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カーテンの隙間から差し込む朝の光で、〇〇はゆっくり目を覚ました。
腕の中には、まだ眠そうに目を閉じている亮。
昨夜の記憶が一気に蘇って、顔が一気に熱くなる。
「……ん……」
小さく寝返りを打つと、亮の腕がぎゅっと〇〇を抱き寄せた。
「……逃げんなよ……」
寝ぼけた声でそう呟かれて、思わず笑ってしまう。
「亮さん……起きてるんでしょ?」
「……んー……起きてない」
そう言いながらも、彼の頬がほんのり赤い。
昨夜見せた緊張も不安も、今はどこか消えていて、ただ穏やかな時間が流れていた。
「……夢じゃないよね?」と小さく呟く〇〇に、亮は瞼を開き、真っ直ぐ見つめて答える。
「夢じゃねぇ。……全部現実。……だからこれからも俺の隣にいてくれ」
胸の奥がきゅっとなって、〇〇はただ小さく頷いた。
すると亮は、満足そうに微笑み、軽く唇を重ねてきた。
朝の光に照らされたその笑顔は、昨日よりずっと柔らかく、幸せそうで。
「……○○、昨日冷たくしてごめんな。あんなこと、もう絶対しない」
「……うん。亮さんが謝ってくれて、ちゃんと伝えてくれたから……大丈夫」
彼の指が頬を撫で、髪を梳きながら落ち着いた声で囁く。
「……〇〇が笑っててくれるのが、一番嬉しい」
ふたりはそのまま、何度も何度も軽いキスを交わした。
時間が止まればいいのに――そう思えるほど、幸せで満たされた朝だった。
「今日は……休みだな」
布団の中でまだ眠そうに呟く亮に、〇〇はくすっと笑って答えた。
「うん。せっかくだし、どこか行こうよ」
「……デート?」
「うん!」
その言葉に、亮の目がふっと柔らかくなる。
照れ隠しみたいに頭をかきながらも、どこか嬉しそうだった。
午前中は並んで車に乗り込み、郊外のショッピングモールへ。
休日らしい賑わいの中、ふたりはまるで普通のカップルのように歩いた。
「これ、似合う?」
服屋で試着した〇〇が笑顔で振り向くと、亮は即答する。
「似合いすぎ。……俺以外に見せんなよ」
「なにそれ、独占欲?」
「……当たり前だろ」
お昼はフードコートで、他愛ない会話をしながら一緒に食べる。
周りから見れば本当に自然な恋人同士。
亮も少しずつ表情を緩め、〇〇の笑顔につられるように楽しそうに笑っていた。
その後、映画館へ足を運び、話題のラブコメ映画を観ることに。
スクリーンの中の主人公たちがキスするシーンで、〇〇がふいに恥ずかしそうに俯いた瞬間――亮の手が、そっと指先を絡めてきた。
「……俺らも負けてらんねぇな」
小さな声に、心臓が跳ねる。
夕暮れになり、観覧車に乗った。
「高いね……」と窓の外を見ていると、隣の亮が視線を逸らさずに呟く。
「〇〇といると……時間過ぎるのが早すぎる」
ゴンドラが頂上に差し掛かった時、亮は静かに身を寄せ、唇を重ねてきた。
「……これからも、ずっと一緒にいような」
真剣な声が、狭い空間に響いた。
〇〇は顔を赤らめながらも、小さく「うん」と頷く。
その返事に、亮は嬉しそうに目を細め、もう一度優しくキスをした。
第9話(最終章)
〜完〜