テラーノベル
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____________バシャ
髪から滴る水滴が廊下の水溜まりに波紋を打つ
「あっれー、いたんだぴっぴちゃん。影薄くて気づかなかったわ」
取り巻きを両サイドに引き連れた金髪巻き毛の女がわざとらしくケタケタ笑う。
真夏のジリジリ暑苦しい気温でも崩れ知らずの厚化粧は一周まわって尊敬する。
見れば見るほど暑苦しい
「涼しくなって良かったじゃん。ついでに廊下の掃除もよろしくね」
「そうそう、その汚い顔もちょっとはマシになったんじゃない?」
「厚かましい顔もこれで少しは見れるようになったかもね」
「……」
口答えしないことをいいことに悪口のオンパレード。
髪の毛どころか全身ずぶ濡れにしておいて、まるでチャリティーにでも参加してきたかのようにスッキリした表情の3人組に、溜息とともに冷めた視線を送る。
「バケツに水汲んで先回りしてる時間があるなら廊下の掃除なんて簡単よね。お陰様で涼しくなれたし、後片付けはお任せするわ」
濡れて張り付いた前髪をかき分けて中身のない笑顔を零し、女子生徒達の横をすり抜ける。
小さく『なんなのあの女…』と背中越しに女達の悔しがる声が聞こえていたが無視した。
『裏切者のくせに』
チクッと胸が痛むのを誤魔化すように口の端を噛む。
ポタポタと制服から零れる水滴のように、いっそあの日の記憶も零れ落ちてしまえばいいのに。
例えば、靴箱を開けると上履きに大量の画鋲が入っていた日。
苦労して買った参考書がズタズタにされて焼却炉に放り込まれていた日
お前は汚いからと制服のままプールに突き飛ばされた日
教師の呼び出しでぶたれた日
体育倉庫に閉じ込められて朝を迎えた日
その度にあの日を思い出す。
大切な人達を思い出してしまう。
「バカだな、私……」
笑う顔よりも傷つけた顔の方が鮮明なのに
ほんと、どうしようもない…
ふらっぺ
114
なに?(投稿停止中
780
#ご本人様とは一切関係ありません
そらまる。
40
50
コメント
1件
読みました。ずぶ濡れの制服で廊下に立つ主人公の静かな怒りと、それでも「蓮」を思い出してしまう痛みが、水の滴る音とともに沁みてくるようでした。ギャルたちの軽薄な口調と、主人公の内面の冷えた切実さの対比が効いていて、この陰鬱な空気感をどう塗り替えていくのか、続きが気になります。