テラーノベル
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だが、その牙はローラまでは届かなかった。
飛びかかってきたシルバーウルフAのその腹に、ナイフが深々と刺さっている。
ローラの後ろから飛び出して来たナギが、ガラ空きになったシルバーウルフAの腹目掛け、渾身の力でナイフを突き立てたからだ。
もんどり打って倒れ込み、のたうち回るシルバーウルフA。あまりの暴れように、ナギも近付けないでいる。
それをただただ涙を流しながら、茫然と見ていたローラ。
人形のように固まったままだったのが、やがてゆっくりと視線が動き…杖をしっかりと握って、呪文を詠唱していく。
「ウインドカッター!」
腰はまだ抜けたままなのか、座りこんだまま、それでも風魔法を放つローラ。焦点があっていないように見えた目も、今はちゃんと、冒険者の目に戻っていた。
正確な軌道で風の刃が飛び、シルバーウルフAに命中する。
「ギャウゥン!!」
風の刃をいくつも受けて、動きが鈍ったところに、ナギのナイフがトドメとばかりに突き刺さり、ついにシルバーウルフAは絶命した。
カフェからは盛大な拍手が沸き起こる。
「ローラ…良かった…」
涙ぐむルリ。
お母さんか、お前は。
ユキによしよし、と頭を撫でられ慰められるルリ。滅多に見られない光景で、ちょっと面白い。
そうしている間にも戦闘は進み、最後はちびっ子剣士:トマスの一撃で幕を閉じた。
「プリンセス・ロード、ついに決着!ヒヤヒヤする場面もありましたが、可愛い4人の挑戦者が、シルバーウルフを倒しましたぁ~!!」
キーツが高らかに宣言する。
「皆さん、暖かい拍手を!!」
カフェからは割れるような拍手。そして、おっさん達によるローラコールが巻き起こった。
号泣してるおっさんもいるし。
きっと明日、ローラは接客時に、おっさん達にめちゃくちゃ可愛がられるに違いない。
こうして、スライム・ロードのお披露目は終了した。
まだまだ全貌を明かしていないスライム・ロード。ぶっちゃけ第三ステージも、べらぼうに強くなったスラっちも、まだお披露目出来ていない。
お楽しみはこれからだ。
興奮冷めやらぬ様子で、騒がしくおしゃべりしながら帰っていく人々をぼんやり眺めていたら、ゼロの慌てた声が耳に入って来た。
「わかった!すぐにいくから!!」
……どうしたんだ?いったい。
「ハク、アライン王子が呼んでるって。一緒に行こう」
……すっかり忘れてたな。
アライン王子…。
コメント
1件
お疲れさまです、第142話読みました!今回はプリンセス・ロードの決着、熱かったですね。ナギが飛び込んでシルバーウルフの腹にナイフを突き立てた場面、すごくカッコよかったです。そしてローラが腰は抜けたままでも座ってウインドカッターを放ち、“冒険者の目”を取り戻す流れ……ここが一番ぐっときました。彼女が自分で戦う意思を取り戻す瞬間、読んでてじんと来ましたよ。キーツの実況もおっさん達のローラコールも、カフェの雰囲気が目に浮かんで楽しかったです。ただ最後のアライン王子の呼び出し……これはまた新たな展開の予感ですね。次が待ち遠しいです!