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会社の経費持ちの接待が終わり、いい気分で帰宅している途中に送られてきた文章を読むべく、足を止めてスマホを見つめる。
『体調が思わしくないので、暫くの間実家に返ります。ごめんなさい』
自宅に戻る期間を告げずに、実家に帰省した明美のメッセージを読みながら、思わずニヤけてしまった。
(これで心置きなく華代のマンションに、滞在することができるじゃないか)
喜び勇んで読んでいたメッセージを閉じ、華代にメッセージを送る。妻への返信は後回し。家に帰ってからでも充分だろう。
『華代、体調はどうだ? 様子を見に、今からそっちに行きたい』
当たり障りない文面を打ち込み、すぐさま送信したら、既読のマークがついた。お互い、しばらく顔を合わせていなかったことと、寂しがり屋の華代なら、間違いなく俺のメッセージに応えてくれるだろうと予想した。
「おっ、返事がきた。どれどれ」
ウキウキしながら、返信された華代からのメッセージを読む。部長に今すぐ会いたい、早く来てという内容だと思ったのに。
『体調はぼちぼちってところです。退院後の入念な検査があるので、金曜日なら空いてます。部長はこの日、仕事だよね?』
(今日は水曜日、あと2日もある――溜まったモノを出したかったのに)
使えない女だなと卑下し、舌打ち混じりに返事を打つ。仕事で疲れた重たい足を引きずり、自宅に向けて歩を進めた。
『わかった。金曜の仕事が終わったら、華代の好きなケーキを持って会いに行く。泊まることができるから楽しみに待ってろ』
華代が喜ぶ言葉を打ち込んで、スマホをポケットにしまった。返事は見なくてもわかる。きっと嬉しいや一晩中かわいがってねなど、俺の機嫌がよくなる言葉を返すはず。
口にはしていないが、妻の明美よりも私を愛してほしいと、華代の雰囲気から察することができた。しかも30手前ということで、結婚を強く意識している。
だから要所要所で、チラッと結婚をほのめかしたら、簡単に食いついてくれたことをいいことに、華代の体を存分に弄びつつ、気持ちよく中出しし放題! しかも俺の精子の数と運動率が悪いんだから、妊娠だってしにくいだろう。
だけど今回のように、シたいときにできないんじゃ、まったく意味がない。
明美はタイミング法の時期にしかデキないし、華代も体調の良し悪しで、今夜の逢瀬を断られた。支店の若い女は月一でしか逢えないから、立場的にはキープのうちに入らない。
「もうひとりくらい、若い女を見繕ってもいいかもな。本店は華代がいるから、絶対にブッキングしない関連会社をあたってみるか」
自宅に帰ってからの、有意義な時間のつぶし方を見つけたことで、重たい足取りが一気に軽くなったのだった。