テラーノベル
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食パン
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一つずつを大切に。めぐる世界の中で出会える宝物をわすれぬように。大好きな音楽を聴きながら、私はステップを踏む。空に浮かぶ雲は見惚れてしまうほどきれいなヨーグルト色。晴れた朝は良い。あの人といるときのような、こんな爽やかさがずっと続けばいい。昨日の私は今日の私になる。
もう泣かなくていいように。
不安なんてなくなるように。
辛くならないように。
世界に明かりだけがともるように。
解放されるように。
絶対に、嘘にしないために。
段々と暗くなる空。暗いと、不安になって泣き出してしまいそうになるから、あまり好きではなかった。こんなに静かで、苦い世界になんて居たくないと。でも、あの人は夜も好きだといった。たくさんの明かりに包まれた夜の世界で。私にはこの灯が、空の暗さをより引き立たせていて、怖かったのに、あの人しかその時見えなくなって、その時だけ、私は世界で一人だけ朝に居たのだ。思い出せば、私はこの暗闇から解放された。
家に帰って、シャワーを浴びて、寝る。たっぷりと、寝るのだ。明日のために。2月の寒さの中で、少しづつ暖かくなるマシュマロみたいな布団の中で、意識を手放す。この瞬間が、一番、じゃないな、でも、好き。
先日買ってきたものを取り出しながら、鼻歌を歌いながら、私はキッチンの前に立つ。普段お菓子作りなんてしないけど、まあ、大丈夫だろう。レシピ本もあるし。あ、あと、音楽でもかけようかな。
そう、MAIA・REDの「ビタアEndチョコレエト」。これが本当に大好きなの。そう。確か、何かのアニメの曲だった気がするんだけど、そこはよく知らない。タイトル的に、暗そうなイメージなんだけど、間違っては無いんだけど、それでも強く明るい曲調が私を励ましてくれるようで、聴いた後にはいつも不安なんてどこかに行ってしまう。でも、他の曲はちょっと残念だったのも思い出してしまう。
「弾ける泡のレモンソーダ」とか「グレープ・セレナーデ」とか、とにかく、タイトルはちょっと理想的だし、曲調もいいんだけど、でも、暗い。聞いてるだけで堪えられなかった。うん。
こんなこと考える場合じゃなかったな。えっと、使う材料は・・・ビターチョコレートと、オレンジと・・・後で出せばいいよね。あの人は甘いもの苦手だし、ビターでいいかな?と思ったけど、大丈夫よね?うん。あとはオレンジもあれば、あんまりすごいチョコにならなくていい感じになるかもしれないし…。
まず、生クリームをあっためて、ビターチョコレートを溶かし入れる。この、溶かす間、ちゃんと混ざるか、結構不安なの、分かってくれる方、いるのかしら?ラップを敷いた容器に注いで、粗熱がなくなったら、冷蔵庫に入れて、2時間待つ。その間にチョコレート生地を作る。
コメント
1件
読了したよ〜!「ビターなフォンダンショコラ」、すごく繊細で切ない雰囲気が素敵だった。夜が怖いのに、あの人とだけは朝にいられたっていう感覚、めっちゃわかる気がする。音楽かけながらお菓子作りするシーンも、日常と内面の描写が絶妙に交ざってて引き込まれたわ。続き、気になる!🍫