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❤️side
雨が、降ってきた。冷たい雨は熱された頭が冷えていくようで気持ちがよかった。
さっきのは、どう考えても俺に非がある。頭に血が昇って、若井と冷静に話し合おうともしな かった。そんなじゃだめだ。ちゃんと話合って今後のミセスにとっていい方同に進めなければ。
ミセスはこれからますます大きく、深くなってくだろう。そのフロントマンがこんなでは呆れてだからこそ涼ちゃんに危険がせまっていること、これは看過できない。若井がなぜかばうのか分からないが、大体最初から怪しかったんだ。涼ちゃんそっくりの別人で、素性もよく分からない人物、危なくないわけがない。
『そうだ、スズカが涼ちゃんを攻撃しているんだ!』
…?今のは俺の声だっただろうか、まあ、いいか。
なんだか、今まで魔法にでもかかっていたみたいだ。そうだ、スズカが何らかの力で若井を操ってるんじゃないか?だとすると若井が危ない。一刻も早くスズカと引き離さないと。
明日、明日 もう一度若井を説得しよう。
『そのついでにスズカを見つけたら殺して
しまおう』
手遅れになってないといいけど、…
💙side
元貴にすべてを隠して、結果苦しめてしまっていることがたまらなく辛かった。苦い味をかみしめながら、重い足を引きずって何とか家につ いた。空の暗雲も重なり、最悪の気分だった。
部屋に入るとシンと静まり返ったままだった。 スズカは今、いないようだ。
こんな気分で上手くいくはずがないとは思っているが、いつもの癖でギターをとりだす。次の曲、練習しとかなきゃいけねえし。
ギターと手に、元貴の言葉が繰り返し、繰り返し、頭に回った。
涼ちゃんの不調、スズカがやったのか、アオキがやったのか。…スズカは、言葉が足りない人だと思う。基本、人を巻き込まないタイプの人なんだろう。
まだ会ってから1日しか経ってないけど、俺的には、昨日の夜の告白は嘘じゃないように聞こえた。初めはそりゃかなりの衝撃だったけど、でも、涼ちゃんと一緒のふにゃりとした笑顔やケラケラと子供の様に笑う姿がたまらなく愛おしくて、涙をながして苦しむ所を見ると自分のことのように胸が痛んだ。
きっと俺の不純な感情も含まれていたんだと思うけれど、それでも俺の中でスズカと一緒に笑ったあの数時間は宝物になっている。
やはりアオキは敵だ。何の理由があろうと俺達の、元貴の大切な涼ちゃんの身体を乗っ取った。
どうか元貴も涼ちゃんもスズカも無事でいて欲しい。でも、スズカがアオキのことで苦しむ姿は、見たくない。
「俺には何ができんだろ…」
その時、玄関の方からカチャリと小さな物音がした。
急いで立ち上がりドアの鍵をかけたかどうか 記憶と逆上っていく。
確かかけたと思うけど…どうしよう、泥棒?
一応、いつでも通報できるようにしてから、静かに玄関の方へ向かう。嫌な緊張が走るが、意を決して、玄関に続く扉をそっと開け、中をのぞいた。するとそこには、ー
「っスズカ!?」
雨に当たったのか、長い髪からポタポタと雫を落としているスズカが立っていた。
スズカは俺の声にぱっと顔を上げたが、すぐにくしゃりと歪ませ、泣いてしまいそうな顔になった。
「っ、ごめん、ごめんひろと…!俺のせいだ、俺のせいで、もときと、りょうかが…」
後半は消え入りそうな声になってしまって聞きとれなかったが、声を震わせて小さく小さく、ごめんなさい、と聞こえた。
その顔は雨か涙か、流れ落ちる液体に覆われてしまってビショビショだった。
俺の身体は考えるよりも早く動いて、スズカの冷たい体を抱きしめた。段々と体温がスズカへ移って、触れ合う所だけが温かい。
「ぁ…やめて、離してひろと、ひろとが濡れちょうから、」
「いいよ、濡れたっていい。 …そんなに一人で抱えないで、俺だって一緒に背負えるから。」
また、スズカの瞳からポロポロと涙が溢れ、嗚咽がこぼれる。
その薄い体に身を寄せながら思った、
俺、涼ちゃんが好きだったんだろうな。
きっと元貴と同じ、でも違うのは涼ちゃん の目が元貴の方に向いているってこと。
だからかな、スズカがあの夜急に来たときも怖くなかった、むしろうれしかったのは。
はは、…俺、最低だ。スズカを涼ちゃんの代わりとして見てたってことだ。スズカが俺だけに本当のことを話して、俺だけに助けを求めてきたのがたまらなくうれしかった。今だって体は冷えていくのに、心だけはぬくもっていく。
何なんだ、この感情は。
恋か、友情か、憐憫か、
俺は一体誰に向けて想っているんだろうか。
でも、ずっと前から涼ちゃんにこうして触れたかった。元貴を見る優しい目で俺のことも見て欲しかった。ごめんな、スズカ、涼ちゃん、元貴、終わったら、ちゃんと今まで通りの友達に戻るから。
泣きじゃくるスズカの肩に、一滴だけ涙を落とした。
なんやかんや一週間経っておりました…あんまり進まないですね😅
あおきをアオキに変更しました、何度も変更してしまい、申し訳ないです。