テラーノベル
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⚠旧国有り
⚠ソ連×フィンランド(ほのぼの)
二人が宅飲みするだけ
続くかは知らない
冬の雪国は凍てつくように寒い。
刃物のように尖った吹雪が、体を切り裂く
はぁっ
白銀の世界に、息を吐く音だけが微かに響く。
此処は彼奴の家の前。
すっかり冷え切った指を伸ばして、チャイムを押すと、すぐに扉が開いた。
ドアの隙間から、淡い青の瞳がこちらを覗く。
「、、、、今日も来たのか」
「、、、悪いか?」
「いや、別に、、、あ、寒いだろ、入れ」
少しだけしか開かれていなかったドアが、俺が通れるぐらいの隙間になる。
暖かい光を放つ彼の家に上がるのは初めてではないが、いつも緊張する。
前までは来ない方が良かったのかな、なんて考えていた彼の言葉が「照れ」であることに気がついたのはいつ頃ぐらいだろうか。
なにはともあれ、彼は照れをあまり顔に出さない
少しずつ、ほんの少しずつ、でもしっかりと距離が縮まっていくにつれて彼が心を開いてくれているようで嬉しかった。
「今日の酒は」
「もちろん持ってきたぜ、ウォッカ」
「流石」
ストーブの前でくつろぐ彼。
俺は手慣れた手つきで未開封のウォッカを開封すると、彼に投げた
彼は一瞬目を丸くしたが、すぐに飛んでくるウォッカを受け止めた。
「あぶねーじゃん」
『ウォッカがこぼれたらどうすんだよ』と言わんばかりの目つきが、とても滑稽だった
「、、ふはッww」
「おい笑うな怪我したらどうすんだよ」
、、、、お前が怪我をしたら?
あるわけ無いだろ。ウォッカの瓶ごときで。
でもほんとに当たってしまったら。
「、、、俺が手当してやるよ」
思ったより低い声がでた。
その途端、こっちを向いていた彼がすぐにそっぽを向くと。
「はッ、、わ、わかった、、から二度とするな」
「、、照れてる?」
「ッはぁッ、、、!?んなわけ」
「ならこっち向けよ」
「無理!!!!」
可愛いな此奴
彼の隣に腰を下ろす。
いつの間に電気を消したのか、二人を照らす明かりはストーブで燃える炎か窓から微かに差し込む光だけだった。
互いに無言。音といえば家に雪が当たってポスポス言っているか、風が吹き込む音だけ
でもなぜだろう、無言の時間を気まずいとは思わない
俺はあまり喋らない方だ
隣でウォッカをあおっている此奴も
互いに無口だから成立する沈黙なのだろうか
、、、いや、違う
俺は気まずいじゃなくてこの時間が好きなのかもしれない
元宿敵である此奴とは話すことは愚か、顔を合わす機会も皆無だった
俺がこう思っているだけでお前は思っていないかもしれないけれど
『俺はお前の隣で酒が飲めるだけでも嬉しいよ』
そう思って隣に目をやる。
ストーブの柔らかい光に照らされて彼が浮かび上がる。
白まつげに隠れるサファイアのような瞳と目が合う
「、、、俺の顔になんかついてる?」
「いや、別に」
見つめすぎただろうか、、?いや、気の所為だ
慌てて目を逸らしてストーブの炎を見つめる。
体が炙られているようにに暑い
「、、、、ありがとう、ソ連」
ボソリと呟かれた言葉に俺は耳を疑う。
さっと隣に顔を向けると、ふにゃっと笑ったフィンランドが目に入った
「、、、、おう」
二人を包むように、吹雪は優しく吹く
もうすぐ吹雪は止むだろう
コメント
3件
好きすぎる、、、!