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富来 えび
122
#自分用
富来 えび
20
һагυ_彡
238
――箕輪城。
「ここからこう攻めて……」
景虎は地図を広げながら、進軍経路を指でなぞる。
「武田は途中でぐるりと回り込んで、側面へ行ってくれ」
「それがいいですわね。承知しました」
方円も地図を覗き込みながら頷いた。
「元山賊たちは山に慣れておりますので、うちが適任でございましょう♪」
そう言った直後だった。
方円の手が、ゆっくりと腰元へ伸びる。
……………正蛇の槍に手をかける。
「……」
景虎が、その動きを怪訝そうに見つめた。
「どうした、方円殿……」
「急に槍に手をかけて……??」
次の瞬間。
――グサッ!!
方円は天井へ向けて、正蛇の槍を突き上げた。
「……!!」
天井から、血が滴り落ちてくる。
「!!!???」
景虎が目を見開いた。
方円は槍を構えたまま、天井を睨む。
「……薄汚いネズミの匂い……」
「風魔の連中……!?」
そして景虎へ振り向いた。
「景虎殿は憲政様のところへ」
「お守りしなくては」
「おう!」
景虎はすぐに頷いた。
「憲政様、大丈夫でございますか!!!」
景虎がその場を離れると、方円は声をかける。
「まだそこにいるのは分かってますよ???」
「風魔のネズミさん??」
すると、背後から声が返ってきた。
「……けっ……」
「気づかなければ良かったものを……」
「方円!!お命ちょう……」
――グサッ!!
方円が、言葉の途中で槍を突き込んだ。
「ぐっ…貴様……セリフ中に攻撃とは……卑怯……な……」
「グチグチ言ってるんじゃないわよ」
方円は冷たい目で見下ろす。
「隙だらけなのが悪いんじゃない」
「それに卑怯?」
「暗殺しようとしてたあんたらが、それ言う???」
「ぐふっ……」
忍びが力なく崩れ落ちる。
しかし方円は、まだ周囲を警戒していた。
「ちっ……まだいるわね……」
「この私としたことが……」
少し考えた後、方円は微笑む。
「………まあ、こういうことも予想済みなんだけど」
そして声を上げる。
「出浦、いる???」
「はっ、ここに」
すぐに出浦盛清が姿を現した。
「状況は見ての通りよ」
方円は周囲を見渡す。
「ネズミを駆除してくれないかしら」
「はっ」
出浦は即座に頭を下げる。
「透破の三ツ者、総動員で始末いたします」
「よろしくね^^」
――――――――――
その頃。
襖が勢いよく開かれた。
「憲政様、ご無事でございますか?!」
景虎が慌てて駆け込んでくる。
「ほほほ……どうしたのじゃ、そう慌てて」
憲政はいつもの調子で笑っていた。
「忍びです!」
景虎は息を整えながら答える。
「風魔の忍びが紛れ込んでいたようで……」
「ほほほ……」
憲政は天井を見上げる。
「しかし天井が先程よりうるさいのぉ」
「追い詰められたネズミの声が聞こえる」
「……え???」
景虎が固まる。
憲政は何食わぬ顔で続けた。
「わしは耳には自信があってのぉ」
「…………」
しばし耳を澄ませる。
「ぎゃー!」
「なぜここに透破の連中が!」
「逃げろー!」
「……とか聞こえるのぉ」
「……なに」
景虎が天井を見上げた、その時。
――ばさっ。
天井から忍びが落ちてきた。
「ほほぉ……」
憲政は驚く様子もなく眺める。
「落ちてきたか、やはり」
「関東から追い出される時も、似たような状況になったからの」
「もう慣れておるわ、ほほほ」
「^^;」
景虎は何とも言えない顔になる。
憲政は落ちてきた忍びへ、のんびり声をかけた。
「ネズミのお主も災難じゃのぉ……」
そしてお茶を一口。
「ズズー……」
忍びは立ち上がろうとする。
「天井から落とされたが、むしろ好機……」
「憲政、お命ちょうだ――」
「ぐへえ!」
景虎が即座に叩き伏せる。
「……」
そして、冷たい目で忍びを見下ろした。
「始末してやる」
「ほほほほほ……」
憲政は相変わらず笑っている。
景虎は憲政の前へ立ち、決意を込めて告げた。
「憲政様!」
「決して某から離れてはなりませんぞ!」
「必ずお守りいたす!!」
「頼もしいのー」
その時――
――バサッ。
「ほほ……また落ちてきたのー」
「ひえっ!」
落ちてきた忍びは、床に転がる仲間の亡骸を見て青ざめる。
「同士の亡骸が……」
「ぐえっ……」
――――――――――
その頃、別の場所では。
――ドサッ。
また一人の忍びが地面へ転がった。
方円はその姿を見下ろし、にっこりと笑う。
「(^^)」
「一名様、地獄へまたご案内^^」
「では、さようなら」
「ぐえっ……」
忍びが倒れる。
方円は周囲を見渡した。
「ちっ……どんだけネズミを送り込んできたのかしら」
「奴らも本気みたいね……」
そして、口元に笑みを浮かべる。
「そう本気になられたら……」
「私も楽しくなってきちゃうじゃない^^」
その近くでは、一人の忍びが木に身を隠していた。
「🌳:( ; ´꒳` ;):🌳」
(やばい……あの女、楽しんでやがる……)
その時。
「ヾ(・д・` )㌧㌧」
「ん?」
忍びが振り返る。
「なんだ、いきなり背中――」
「……」
そこには、出浦盛清が立っていた。
「(^^)」
「……馬鹿な……」
忍びは青ざめる。
「俺の完璧な植物への変装……」
「うげえ……」
出浦は楽しそうに周囲を見回した。
「さーて、次のネズミはどこかな^^」
別の忍びが、その光景を見て震え上がる。
「逃げるんだ……」
「勝てるわけないよ」
「数が違いすぎる……」
そして――
「撤退ー!」
「てったーい! 泣」
忍びたちは一斉に逃げ始めた。
出浦が方円へ確認する。
「追いますか……??」
「いや、追わなくていいわ」
方円は静かに首を振った。
「憲政様の警備に、全て振り分けて」
そして、楽しそうに微笑む。
「それに……」
「生きて帰ってもらった方が、私たちの恐ろしさが分かるじゃない^^」
「なるほど」
出浦も納得したように頷く。
「承知^^」
――――――――――――
方円が憲政のもとへ戻ってくる。
「憲政様、ご無事でございますかー?」
憲政は、ほほほと笑いながら答えた。
「大丈夫じゃよ。
見ての通り、景虎殿がボッコボコにしてくれたからの」
「景虎殿に向かっていただき、正解でした」
景虎は、方円をじっと見つめる。
「……なぜ笑っているのかな」
方円は楽しそうに答えた。
「先程まで楽しんでましたから。
ネズミ狩りを」
「こういう時くらいしか、正当な試合はできませんからね」
憲政は、ほほほと笑う。
「奴らも災難じゃったのお。
ほほほほほ……」
方円は、そんな憲政を見つめる。
「随分と余裕がございますね……」
「慣れておるからの。ほほほ^^」
「ですが、ご安心くださいませ」
方円は改めて頭を下げた。
「うちの透破総動員で、ネズミが再び入らないよう警備させていただきます」
景虎は、二人のやり取りを眺めながら、遠い目をした。
「……もうついていけねえよ……」
――――――――――――
小田原城。
風魔小太郎は、戻ってきた忍びたちを睨みつけていた。
「てめえら、どうした」
「明らかに数が減ってるじゃねえか」
一人の忍びが、申し訳なさそうに頭を下げる。
「申し訳ございません。
忍び込む所まではいけたのですが……」
「まず初手で、天井にいた仲間が槍をもった方円に天井ごと貫かれ、ワンパンされました」
氏康は目を見開く。
「……は???」
忍びはさらに続ける。
「その後は、ネズミを駆除するかの如く、透破の連中に追いかけ回され……」
「散々にしてやられました」
「透破頭の出浦と方円に至っては、それを楽しんでいたありさま」
「植物に変装し身を隠していた仲間も、背中㌧㌧でさよならと……」
小太郎は拳を握りしめる。
「………おれが行くべきだったか……くそっ」
氏康も険しい顔をする。
「……想像より強いな……」
忍びは深々と頭を下げた。
「申し訳ございません。
わたくしをどうかご処罰を」
氏康は首を横に振る。
「……なぜ罰することがある」
「むしろ申し訳ない……
わしの判断の甘さで……」
その横で、氏政も俯いていた。
「………」
「申し訳ございません……私があんな書を送ったせいで」
元忠は、ようやく反省した様子の氏政を見る。
「ようやく事の重大さをおわかりいただけたようですな、若……」
しかし氏政は、すぐに考え込んだ。
「しかし、奇襲も通じないとなると……」
氏政は兵法書を読みながら考える。
すると、忍びが口を挟んだ。
「奇襲が通じないと言うよりも……」
「むしろ利用された感じかと……」
小太郎は悔しそうに歯を食いしばる。
「ぐぬぬぬ……」
「同士の仇め、ぜってい始末してやる!」
元忠は忍びを再び見る。
「……他に気づいたことはないのか」
「敵を知らねば対策はできぬが――」
すると横から、氏政が真顔で答えた。
「兵法書に忍びを逆奇襲して、ワンパンするやつ対策なんて乗ってないのですが……」
氏康は、はあと深いため息をついた。
「……はあ……」
小太郎は苛立ちを隠せない。
「くそっ、俺自ら行って始末して――」
「落ち着け?! 小太郎!」
氏康が慌てて止める。
元忠も続けた。
「そうじゃ、一人で行くのは無謀すぎる」
「数が違うんじゃぞ」
小太郎は舌打ちする。
「ちっ……厄介だ……」
「おそらく透破は、そのまま駐屯させているはず……」
すると氏政が、また妙なところに目をつけた。
「方円の昔のトラウマとかないんですか?」
「兄に追放された以外のことで」
「あと、忍びを逆に奇襲するやつ対策乗ってるやつないですかね」
「これ以外に他にないんですか、兵法書」
氏康は、再び深いため息をついた。
「……はあっ……」
元忠は困った顔をしながら答える。
「目の付け所は悪うございませんですが……」
「聞き方が宜しくないですなあ……」
「あと、兵法書なら書庫を探してくだされ」
氏政は露骨に嫌そうな顔をする。
「えー😰」
「持ってきてよ、元忠」
小太郎は再び立ち上がった。
「やっぱり俺一人でも行くぞ💢💢」
氏康が慌てて声を上げる。
「おい、お前たち!」
「小太郎を抑えろ!」
「無駄死にさせる訳にはいかん!」
周囲の忍びたちが、小太郎を必死に止める。
「落ち着いてください兄貴、泣」
「止めないでくれーー!」
「同士の仇を討つんだ💢💢」
その光景を見ながら、元忠は天を仰いだ。
「……うちは、なぜここまでまとまりがないんだ……泣」
コメント
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**美月ゆめか🌸だよ〜!!** いやもう、方円さんがかっこよすぎて泣いた😭💕 「隙だらけなのが悪いんじゃない」ってセリフ、脳内再生余裕でしたわ…! しかも出浦の「背中㌧㌧」でさよならとか草生える🤣 憲政の「慣れておる」余裕もツボったし、景虎の「もうついていけねえよ」の呆れ顔がめっちゃ想像できたよ。敵陣営の小太郎暴走シーンも含めて、キャラが生き生きしてて読んでて楽しかった〜! 次回も楽しみにしてるね⋆♡