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____________バシャ
髪から滴る水滴が廊下の水溜まりに波紋を打つ
「あっれー、いたんだピッピちゃん。影薄くて気づかなかったわ」
取り巻きを両サイドに引き連れた金髪巻き毛の女がわざとらしくケタケタ笑う。
真夏のジリジリ暑苦しい気温でも崩れ知らずの厚化粧は最早パンダだ。
いわゆるケバいギャルメイクだ
「けど涼しくなって良かったね?ついでに廊下の掃除もよろしくね」
「そうそう、その汚い顔もちょっとはマシになったんじゃない?」
「裏切者に施しをー。っていうれな達の優しさ?みたいな」
髪の毛どころか制服含め全身ずぶ濡れにしといてまるでチャリティーにでも参加したかのような清々しい顔でいる。
施しの意味すら理解してない連中に最早ため息が零れる。
「そう。”偶然”お水被ったんならお礼なんて要らないよね。当然、施しの後片付けも。────施されてないんだから」
髪をかけ分けると同時に真ん中のギャルに一瞥するとその横をすり抜ける。
『なんなのあの女…』背中越しに女達の悔しがる声が聞こえてくる。
『竜神の裏切者のくせに』
チクッと胸が痛むのを誤魔化すように口の端を噛む。
ポタポタと制服から零れる水滴のように、いっそあの日の記憶も零れ落ちてしまえばいいのに。
例えば、靴箱を開けると上履きに大量の画鋲が入っていた日。
苦労して買った参考書がズタズタにされて焼却炉に放り込まれていた日
お前は汚いからと制服のままプールに突き飛ばされた日
教師の呼び出しでぶたれた日
体育倉庫に閉じ込められて朝を迎えた日
その度に彼等を思い出す。
蓮を、思い出してしまう。
「バカだな、私……」
笑う顔よりも傷つけた顔の方が鮮明なのに
ほんと、どうしようもない…
ふらっぺ
112
なに?
778
#ご本人様とは一切関係ありません
そらまる。
38
50
コメント
1件
読みました。ずぶ濡れの制服で廊下に立つ主人公の静かな怒りと、それでも「蓮」を思い出してしまう痛みが、水の滴る音とともに沁みてくるようでした。ギャルたちの軽薄な口調と、主人公の内面の冷えた切実さの対比が効いていて、この陰鬱な空気感をどう塗り替えていくのか、続きが気になります。