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俺の名前は若井滉斗
カウンセラーをしている
最近は藤澤涼架くんのカウンセリングを主にしている
聞けば藤澤くんは相当複雑な環境で育ってきたらしい
だけど持ち前の明るさてなんとか乗り切っているらしい
今日は一回目のカウンセリング
一度藤澤くんと話をしてみよう
h「こんにちは」
r「こんにちは」ニコッ
h「名前は藤澤涼架くんでよかったよね?」
r「はいっ」ニコッ
すごい笑顔の子だ
でも
引き攣ってる?
無理して笑ってるみたいな…
h「学校はどう?楽しい?」
r「学校?」
「うん」
「すっごく楽しいよ」
「僕、学校大好き」ニコッ
h「そうなんだね」
「大変なこととかはないの?」
r「う〜ん」
「ないかな〜」ニコッ
「あっ」
「勉強がめっちゃ大変」
「僕、頭悪くて」
「あははっ」ニコッ
h「そっか」
「これから頑張って勉強しないとね」
「俺でよければ教えるから来なよ」
r「いいの?」
h「うん」
r「やったぁ〜」ニコッ
h「趣味とかあるの?」
r「フルートとか…ピアノとかかな」ニコッ
h「へぇ〜」
「かっこいいねぇ」
r「あははっ」ニコッ
h「友達とかは?」
「どんな子と仲がいいの?」
r「僕ね、友達いないの」
「あっ」
「最近できたかも」
「大森元貴くんって子なんだけど」
大森元貴…つい最近までカウンセリングしてた不登校の子だ
もう虐められなくなったって言って大森くんのカウンセリングは終了したけど
大森くんの虐めに藤澤くんが関わってそうだな
h「大森くんとはどうやって仲良くなったの?」
r「えっとねぇ」
「大森くんが叩かれてたからね」
「やめなよ〜って言ったの」
「そしたら大森くんはもう虐められなくなったんだよね」
「そこから仲良くなった」
「まぁ僕が仲間外れになっちゃったんだけど」
「あははっ」ニコッ
やっぱり
大森くんを虐めてた奴らが
藤澤くんを虐め始めたんだ
大森くんを虐めてたのを藤澤くんが止めたから
奴らはそれが面白くなかったんだ
だから標的を変えた
h「仲間外れは嫌じゃないの?」
r「うん!」
「大森くんが虐められなくなったからもうおっけー」ニコッ
俺はこの子をみて心が痛んだ
なんて健気な子なんだ
健気すぎて辛い
h「そっかぁ」
「よかったね」
r「あははっ」ニコッ
h「辛いと思った時はいつでも来てね」
r「僕、辛いと思ったことないからな〜」ニコッ
h「まぁ辛くなくてもいつでも話しに来てね」
「楽しかったこととかどうでもいいこととかなんでもいいからさ」
r「わかった!」
「ありがとうございました」
「さよ〜なら」ニコッ
h「さようなら」
それから藤澤くんが来ることはなかった
俺が藤澤涼架の名前を聞いたのは初めてのカウンセリングから3日後
1「なぁ知ってる?」
「2組の藤澤さ自殺したらしいよ」
2「知ってる知ってる」
「首吊って死んだんだろ?」
「こぇーよな」
1「それな」
「笑」
2「笑笑」
ドサッ
その話を聞いた瞬間、俺は持っている荷物を床に落とした
1「どしたの〜若井先生?」
h「いや、なんもない」
「手が滑っただけ」
1「おっけ」
俺は小走りでその場を離れた
藤澤くんが死んだ?
本当に?
俺は一度職員室に噂を確かめに行った
職員室はやけにざわついていた
嫌な予感がする
h「藤澤くんが死んだって本当なんですか?」
3「それが本当みたいでさ」
「今朝大森くんが藤澤くんの家に行ったら首を吊った藤澤くんがいたらしいよ」
h「マジかよ」
だんだん現実だということを脳が実感し始める
意識が遠のく
?「若井先生」
?「若井せんせ!」
h「んぁ」
「元貴?」
m「そうです大森元貴です」
「涼ちゃん…藤澤涼架のことなんですけども」
「放課後、空き教室来てくれません?」
「見せたいものがあって」
h「ん?」
「わかった」
m「では」
「失礼しました」
見せたいものか…
藤澤くん関連のもの…
俺は考えるのをやめた
放課後
m「遅いです若井先生」
h「先生だって色々あるの」
「で」
「見せたいものって?」
m「これです」
俺は一冊の日記を渡された
h「日記?」
m「はい」
「涼ちゃんが… 書いてたものっ…ですヒグッ」
元貴が急に泣き始めた
h「大丈夫か?」
m「いいからグスッ」
「中身読んでください」
俺は日記を開いた
h「は?」
日記を開くと言葉が書かれている全てのページに涙で濡れた跡があった
物がなくなったこと
元貴のこと
俺のことも書いてあった
ばいばいか…
死ぬ前に書いたのだろう
最後まで読んだところで俺は日記に続きがあることに気がついた
辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い
なんでみんな僕をそんな目で見るの?
可哀想な蔑むような冷たい目で
せっかく友達ができたと思ったのに
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
そんな目で見るなら見ないでよ
理解できないでしょ?
僕が嫌い?
僕はこの世にいちゃダメ?
僕は僕は僕は
あぁそっか
僕がいるからみんな不幸なのか
僕を虐める奴も
大森くんも
みんな!
あぁもういいや
なにも見えない
かき消せない
今の僕はどんなに醜いだろうか
理解されないなら消えるしかないよね
もう戻れないから
終わらせるね
淡々と書かれている絶望
俺は頭を殴られたような衝撃を感じた
次のページを捲る
生きたかったな
俺の涙腺はそこで崩壊した
h「ごめんっ」
「気づいてあげられなくてごめん」
「なにもしてあげられなくてごめん」
「充分涼架は頑張ったよ」
「溜め込まなくてもいいよって」
「声をかけてあげればよかった」
「ごめん」
「ごめんなぁ」
m「なんなんだよっ」
「涼ちゃんが死んで」
「涼ちゃんをこんなにした奴らはのうのうと生きてる」
「なんなんだよ…」
「こんな世界」
「クソ喰らえだ」
「うわぁぁぁぁ”あ」
h「なぁ元貴?」
m「なにっ?ヒグッ」
h「死なない?」
「涼架一人にはできないや」
m「賛成」
戻れない香りが漂ってきた
ごめんね涼架
こんな俺を許して
1「大森と若井先生も自殺したんだってよ」
2「藤澤のタタリみたいじゃね?」
1「こっわ」
「笑」
end