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狐十@アイコン変えた!!
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あの夜から、二週間が経っていた。
首筋に残っていた跡は、もうほとんど分からないほどに薄くなっている。だが舜太は、シャツの襟を直すたびに、指先でそっとその場所に触れる癖がついていた。跡が消えていくことを、少しだけ寂しく思う自分がいることに、我ながら苦笑してしまう。
「今日も来たんだ」
閉店間際、いつものカウンターに腰掛ける舜太を見て、柔太朗が声をかけた。
「柔太朗さんの顔見んと、一日が終わった気がせえへんくなってきました」
「随分と、餌付けされたね」
「餌付けしたんは、そっちでしょ」
軽口を叩き合いながら、舜太は左手を掲げてみせた。薬指に嵌まった指輪が、間接照明の下で、控えめな光を放っている。
「やっと、実感湧いてきました。俺ら、ちゃんとつながったんだって」
「大げさな」
柔太朗は小さく笑い、舜太の隣に腰を下ろした。営業中には決してしない、ただの恋人としての時間だった。
「後悔してない? こんな、人間じゃない相手を選んで」
ふと、柔太朗が真面目な調子で尋ねた。何度目かになる、この問いだった。柔太朗の中には、まだ完全には拭いきれない不安が、小さく残り続けている。何百年と生きる自分と、限りある命を持つ人間との関係が、この先どうなっていくのか。簡単に予想できる未来を、受け入れられない。
舜太はしばらく黙って、柔太朗の横顔を見つめていた。
「後悔なんて、するわけないでしょう」
きっぱりとした声だった。
「どうでもよくなってたあの夜、たまたまこの店に流れ着いただけです。それが今は、こうして恋人になって、指輪まであって。こんな贅沢な話、そうそうないと思いますけど」
「先のことは、分からないよ」
「分からへんことだらけの方が、俺には性に合うてます。だから、柔太朗さんも、あんまり先回りして怖がらんといてください」
舜太はそう言って、柔太朗の手を握った。指輪同士が、小さく触れ合う音がした。
「それに」
舜太は悪戯っぽく目を細めて続けた。
「先のことがどうなろうと、俺、簡単には逃がしませんから。前にも言いましたよね」
その言い方に、柔太朗はふっと肩の力を抜いた。根拠も何もない言葉にすら、今ではすっかり安心させられる。その事実を、もう不思議とは思わなくなっていた。
「舜太くんには、敵わないな」
「最初っからそう言うてるでしょう」
舜太は満足そうに笑い、柔太朗の肩に頭を預けた。窓の外では、いつものように、静かな夜の気配が満ちている。
甘く、そして危うい。その均衡の上で、二人の恋は、これからも続いていく。
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