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悠人が恭吾さんと話してくれ、恭吾さんは納得してくれたみたいだった。話の内容は全然聞いてないけど、恭吾さんが早く素敵な人と出会ってくれることを願った。
両親にも悠人のこと、恭吾さんのことをちゃんと話せたけど、今度は悠人に会わせろと言い出して。
とにかく私に早く結婚してほしいみたいだった。
相手が月城グループの御曹司とは言ってないけど、知ったら驚くだろう。月城グループは、恭吾さんの会社の何十倍もの規模の大企業だから。
両親は、もしそんな人をお婿さんとして迎えるとなれば、かなり荷が重いだろうし、私だって身分不相応だと思ってる。
本当にどうしたらいいんだろう。
私達は、まだ付き合ってもいない。どれだけ未来を考えても答えが出ないままで……
「いらっしゃいませ」
元気のいい挨拶から今日もまたシャルムでの1日が始まった。
私達は、悠人の予約のお客様をお迎えした。
「長瀬様、お待ちしておりました」
「あら、梨花さん。今日は顔がむくんでるみたいね。飲みすぎたのかしら?」
長瀬様が、応対した梨花さんに言った。
「ああ……そうですね……すみません。ちょっと飲みすぎちゃいました」
梨花さんの顔が、一瞬、ひきつってるように見えたのは私だけだろうか?
「長瀬様。あちらへどうぞ」
梨花さんは、長瀬様をVIPルームに案内した。
時々いらっしゃる超お金持ちの奥様。大会社の社長夫人だとお聞きしてる。
毎回、ちょっと口が悪いのが気になるけど。
特になぜか梨花さんにはかなり厳しいみたいで。
悠人は、長瀬様の施術のためにVIPルームに入った。
入れ替わりで出てきた梨花さんの表情が、さっきよりかなり強ばっている。部屋の中で何か言われたのかも知れない。
「穂乃果ちゃん、これ。あのおばさんの荷物、趣味の悪いバッグ。さっさとロッカーに入れといて。本当、ムカつく。お金持ちか何か知らないけど、ブスのくせして悠人さんを指名して。しかもVIPで2人きり。マジ気持ち悪い」
うわ……
かなり苛立ってる。
梨花さんもずいぶん口が悪い。周りに誰もいなくて良かったけど、ちょっと怖い。
「長瀬様って、いつも悠人さんを指名されてますよね。気に入ってるって……ことなんですかね」
少し気になって聞いてみた。
「ずっと昔から悠人さんを指名してるのよ。悠人さん、誰にでも優しいから。絶対、勘違いしてるんだわ、自分にだけ優しいって。60過ぎのブスのおばさんに、悠人さんが恋愛感情を抱くわけないじゃない。本当、身の程知らずもいいとこ」
「梨花さん……いくらなんでもお客様に少し言い過ぎじゃないですか?」
あまりの愚痴に、つい先輩にダメ出ししてしまった。
「あなたね。悠人さんのいとこだからって、いい気にならないで。さっさと仕事しなさい」
また怒らせてしまった……
梨花さんはとても美人だけど、性格がちょっとキツイ。何だかもったいない気がする。