今日は雨模様の空。
教室には私1人だけ。
雨の滴る音が静かな教室に響く。
とても心地いい。
5月19日。(木)
今日も紗南はくっ付いて、高い声で私に話しかけた。
少しは距離とってくれないかな。近い。鬱陶しい。
紗南は私のことが大好きって言ってたけど、私は紗南が大嫌い。
紗南のせいで、最近人と会うのがすごく嫌。
どうしてこうなるんだろう。どうして紗南は着いてくるんだろう。
やめてよ。私の人生狂わせないで。
友達は選ばないといけないね。
私は今日も最低だ。
5月20日。(金)
今日は体育の授業がある。
私の嫌いな2人組を作らないといけない。
2人組はいつも決まって、私と紗南、未羽と花乃だ。
断れるはずもなく、紗南と組む事になる。
今日の体育は身体ほぐし。
お互い体を引っ張り合ったり、押したりする。
「どっちから引っ張る?」
と、紗南が言った。
「言い方めっちゃ嫌だな」
と言って私は笑う。
「しょうがないじゃん」
紗南も笑う。
「どっちが先でもいいよ。」
「じゃあ紗南が先にしていい?」
「うん」
「引っ張ってね」
「めっちゃ引っ張ってあげる」
「痛いのは無理なんだけど!」
「大丈夫だよ」
そんなに引っ張るわけないじゃん。
触れたくもないのに。
「痛い痛い痛い」
「あ、ごめん」
痛かったらしい。
「身体硬くなった」
「そう?」
嫌味にしか聞こえない。
地面につく時点で何が硬いのかわからない。
「未羽!痛い痛い痛い!」
「ごめんごめん」
あっちは楽しそうだな。
「月!次は紗南が引っ張るよ」
「うん。」
1日でどれだけストレスは溜まるのだろう。
私はいつまでこうしていないといけないのだろう。
早く、人生の終わりが来ないかなー。
「何してんの?」
「(ビク)」
びっくりした。
この前の白髪の男の子だ。
「あ、残ってる…?」
「見たらわかるけど」
何してるってそういう事じゃないんだ。
「何書いてんの?」
「え、っと、日誌、的なの書いてます」
「日直?」
「そういうわけでは…、」
気になるのかな
「てかなんで敬語なわけ?」
「えっ、知らない人だから…」
知らない人には反射的に敬語になるものじゃない?
「黒川イザナ」
そう言った男の子。今更だけど男子、か。
「黒川さん?」
「俺16だけど。」
「えっ」
まさかの後輩。下だとは思わなかった。
「アンタは?」
「あ、鮫谷月です。」
「ふーん。」
相変わらず、素っ気ない返事だ
「あ、灰谷くんはいない、ですよ」
「別に探してないし。
敬語じゃなくていいよ」
「う、うん」
「何書いてるか見たい。」
「…これはダメ」
人に見せれるようなモノじゃない。
こんなモノ見せたら、病んでるとか言われちゃう。
「じゃ、今度みせてよ」
「今度、ね」
「じゃあ俺帰るわ」
「え、あ、うん。」
そう言って教室を出て行った。
「なんだったんだろ」
前にも言ったような気がするこの言葉。
それほど、黒川くん、が不思議な人だと思ったんだろう。
「イザナ……」
どこかで聞いたことがあるような名前。
思い出せない。と、言うことは大した事ではないのかもしれない。
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