※nottあります※
あれから2度目の春を迎えようとしていた。
ttは都心の隅で一人暮らしをはじめ、エンジニアの仕事に就いた。
元々興味のあった分野だ。忙しくても毎日が充実しているのを感じていた。
ガチャ
「ただいまー、あーメシうまかったなぁ」
「おじゃまします。」
「ttさんおかわり3回しましたもんね笑」
週末の仕事終わりにはnoと待ち合わせをして、気が向いた場所で夕食を摂る。
そしてそのままどちらかの家に帰り、土日を過ごすのが習慣になっていた。
外に出て働き、プライベートはnoと過ごす。
過去の自分が想像もできなかった未来を、ttは生きていた。
部屋の電気が消える。
noはttの上に被さり、そっと髪を撫でた。
「noさん、、」
「なんですかttさん」
「おかわりしたから腹出とるかも、、」
「ふふっ、もともと凹んでるからちょうどいいですよ」
「ほら、僕に見せて」
「ぁ、、、」
「ttさん、、きれい、、」
身体中に優しくくちびるを落とすnoは、途中ttの首元で囁いた。
「…首の傷も消えましたね」
「…ぅん、、」
「良かった…」ギュ
「…」ギュ
noが眠ったのを確認してから、ttはスマホを開く。
yaから久しぶりにLINEが来ていた。
『元気してる?』
『俺たちは変わりないよ』
yaとurの家は割りと近いところにあるが、なかなか会う機会がとれなかった。
今度久しぶりに会いに行くか、またひとつ楽しみができそうだ。
続くメッセージに、ttは唇を結んだ。
『jpも元気だから安心して』
jpとはあれ以来だが、一度だけ駅で見かけた事がある。
赤い髪に長身痩躯、目鼻立ちが整った顔は遠くにいても目立つ。
さらに痩せたようにも見えるが、エメラルドグリーンの瞳には相変わらずの人懐こさが残っていた。
足早に去っていくのをぼんやりと見つめるしかできなかった。
スマホを枕元に置き、目を閉じる。
jpは俺がいなくても前を向いて自分の脚で歩いていた。
そりゃそうだよな、いつまでも過去に怯えて取り繕ってくる人間がそばにいても苦しいだけや。
jpは償おうと、あんなに俺を大切にしてくれたのに。
ーもうお前とはいれないー
本当に愛していた。
医学的には、共依存とか何とか症候群とか言うらしい。
jpを愛するこの気持ちは、加害者に対する順応で、歪んでいて、嘘なのだと。
それでもいい、嘘だと言われても、病気だと言われても、それでも俺はjpを愛している。
震える手も遠くなる意識もjpを傷つけるだけなのに、トラウマというのはどうしてこうもコントロールができないのだろう。
それを意識するとぎこちなくなる自分がどうしようもなかったし、罪悪感が増して益々取り繕ってしまう。
悪循環を断ち切ることができなかった。
でももうそれは過去の話。
今はnoさんが隣にいる。
すごく幸せだ…
…
おねがい
いかないで…
もうすぐ夜が明ける。
noはttの声に目を開けた。
薄暗い部屋の中、横を見るとうなされているようだった。
起こさないよう髪をそっと撫でると、表情は少しずつ柔らかくなった。
「ん、、jぁp、、」ニヘ
「約束、、やで、、」ポロ
笑いながら泣くなんて、なんて器用で不器用な人なんだろう。
詰まる思いを胸にしまい、noは額に触れるだけのキスをした。
コメント
5件
やっとじっくり読めたァ!! 今回も最高だよ🥲🤍 おかわりしたから、のくだりはゆるい拒否のようで想像力かきたてられる🫶🏻
まだ好きなのに自分から離れた🦖さんも好きなのに他の人を見られてる🌷さんもどっちの気持ちもわかりすぎるし辛すぎます😢結構🌷⚡️苦手だったんですけど意外と読めて嬉しいです!!✨️