テラーノベル
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席替えから二週間。
隣同士になってから、二人が話す機会は少しずつ増えていた。
「おはよう。」
朝、教室へ入ってきた伊波ライが席に着く。
「お、おはよう! ライくん!」
まだ少し緊張しながらも、マナは笑顔で挨拶を返す。
「今日も眠そうだな。」
「昨日ゲームしすぎてもうた……。」
「自業自得じゃん。」
ライが笑うと、マナもつられて笑った。
そんな何気ない会話ができるようになったことが、マナは嬉しくて仕方なかった。
(前までは挨拶すら緊張してたのになぁ……。)
⸻
四時間目は数学。
「じゃあ、この問題解ける人。」
先生が黒板を指す。
教室が静まり返る。
「伊波。」
「はい。」
ライはすっと立ち上がり、迷いなく黒板へ向かった。
チョークを走らせる音だけが教室に響く。
数分後。
「はい、できました。」
「正解。さすが伊波。」
先生が頷く。
教室から「すげー」という声が上がった。
(やっぱライくんすごい……。)
マナは思わず見とれてしまう。
黒板の前で問題を解いている姿が、いつもより何倍もかっこよく見えた。
「緋八。」
「えっ!」
突然名前を呼ばれ、飛び上がる。
「先生の話聞いてるか?」
「あ……はい!」
教室中が笑いに包まれた。
マナは顔を真っ赤にして机に伏せる。
(見すぎたぁぁ……!)
その様子をライは横目で見て、小さく笑っていた。
⸻
放課後。
「ライくん。」
「ん?」
帰ろうとしていたライを、マナが呼び止める。
「今日も数学教えてもらってもええ?」
ライは少し驚いたあと、笑顔で頷く。
「もちろん。」
「ありがとう!」
その一言だけで、マナは満面の笑みになる。
⸻
教室には二人だけ。
窓から差し込む夕日が机をオレンジ色に染めていた。
「この問題やねんけど……。」
マナがノートを差し出す。
「ここまでは合ってる。」
ライはノートを見ながら説明を始める。
「この式を先に整理すると考えやすいよ。」
「なるほど……。」
マナは真剣に聞きながらノートを取る。
「じゃあ次、自分でやってみ。」
「よし……。」
数分後。
「できた!」
「うん、今度は合ってる。」
ライが丸をつける。
「やったー!」
嬉しそうに笑うマナを見て、ライも自然と笑顔になる。
「ライくん先生やったら、俺絶対数学好きになる。」
「それは言いすぎ。」
「ほんまやって!」
その笑顔を見ていると、ライもつい笑ってしまう。
(こんなに素直に喜ぶやつなんだ。)
⸻
帰る準備をしていると、マナの消しゴムが机から転がった。
「あっ。」
ライが拾おうとしたのと同時に、マナも手を伸ばす。
コツン。
二人の手が軽く触れた。
「……!」
「ご、ごめん!」
マナは慌てて手を引っ込める。
「いや、俺も同時だったし。」
ライは何事もなかったように消しゴムを渡した。
「はい。」
「ありがと……。」
マナは消しゴムを受け取る。
(手……触れてもうた……。)
鼓動がどんどん速くなる。
ライはそんなマナの様子を見て、不思議そうに首をかしげた。
(また顔赤い。)
(俺といると毎回こうなるな……。)
⸻
翌日。
昼休み。
「ライ、今度の体育祭の種目決めた?」
星導が聞く。
「まだ。」
「リレー出ない?」
「考えとく。」
その会話を聞いていたマナは、体育祭のプリントを見つめた。
(ライくん、リレー出るんかな……。)
(もし同じ競技になれたらええな。)
そんなことを考えていると、
「緋八。」
「えっ?」
ライが振り返る。
「体育祭、何出るか決めた?」
突然話しかけられ、マナは一瞬固まる。
「ま、まだ!」
「じゃあ一緒に見て決める?」
その何気ない一言だけで、胸がいっぱいになる。
「……うん!」
マナは嬉しそうに笑った。
その笑顔を見たライは思う。
(最近、緋八と話すの楽しいな。)
気づけば、自分から話しかけることも増えていた。
まだ恋ではない。
でも、「もっと一緒にいたい」と思う気持ちは、少しずつ芽生え始めていた。
コメント
1件
しろさん、第3話読んだよ〜!📚✨ 隣同士になってからの距離感の縮まり方がめっちゃエモい…!特に数学の問題解いてるライくんにマナちゃんが見とれてるシーンとか、めっちゃわかるしドキドキしたよ〜😭💕 夕日の教室で手が触れるとこ、そこで慌てちゃうマナちゃんが可愛すぎるし、ライくんが「話すの楽しい」って気づき始めてるところ、きゅんってなった!! まだ恋じゃないけど「もっと一緒にいたい」って思うの、青春って感じで最高です…! 次回も楽しみにしてるね〜☆🎀
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ナギサノサナギ
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