続きです!
日帝視点
翌日、修道院の外の掲示板や役場に「クマに注意!」という貼り紙が掲示された。
シスター「本当に無事で良かった…!」
大勢のシスター達が日帝に集まり、昨日の事について聞いてくる。
シスター「誰一人怪我人が出なくて幸いでしたわね…」
シスター「どうやって逃げたんですの!?」
シスター「恐ろしい」
など様々なことを質問されるが、うまく対処しながら自室へ急いだ。また、日帝は熊よりも自分を助けてくれた生物に対して興味を持っていた。
日帝(あの生物は生物図鑑にも見たことがなかった…。一体何の生物なんだ…)
自室に向かう足をくるりと変えて、日帝は図書館へ急いだ。
図書館には人がまばらにおり、修道士や村人の両方が使用していた。初めに図書館司書のところまで行き、書庫まで案内してもらった。彼女は図書館の本はジャンル関わらず全て読破しているので、書庫でなければ探せないと思ったからであろう。
司書「ここでございます。暗いのでお気を付け下さい」
日帝「はい。ありがとうございます」
書庫には人1人いる気配は無く、日帝のみしかいなかった。
日帝(ここの書庫ならば何か見つかるはずだ…)
膨大な量の本に圧倒されながらも、「生物」の項目に何とか辿り着いた。
日帝「…あった」
しかし、やはり1項目だけでもすごい数であったのでどれを選べばいいか分からない。
日帝(虱潰しでやるしかないか…)
梯子に登り、一番隅の本を取ろうとすると下から声が聞こえた。
???「どんな生物をお探しなんだい、シスター」
日帝「!」
気配が無かったものだから驚いて下を見ると、金のブロンドの青年が日帝を見上げていた。
日帝「え、ええと…名称が分からなくて、」
???「なら特徴を言ってくれ。俺が探してやる」
彼の目が「下りろ」と催促しているように見えたので、梯子を降りる。
日帝「大きな口に長い尾で、トカゲみたいな姿なの。脚が2足、手というか爪が左右に2つ…」
???「ああ…もう大丈夫だぜ」
青年が梯子を登り、迷いもなく1冊の本を取ると日帝に渡した。
???「これに載っている”dinosaur”というやつだ」
日帝「”恐竜”…?初めて聞いたわ」
ペラリとページをめくると「古代生物」という項目ばかりが目につく。図鑑には昨日見たもの以外のものも多々載っていた。
???「そりゃそうさ、こいつらはとっくに絶滅してるんだからな」
日帝「えっ!」
図鑑から目を離し、青年の方を振り向くとすでにいなくなっていた。
日帝「ちょっと…!貴方!」
呼び掛けるが日帝の声のみが響くだけだ。気味が悪くなり、本だけを持って書庫を後にした。
日帝「まるで白昼夢でも見た気分だ…」
自室に戻り、改めて本を開く。
日帝「恐竜…”おそろしいトカゲ”の意…。生息時代は大きく4つに分けられ…これだ」
日帝は「白亜紀後期」の時代の「ティラノサウルス」という恐竜に着目した。
日帝「こいつだ…!私が見たやつと一致する…!」
正体が分かった瞬間に好奇心が心を支配し、「もう一度見たい」という気持ちが彼女に出てきてしまっていた。しかし昨日のことがあり、村全体や修道院にも森になるべく入らないように呼び掛けられている。
日帝(警戒がある程度解かれるまで待つしかないか…)
危険な橋を渡る気は全くなかったので、大人しく待つことにした。
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