蝉の鳴き声で、憂鬱な朝を迎える。
絡まった髪をくしでイライラしながら解く。
可愛いセーラー服を着て、母の声も聞く耳持たずにドアを開ける。
肌が白い友達と学校まで行き、放課後に遊ぶ。
放課後になると、友達が忘れ物をしたそうで、取りに行く間木陰に座って待機していると、強烈な眠気が襲ってきた。
海に行こう
そんな声がした気がして、立ち上がるともう夕日が出ている。
友達は私の横にいて、私の方をじっくり見ていた。
何時間も寝ていたようで、話を聞いていると突然アイスを口に入れられた
急にびっくりして、冷たっ。と声を上げたら友達は急に
「海に行こう」
起きる時に聞こえた事と同じで戸惑ってしまったが、友達に腕を引っ張られ近くの綺麗な海にと向かった
友達は裸足になり、砂浜を走り始めた。
友達は少し走ると、息を吐いて、息を吸い、海に入った
私はそれを見ているだけだったが、その後自然と身体が動き、気付けば友達の隣に居た
友達は涙を流しながら私にこう言い放った。
「海は綺麗だね」
嬉し涙なのか悲しいのか、分からない。
けれど、けれど
私はこんなつまらない世界がその時だけ少しマシに見えた
私は彼女にこう言った
「2人で逃げ出そうよ。」
彼女は瞳を閉じ、私の手を握った
あの時だけはとても自由になれた気がした。
その後彼女の姿はなかった
そっか。
彼女はもういない。
退屈で生きる意味もない私に逢いに来てくれたのね
毎年、その日、その時間には砂浜を走って笑う。
その日だけは、なんだか特別な気がするから__
コメント
5件
内容がすって入ってくるいい作品だった!!!✨✨✨
凄く想像力を掻き立てられる小説でした! 特に題名からも連想出来るというのがこれまた 素敵でした! 亡くなってしまっても…心の中や記憶の中ではまだ生きてますからね 凄く夏らしい爽やかさがあって凄く素敵です!