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飲み会も終盤、テーブルには空いたジョッキと頼みすぎた枝豆の皿。
「でさぁ〜〜、那央、結局さ」
隣にいた同輩の一人が、那央の肩に肘を置いてニヤついた。
「やっぱ付き合ってんの? あの天城先輩と」
「……ん〜……?」
那央は、頬を赤く染めたまま、ゆっくりジョッキを口に運ぶ。
「……なんで……?」
「いや、見りゃわかんだろ! めっちゃ一緒にいるし、顔に出てるって。もう“彼氏です”って背中に書いてるレベル」
「……へぇ……」
「……え、ちがうの?」
ちょっとだけ間があって、那央は――
酔ったときだけの、ほんの少し甘えた声で、ぽつり。
「……うん」
「っマジか!?!?」
「やっぱり!!」「いやほら俺言ったじゃん!」
「マジで付き合ってたのか〜〜……でもさ……あの先輩ってさ」
急に声が落ちる。
「……やっぱ、デカいの?」
全員がふっと息を飲んだ。
酔ってなきゃ誰も聞けないようなテンション。
でもこの場には、酔ってる那央がいた。
那央はその言葉に、ふにゃっとした笑みを浮かべて――
ちょっと考えるように眉を下げた。
「……んとね……」
空いていた方の手を、ゆっくり自分の下腹部に添えて。
「……ここ、まで……だった」
「…………」
全員、固まる。
「……今、なんて?」
「……ここ、まで……かなぁ……?」
指で、へそ下をなぞる。
「……っ、こないだ、全部入って……そしたら、ここ、まで……♡」
「お、おま、ちょ、それ……っ!!」
「うそ、やば……」
「まじで聞いちゃったんだけど……」
「ふふ…なんか身体あつ…♡」
「おい、紺野、さすがにそれ……」
「だいじょぶ…もう慣れたからぁ…♡」
「……やばいって…那央酔いすぎ…!」
──ガタッ。
「はい、すみません」
背後から、落ち着いた低音。
天城悠馬が、軽く微笑んで、那央の肩を持ち上げた。
「こいつ、持って帰りますね」
「えっ、先輩!? い、今ちょうど…」
「全部聞いてたよ。だから、もう帰りまーす」
悠馬は困ったように笑いながら、
片手で那央の腰を抱き寄せ、すっと立ち上がる。
「お騒がせしました。あとでコンちゃんには……ちゃんと、言っとくんで」
「えっ……ゆ、うま……?」
「……コンちゃん」
悠馬は那央の耳元で、ふっと囁く。
「“ここまで”って、誰に言ってんの? 帰ったら、もう一回確かめよっか?」
「っ、やっ……♡」