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【最終章:隠された愛の刻印(しるし)】
深夜のスタジオで繰り広げられた、8人による執拗な蹂躙。
意識が遠のく中で目黒が最後に見たのは、自分を愛おしそうに見つめながら、代わる代わる身体に痕を刻みつけていくメンバーたちの、狂気じみた笑顔だった。
数時間後、生放送の歌番組の楽屋。
目黒は、全身を襲う鉛のような倦怠感と、肌を焼くようなヒリヒリとした痛みに耐えながら、鏡の前に座っていた。
「……目黒くん、顔色悪いよ? 大丈夫?」
ヘアメイクの女性が心配そうに声をかけるが、目黒はプロの微笑みを浮かべて答える。
「……大丈夫です。昨日、少し遅くまでドラマのセリフを覚えていたので」
嘘だ。
その衣装のタートルネックの下には、岩本が付けたどす黒い噛み痕がある。
太腿には、阿部が計算して配置した指の痕が。
腰には、ラウールが「僕だけのもの」と執拗に吸い付いた生々しい痕。
衣装の下は、もはや真っ白な肌などどこにも残っていない。8人の男たちの執着をパッチワークのように繋ぎ合わせた、歪なキャンバス。
「よし、本番5分前! スノーマンの皆さん、スタンバイお願いします!」
スタッフの声に、メンバーたちが一斉に立ち上がる。
楽屋を出る直前、岩本が目黒の横を通り過ぎざま、耳元で低く囁いた。
「……いいか、蓮。その衣装の下に、俺たちの愛が全部隠れてる。……それを意識して歌えよ」
「……わかってます。……照くん」
目黒は、自分を壊した張本人である岩本の瞳を見つめ、陶酔したような笑みを返した。
もう、恐怖はない。
彼らに徹底的に愛され、汚され、壊されることでしか、自分の「アイドルの価値」を感じられなくなっていた。
【生放送:ステージ上】
きらびやかなライト、降り注ぐ特効の銀テープ、そして数万人のファンの絶叫。
カメラが目黒のアップを抜く。
「……♪ いつもそばに……君は僕のもの……」
目黒は、ドラマのラブシーンで見せたものより、遥かに艶やかで、狂おしいほどに切ない表情で歌い上げた。
その指先が、首元の衣装をなぞる。
その下にある、深澤が付けた「本命」の印。
カメラの向こうのファンは、そのセクシーな仕草に熱狂するが、目黒が見つめているのは、ステージの袖で不敵に笑うメンバーたちだけだった。
(……俺は、みんながいないと、もう呼吸もできない)
誰よりも輝くセンター。
けれどその実態は、8人の男たちの欲望によってのみ生かされている、糸の切れた操り人形。
曲が終わる。
降り注ぐ拍手の中で、目黒はラウールの手を取り、岩本と視線を交わし、観客に向かって最高の笑顔で一礼した。
完璧な共依存。
芸能界という巨大な虚構の中で、9人は誰にも言えない「秘密の愛」という檻に閉じ込められたまま、永遠に踊り続ける。
その身体に刻まれた無数の痕こそが、目黒蓮が世界で一番愛されているという、唯一の証明なのだから。
(完)
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