コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
つづきです!!
日帝視点
数日たつと警戒は緩められ、森に狩人によってはさみ罠が設置された。村や修道院はすっかり安心し、また採集が再開された。しかし熊が以前出没したルートは変更され、新たなルートで行くこととなった。そのメンバーには自ら志願して日帝も加わった。
サラ「大丈夫なの?貴女、被害にあった張本人じゃあない…」
日帝「大丈夫だ。それに、怪我をしたらすぐ治療できるから」
「神器」を見せるとサラは安心したような顔になった。
サラ「そうよね…!神器があれば大丈夫よね…!」
サラに見送られ森の中へ入っていく。いつも通り配置を決められ、日帝も綿花を決められた時間内に採っていく。彼女は7年以上仕事に携わってきたベテランなので、籠の中はあっという間にいっぱいになってしまった。
日帝(何か…恐竜の手掛かりはないだろうか)
彼女が志願した訳は「恐竜の手掛かりをつかむ」ためだ。彼女は恐竜にもう一度会いたいと思っていたのだ。森の中にははさみ罠が多数有り、うさぎなどもかかっていた。
日帝「かわいそうに…」
熊を捕る罠が害の無いうさぎを捕らえてしまっているのを見て、罠を外して「神器」の花弁で治してやると、虫の息であったうさぎは元気よく奥へ消えていった。すると、その先から「あの時」のけたたましい鳴き声が聞こえた。森が震える感覚を感じ、シスター達の悲鳴と足音が聞こえる。
しかし日帝は冷静で、むしろ「まだいた」という安心感さえあった。遠ざかっていく声と足音にむしろ好都合だと思い、鳴き声が聞こえた場所に走っていく。しかし、恐竜の姿は既に無く、辺りを見回すと血まみれのはさみ罠があった。罠には脚の一部が残ってあり急いで駆け寄る。それを見ると「疑念から確信」へと日帝の疑問は変わった。
日帝「間違い無い…これは奴のだ」
脚の一部を「神器」で花弁に変え保存し血が続いている場所を見つけると、それを辿りながらさらに奥へと進んでいった。
かなり奥に進むと血は途切れていて、小さな小屋があった。昔狩人が使っていたのだろうか、馬小屋のような造りで木々に覆われひっそりと存在していた。小屋に近付くと低い唸り声が微かに聞こえる。そうっと覗いてみると「恐竜」はいた。
日帝「…久し振りだな。恐竜さん」
恐竜は倒れ込んでおり、瞳だけこちらを向いていた。片方の脚は血まみれで、まるで「治せ」と言っているようにも見える。
日帝「罠にお前の脚がかかっていた…治させてくれるか?」
恐竜は黙っていたが、先日の熊のような「殺気」を感じないことから、近付いて脚に花弁を吹きかけた。すると、みるみるうちに脚は結合されて元通りの脚になった。
日帝「もう大丈夫」
日帝が微笑みかけ、そっと脚に触れた。
日帝「私は…、またお前に会いたいと思っていた。先日、熊から助けてくれてありがとう。お礼を言いたかった…」
恐竜はまた低く唸って日帝を見つめる。
日帝「それと、どうしてあなたはこんな森の奥にいるんだ?仲間は?恐竜は絶滅したと本に書いてあったが………」
当然恐竜は答えるわけもなく、低く唸るだけであった。
日帝「…でも、お前のような美しい生き物を知れて良かった。また会えたらいいけれど、罠には気を付けて。」
数秒ほど恐竜と見つめ合い、小屋を後にしようとすると、日帝の胴体に急に尾が巻きついた。
日帝「!」
そのまま小屋の奥まで引き戻されて、背後に硬い感覚を感じた。それが恐竜のものだと感じると、日帝は振り返った。大きな口が目の前に現れ、べろりと顔全体を舐められた。そして身体を寄せられて、手に尾を巻いたり軽く叩かれたりしてじゃれ始めたのだ。日帝は自然と涙が出て、身体を寄せた。
日帝「お前は…まるで弟みたいだな」
ペチッと手を叩かれたと思うと、顔を近付けて寄せてきた。首辺りにはよく見ると「US」という首輪があった。
「そうだな……弟じゃない。」
恐竜は満足げに鼻をフン、と鳴らした。