onkn / srnk
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冬。
夜中の気温はかなり低く、眼球が凍ってしまいそうな程外は冷たかった。
家からジャージで飛び出してきたもんだから、皮膚は壊死する勢いで赤くなり、痛みが身体を巡った。
吐き出された息は白く、息とともに漏れだした声は中々に情けなくて。
震えきった、弱々しい声。
涙が頬を伝って、手に落ちた。
人肌温度のその水分に、また何かが込み上げてきた。
息が詰まり、噎せ返る。
「 げほ、っ、…ごほ、…っ、! 」
苦しい。痛い。
肺が破れそう。骨が身体を突き抜けそう。
乾燥とその冷え切った気温から手の皮膚が切れ、次第に血が雪の上に落ちていった。
真っ白なその雪は、俺の血液でたちまち紅くなり、
雪は元々紅いのではないか、と思わせる程にあたりは一面に染まっていた。
「…、っ…ニキ!!」
そんなことをぼんやり考えていると、途端に響く俺の名を叫ぶ声。
勢いに任せて振り返ると、息を切らした彼がそこに立っていた。
膝に手を付き、深呼吸して。
「っ、…ごめん、…」
気まずい空間を悪化させるように、彼はそう口にした。
なんで彼が謝るのだろう。
いつも推測ばかり。
俺がああしたからかもしれない、これが機嫌を損ねたのかもしれない、と、彼はよく考え込む。
実際は違うのに。
やむを得ないことでも人間嫉妬してしまう。
それはもう彼のせいではなく、半分以上自分のせいで。
それなのに、自分を責めてばかりの彼に、多少の不満があって。
「いつになったら、俺の声、聞いてくれるの?」
推測で自分を責めないでよ。
ちょっとは俺に迷惑かけてよ。
最終的には、もっと頼って欲しくて。
それが素直に言えなかった自分が何より大嫌い。
けど、どんな形であれ伝えられたのなら。
それで良かったんだ。
溢れかえる涙は拭うことなく、俺の手は真っ直ぐに、彼の頬まで伸びていった。
白く透き通るような彼の肌に、自分の血液で紅く汚して。
コメント
4件
走ってくるせんせーかっこいいすき🫶🏻 表現凄すぎますほんとに、!!
頼られたいけど素直に言えないニキくん超大好きですぅぅ😭😭改行とかでそのシチュの時の間(?)とかが分かりやすくてんとに読みやすいです…