さあ、とうとうあの日の朝です。
朝起きた時涼ちゃんは隣にはいなかった。シャワーの音が聞こえる。
ボーっとしたままその音を聞いていたが、タオルで髪を拭きながら出てきた涼ちゃんを目にして俺の身体がピクリと固まった。
「あっ、元貴…。元貴もシャワー浴びてきたら?」
「あっ、うん!」
涼ちゃんの胸元に散ったいくつもの赤いキスマークを見つけた瞬間カッと頭に血が上り慌てて浴室に飛び込んた俺は頭から冷たいシャワーを浴びる。
俺、昨日涼ちゃんと…。
思い出しただけで顔が熱い。あの時間は夢ではなく現実だったんだろうか?でもあのキスマークが全て現実だったと教えてくれる。
昨日の自分の余裕のなさとがっつき具合を思い出して頭を抱えたくなった。
とにかくいったん落ち着こう。シャワーで身体を洗い流し、しっかり身体を拭いて大きく息を吸ってから部屋に戻ったが、涼ちゃんの顔を見るのが恥ずかしくてたまらない。
でも…ベッドの端に頭を抱えて項垂れる涼ちゃんの姿が目に飛び込んできたとたんに頭がスッと冷静になった。
そうだ。俺と涼ちゃんは昨日お酒に酔っ払って一夜の間違いをおかしてしまった…ただそれだけ。熱に浮かされて夢の中にいた頭が現実に引き戻される。
なんでそんなに浮かれてたんだろう。だって涼ちゃんとやっちゃったんだよ?男の涼ちゃんと…しかもただ酔った勢いで。
「あっ…」
俺が出てきた事に気づいた涼ちゃんの肩がびくりと揺れて慌てて俺の方に顔を向ける。どうすればいいかわからないと泣きそうな表情の涼ちゃんを見て俺は心臓がギュッと掴まれたような気がした。
なんと言っていいわからず口ごもる俺に涼ちゃんはごめんと言いながら頭を下げてきた。
「ごめん、元貴。…俺酔っちゃって昨日…ホントにごめん」
涼ちゃんは泣きそうになりながらあやまってくる。
「もう、バレちゃったと思うけど、俺、ゲイなんだ」
顔をそらしながら小さい声でつぶやく。
「隠しててごめん。でも元貴や周りのみんなには迷惑かけないようにって気をつけてずっと黙ってたんだけど…まさか酔って元貴を襲っちゃうなんて…」
涼ちゃんは呻きながら頭を抱えた。
いや、確かに酔って誘われはしたがこの場合襲われたというのだろうか?襲ったのは俺の方ではないのかと俺は混乱した頭で不思議に思う。
「お願い、元貴。今回の事は酔った勢いって事でなかった事にして忘れてくれないかな?」
必死な顔で頼んでくる涼ちゃんの勢いに押されて俺がうなずくとホッとしたように一息ついた。
「ごめん。もう二度とこんな事しないから。約束する。だからお願いだからこれからも今まで通りに接してくれたら嬉しい」
どう答えていいかわからずにとりあえずもう一度うなずく。正直俺はそれほど偏見のある方ではないし、そんな事はどうでもいい。ただ …。
「そうか、よかった。ありがとう」
そう言って安心したように微笑む涼ちゃんを複雑な気持ちでながめていた俺は、いつも通りしばらく話した後じゃあねと言って部屋を後にした。
そして見つからないように電車を乗り継いで家に帰り、自分の部屋に入った途端ベッドにダイブする。
忘れてねって言われたってあんなの、あんなの忘れられるわけないじゃないか!目をつぶると勝手に昨日の涼ちゃんの姿が思い出され頭を抱えながらゴロゴロとベッドの上を転がりまくる。
酔った涼ちゃんに男が好きだと告白され、誘われて、キスをして、触り合って、そして…。
「ああ〜っ!」
溶けるように甘い視線と気持ちよさそうに喘ぐ涼ちゃんが目の裏に浮かび我知らず叫び声をあげてしまった。
「どうしよう…」
自分のものが反応しているのがわかりさらに頭を抱える。
「くそっ」
そうつぶやきながら俺は自分のものに手を伸ばした…。
もっくん側からはこんな感じです。
当然ながらもっくん涼ちゃんの色気に完全にやられてました😅
今回は涼ちゃんがかなり陰キャな分もっくんはそれほどでもありません。
コメント
7件
更新ありがとうございます。 どんどん彼の魅力に引き込まれていく様子が読んでてドキドキしました✨ これからも楽しみです💛
もっくん涼ちゃんの色気に負けていた…😂ここからどうなっちゃうんだろう…楽しみです︎︎👍
今回も最高です!!!!!!最近楽しみすぎて通知と同時に見てます😊