ある日のいれいすハウス。リビングのソファに座るないこは、なぜか帽子を深くかぶり、ダイイングメッセージのようなメモ帳を広げていた。
「…ふむ、これは見逃せない事件の匂いがしますね」
その隣で、ゲームしていた悠佑がちらりと見る。「また始まったの?名探偵モード」
「始まった、じゃないんです。これはもう始まってるんですよ。Ifさんと初兎さん、最近距離近くないですか?昨日もコンビニで偶然出くわしたら、ふたりで同じアイス選んで、しかも“半分こ”してたんですよ!」
「…仲いいねぇ」
「しかも!ほとけさんとりうらくん。最近毎日通話してますよね。“またいつもの時間に”って…なにその謎ワード。絶対怪しい」
「いや、それはただの仲良しでは」
「いいですか悠佑さん。仲良しで“通話時間固定”なんてしません。あれはもう“スケジュールに組まれてる関係”です。付き合ってるやつです」
悠佑がポカンとしてる間に、ないこはサッとトレンチコート(風パーカー)を羽織り、帽子を押さえながら囁いた。
「尾行開始です」
その日の昼、コンビニの前。ないこは自販機の陰からIfと初兎の様子をガン見していた。
「…見てください。Ifさんが抹茶アイスを取った瞬間、初兎さんも“それ~、僕も食べたいやつ~”って!そして“じゃあ半分こする?”って!カップルか!」
「いや、それだけで断定すんなって」
「極めつけはそのあと。“初兎、口についてるよ”って言って指で拭ったんですよ!?悠佑さん!もうこれラブコメの確定演出ですよ!!」
「え、どこで連ドラ化したの」
帰宅後も興奮冷めやらぬないこは、今度は夜のディスコードで起こった異変を報告してきた。
「昨日、ほとけさんとりうらくんがほぼ同時にログインして、“じゃ、いつものやつ”って言ってカメラONにしたんですよ!?え?“いつもの”?配信じゃないのに!?それもう同棲してるみたいなテンションじゃないですか!?」
「妄想すごすぎない?」
「証拠を掴むためには、直接聞くしかありません…行きましょう、尋問です」
というわけで、ないこは突然Ifと初兎の部屋をノックし、爽やかすぎる笑顔で登場。
「お茶持ってきました~。ついでに聞きたいんですけど、昨日の寝落ち通話、7時間って本当ですか?」
「ぶっ!な、なんで知ってるの!?」とアイスティー吹き出す初兎。
Ifは目を伏せて、「ないこ、それは…ちょっとプライベートすぎない?」と大人の対応を見せるも、ないこはスッと手帳を取り出す。
「“プライベートすぎる”=“話せない何かがある”=“やましい”というロジックですね、了解です!」
そして次は、りうらとほとけの配信部屋に乱入。
「こんにちは~!…ところで、最近の“『じゃあまた、いつもの時間に』発言”について、お二人の口から詳細をいただけますか?」
りうらは明らかに動揺し、「そ、それは…まぁ…たまたま、っていうか、偶然で…」と目を泳がせる。
しかしほとけは微笑みながら、「うーん、偶然が何度も重なると運命って言うんじゃない?」と、どこか含みのある言い方。
「それ!絶対わざとですよね!?付き合ってる人が言うセリフ!!!」とないこが叫ぶと、二人は顔を見合わせて笑うばかり。
その夜、リビングに全員集合。ホワイトボードの前には、ないこの手による“関係図”が完成していた。
「結論。If×初兎は“明らかに甘々”、ほとけ×りうらは“運命的共犯”。よって、どちらも“限りなく交際に近い状態”にあると判断します!!!」と、堂々のプレゼン。
Ifが苦笑しながらぽつりと漏らす。「…まぁ、バレたってことでいいか」
初兎は赤くなりながらも、「隠すのもそろそろ無理あるよね…」とこくり。
りうらはクッションで顔を隠しながら、「名探偵の目、鋭すぎる…」と呟き、ほとけは笑いながら「バレるなら、ないちゃんで良かったかもね」と一言。
悠佑があきれた顔で言った。「で、結局ないこは何がしたかったの?」
ないこは帽子をくるりと回しながら、満面の笑みで答えた。
「キラキラしてる恋って、やっぱり一番の謎ときですよね♪」
「…次回、『名探偵ないこ、今度はカップル成立させにくるってよ』──Coming Soon
コメント
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申し訳ありません。知識不足でした。ご指摘ありがとうございます。🙇🙇
コメント失礼します。 もちまる様の投稿されている作品はnmmnに含まれます。 そのため、nmmnルール・公式ルールに則り、『タイトル』の変更をお願い致します。 こちらでの説明では長文になりますので、詳しくは当方が投稿している「nmmnルールについて」を閲覧してください。 単語の変更、削除は下記にまとめました。 「ないこ」→「桃」