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fwak
それから1ヶ月過ぎた頃、だいたいクラスにも馴染めて、なんとかやっていけている
でも、Aの話を聞いてから不破くんとは全く話してない
お礼を言いたいけど、どうしても、Aの話が頭をよぎってしまう
まぁ、向こうもあまり関わってくるようなタイプじゃないし、普段は教室にいない
でも日に日に彼の悪い噂はどんどん多く、そしてひどいものになっていった
【あきな!危ない!!!】
『うぇ!?』
移動教室、階段を降りているとき、うっかり足を踏み外してしまった
やばい、落ちる…ッ
【え…おまえ…ッ!】
思ったより衝撃がなく、俺が引っ張られたことに気づく
Aの驚いたような声が聞こえた
『ありが…』
助けてくれた人物にお礼を言おうと振り向き…
『と……』
それが、不破くんだということに気づいた
『え、不破くん…』
「………ちゃんとまわりみとけよ」
『あ、ハイ…』
こ、ここ、怖い怖い…!!
鳥肌が…ぁ
そういって、どこかにいってしまった
【あ、あきな大丈夫か!?なんかされてない!?】
『だ、大丈夫…』
というか、いま俺怒られた!?不破くんに…まわりみとけって…確かに俺も悪かったけどさぁ…?
助けてくれたことには感謝してるけど…
そのあとはAからものすごく心配された
ほんとに何にもされてないのか?とか、怪我とかしてない?とか、心配しすぎだよね
帰りは雨が降っていた
傘をもってなかったから雨がやむまで教室でまってたんだけど、雨がやむ様子なんかなく、だんだんひどくなるばっかりで、しょーがなく、濡れて帰ることにした
これだから梅雨は好きじゃないんだよ…
{ニャー…}
『ッ!?なんだ…猫か…』
びっくりした…
『おまえも濡れちゃって…風引いちゃうぞー?』
猫なんて服もきてないんだから、相当寒いでしょ
あ…!
『そーだ!』
俺は自分の鞄からあるものを取り出した
『はい、これ!今日使ってないけど…俺のタオル!雨の当たんないとこ行って体拭こっか!』
俺は猫ちゃんを抱えて、木の陰になっているところへ運んだ
それは小さかったから、猫しか入んなかったけど…まぁ、俺は濡れても平気だし…
「……なにしてんの」
『ッえ!?不破く…こ、これは…!!』
{ニャー?}
その猫をみるなり不破くんは…
「なんだ、猫か」
『そ、そうなの!濡れてたからさ!せめて陰になるところに移動させようかなって…』
『ぁ…邪魔だった?』
もしかしたら彼の気に触れてしまっていたのかもしれないと思い、恐る恐る訪ねてみた
彼はその言葉を聞いて一瞬驚いたような顔をみせ、
「…別に、そんなこと誰も言ってないでしょ?」
『あ、ごめん』
俺が引き続き猫を拭いてると、なぜか不破くんは帰らなかった
『あのぉ~…帰んないの?』
「だって濡れるじゃん…」
雨に濡れるの嫌いなのかな…
『じゃあ、雨宿りとかすれば…』
傘なんてさして突っ立ってないで…
「?なにいってんの?君が濡れるじゃん」
え?俺?そのとき俺は彼の傘が俺に当てられているものだと気づく
『気にしなくてもいいのに…』
「嫌なら帰るけど…どうせ傘もってないんでしょ?」
『う”ッ…まぁ…』
感鋭いな…
でも俺からしたら早くこの気まずい空間を抜け出したい…
『ずっと傘さしてもらってちゃ申し訳ないし、帰りたいなら帰っていいよ?』
「……」
長い沈黙の後、不破くんが口を開いた
「じゃ、これ、使って」
そういって差し出してきたのは折り畳み傘だった
『え?申し訳ないよ!!』
「濡れて帰るよりまし
いいから、使って」
『…ありがとう、明日返すね!』
「ん」
不破くんが帰り、俺も一通り終わって帰った
みんなが思ってるより、案外優しいのかもしれない
だとしたら、噂にも裏がありそうだし、不破くんも、なんか訳があるんじゃないのかな
俺はその日、少し彼に興味をもった
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