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「よし!そうしたら梅のところに行きましょうか!」
「はい!」
楡井とことはがスっと立ち上がると遥は?と首を傾げた。
「あのね、遥。これからここの総代に会いに行くの。」
「梅宮さんって言って、きっと遥さんのこと受け入れてくれますよ! 」
ニコニコと笑う2人にやっぱりよくわからなかったのか遥は首を傾げたままだが嬉しそうな雰囲気は感じ取ったのか心做しか安心しているように見える。
「よし、それじゃ少し失礼しますね…」
そう言って楡井はスっと遥を抱き上げた。改めて抱き上げるとものすごく軽い。思わず目を顰めてしまう程に。
「…行きましょうか!」
楡井は不安を感じ取られないように元気に声をだし脱衣場を後にした。
長い廊下を歩く。あまり人馴れをしていないであろうこの子に負荷がかからないように人目を避けて。暫く歩くと大きな襖の前にでる。派手な装飾が為され明らかな威圧を感じる。
ことはは遥を抱き上げ手が塞がっている楡井に変わりその襖をノックし、入っていいか声をかける。その声に呼応して中からどうぞ、と、声を掛けられる。
「…失礼します」
そう声をかけ襖を開ける。すると真正面に勢いよく立ち上がった 白髪の男とその横に控えるように立ち、胃薬を手に持つ男がいた。
「こっとはー!!!!!どうした!?兄ちゃんが恋しくなったのか!?!」
「おい!梅宮!少しは落ち着け!総代としての威厳を持ってくれ!」
梅宮、と呼ばれた男はいいじゃねーかよーと拗ねたように言う。それに対し楡井は相変わらずですね…と苦笑いをしていた。
「…と、お?楡井が抱いてる子供が蘇枋の言ってたヤツか」
「!蘇枋さんが…?」
「あぁ、ちょっと前にここに報告に来たぞ」
蘇枋が来ていたとは知らなかった。流石で気の利く男は一味違う。楡井は脳内の中の自身の師匠を思い浮かべるとにこやかにそんなことないよ〜と返された。
「じゃあこの子のことは知ってたのね。」
「あぁ、2人がここに来たのもその子のことだろ?聞かせてくれ」
楡井とことはは遥について説明していく。そして最後に
「あのね、梅。お願いなんだけど、この子をここで育てさせて欲しいの。私、この子に帰る家をあげたい。」
「俺からも、お願いします。ここは暖かい場所だから。この子に安心出来る場所をあげたいんです。」
お願いします!と、2人が頭を下げる。それに対して梅宮は2人ではなく遥の方を見た。
「…遥って言ったな。遥はここで暮らしたいか?」
遥は梅宮の問に対して目線を彷徨わせどう返答すれば良いのか悩んでいるようだった。
「お前の思っていることでいい。もし、ここに住むんだったら楡井やことはとも毎日のように会えるし、毎日暖かいメシを皆で食える。暖かい布団で寝起きできて、何よりお前にとって楽しい生活を与えてやれると思う。
その上で、お前はどうしたい?ここに住みたいか?」
暫く遥が視線を彷徨わせたあと、力強く梅宮の目を見てこくりと頷いた。それを見てことはと楡井はぱあっと顔を綻ばせ。柊も安心したように笑った。
「よし!じゃあ改めて、俺を梅宮一だ!これからよろしくな!遥! 」
梅宮は遥の前に膝を付き、太陽のような暖かい笑みを浮かべて遥の頭に手を添えた。
続く