど、家へ帰るまでの時間が長く感じた。
俺の家ってこんな遠かったっけ?
きっといつもは治と一緒に話して帰っているから時間が短く感じていたのだろう。治がいないだけでこんな時間の速さが違うなんて。隣に居るはずの治が居ないことに俺は少し寂しさを感じた。
「ただいまぁ」
おかえりの声もない静かな家の中に入り俺は自分の部屋へと向かった。
部屋に入ると、ここまで1人で帰ったことに疲れを感じ下の段の治のベッドに寝転んだ。
「ふふっ、サムの匂いや……」
1人だった事の寂しさがサムの匂いのおかげでかき消してくれた。その事に安心したのか睡魔が俺を襲ってきた。
「ん~、ちょっとだけ…」
そして、そのまま俺は夢の世界へと旅立った。
―治視点―
「ただいまー」
用事も終わり、俺は侑が待ってるであろう家に帰った。でも、おかえりと侑の声が聞こえず不思議に思った俺は2階の自室に居るのかと思い、階段を上がった。
「ツム、居るかー……って寝とるんかい」
部屋を開けると俺のベッドですやすやと寝ている侑の姿があった。
何なんコイツ?俺を誘ってるんか?
なんて事を思っていると、侑が俺の事に気づいて起きてしまったようだ。
「…あれぇ?サムやー。おかえりぃ」
「おん、ただいま」
まだ寝ぼけているのか言葉が緩い状態だった。
だが、そんな姿がめっちゃ可愛い。
あ、そういえば…
俺はある事を思い出し、寝ぼけて可愛い侑に尋ねた。
「なぁ、ツム」
「ん~、なにぃ」
「次の日曜日デート行かないか?」
「デート!行きたい!」
「ほな、決定な」
「おん。でもどこ行くんや?」
「ショッピングモール行かんか?俺らの誕生日プレゼント買いに行こかなって思うてて」
「ショッピングモールか。ええな。でも誕生日にしては早すぎるんちゃう?」
侑の言っている通り、まだ誕生日は2ヶ月以上先だ。そんなに早く買っても意味ないだろう。けど、俺にはそんなに“時間”がない。だから……
「まぁ、別にええやん。別に早くても損はないやろ?それに誕生日までにプレゼント買えんのは嫌やしな」
「まぁ、そうやな」
俺はそれ以上侑に疑われないようにそのまま話を進めた。
今のところ侑には何も疑われていない。
大丈夫。順調にいってる。
侑には何もバレていない。
俺はいま侑のためにできることを全てやりたい。
残された時間を全て侑に捧げたい。
それくらい侑に俺は幸せにしてもらった。笑顔にしてくれた。愛してもらった。
だから、次は俺の番だ。
最後の時間は侑にできることすべきこと全部しよう。
そして、俺は………
コメント
9件
まじでほんとに最高ぉぉ!!! チャトノベとはまた違う良さ?がありますね、はい、好きです おでこで熱無いか確かめる侑と、全く動揺しない治をみると普段からやってるんだなーって想像つくw 可愛いなほんと🤭💕 次も楽しみにしてる‼️‼️
え、流石に好きすぎてタヒぬ
うぁぁぁぁこの話の続きチャットノベルのほうで見てたからまた泣くじゃん😭😭😭侑はそんなこと気づいてないからちょっと心が痛む…🥲治のお弁当食べてみたい🤤🤤絶対美味しい…でも侑に阻止されますよねはい😌 いや、治はもうカービィだからね…!?てか堂々とイチャついてんのすき🫶🫶もうまたあれ見たら泣く自信しかない…🙃🙃🤪 続き待ってまーーーす‼️🫶🫶