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それから数日後の昼休憩。
放送が鳴った。
内容は、体育祭について。
1か月後、体育祭があるようで。
「うわぁ…私が一番嫌いなやつだよ体育祭…。」
「何言ってんの桜。」
「?」
「あんたの好きな角名が体育祭で走ってるとこ見なくていいん?」
「うっ…………。い、いや!それとこれは別だから!!」
「別やない」
「そんなスパっと…!!!ひどい!!」
「ひどくて結構」
「うぅ…青華のばかぁ……」
「馬鹿って言ったほうがバカなんやで。」
「うわぁ…それ久々に聞いた。懐かしいね。小学生のいじめっ子が言うやつじゃん。青華」
「そうじゃんwww」
「何話してんの?春咲さん、天原さん。」
「あ、角名君。」
「じゃあ、あたしはこれで」
「ちょ、青華~!」
「で、春咲さん。なに話してたの?」
「えっとですね…体育祭いやだなぁっていう話、です。」
「なんで敬語なの。春咲さんってやっぱ面白いね。」
「え?あ、うん、ありがとう…?敬語は…外しま…外すね。」
「無理に外そうとしなくていいよ。まぁ外してくれたほうが話しやすいけど。」
「あ、うん。じゃあ外すね。」
「で、体育祭、いやなの?」
「うん。私いっつも緊張してこけちゃうから……。」
「じゃあ緊張しないおまじない、教えてあげる。」
「?ありがとう。」
「手、出して。春咲さん。」
「えっ、う、うん」
え、まって、角名君に手を触られてる……今日、隕石でも落ちてくるのかな。
「こうやって、手のひらに3回人って書いて…飲み込む。」
「うん。」
「次に、ここ__労宮っていう手のひらの真ん中にあるツボを押す。」
「うん。あ、ちょっと緊張和らいだかも…?」
「今、緊張してるんだ?」
そう言って、少し意地悪に角名君が笑う。
「……うん。ちょっと。」
「なんで?」
「えっ、いや、えっと……」
「角名君、とっても顔がきれいなので……こっちを見ながら説明してくれるから……。ちょっと、緊張してる」
そう言ったら一瞬、角名君が驚いた表情をした。
「……俺も、春咲さんが真剣に、可愛い顔して説明聞いてくれるから、ちょっと緊張してた。」
「!」
ああ、顔が熱い。今、角名君が言ったことを頭の中で反芻する。
可愛いって、あの可愛い?
「……ありがとう。」
「春咲さん、すごい顔赤いよ。大丈夫?」
「えっ?うん、大丈夫!……ちょっと、照れただけ、なので……」
角名side
ああ、可愛い。
照れただけ、そう言って少し顔を赤らめる春咲さんが、太陽の光に当たって輝いていた。
恋をすることって、こんなにも楽しいことなのか。
少し、いや、大分、楽しい。
誰かが言ってた、片思いしてる時が一番楽しい。
その意味が分かった気がする。
片思いをしてて、こんなに楽しいのなら。
両思いになった時、どんなに楽しいのか。
俺は、それが知りたくなった。
「桜、さん」
「……え?今の、角名君…ですか?」
自分でもびっくりした。
「うん、そう」
「角名君に言われると、ほかの誰に言われるよりも、すごく……いい響き。自分の名前がもっと好きになれる。」
「なら、よかった。」
春咲さんは、すごく正直だ。
今も、正直に自分の思いを口にする。
でも、まだ、俺におちたわけじゃない……と思う。
絶対おとそう、そう決めた。
春咲side
角名君が紡ぐ言葉すべてが、誰かに言われるよりもいい響きに思える。
恋のマジック?
そうかもしれない。じゃなきゃ、証明できない。
もっと話していたい。
そう思ったけど、チャイムが鳴った。
「じゃあ、またね、春咲さん。」
「ねぇ、角名君。」
「?」
「今度、体育祭が終わったら、角名君を、描かせてください!」
「……!うん、いいよ。」
「でも、その代わり、春咲さんが俺のことを、俺の前で名前で呼ぶことと、体育祭でこけなかったら、描かせてあげる」
「こけないことは頑張るとして……え、名前でって……。」
「1回でいいよ。」
「え名前って……」
「5限目、始まっちゃう。じゃあね、桜さん。」
また、名前で呼んだ。
角名君は私のことをずっと、″桜さん″と呼ぶのだろうか。
なら、私も倫太郎、と呼ぶべきなのか。
とにかく、今は頑張るしかない…!!
体育祭まで、あと1か月……
「がんばろ!」
To Be Continued