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「つまり僕は、“暴く”ところまでは成功したんですよ。けどね…」
ないこはホワイトボードの前に立ち、眼鏡をクイッと上げる(伊達眼鏡)。
「“交際を正式に認めさせる”ところまでは、まだ行ってないんです!!!」
悠佑はまたもソファでぐったりしながら言った。「いや、まろたちもうバレた時点で認めてたじゃん…」
「甘い!甘すぎる!“まあ、バレたってことでいいか”と“付き合ってます”は天と地ほどの差があるんです!」
ないこの中で“カップル成立”とは、「本人たちの口から、はっきり宣言される」ことを指すらしい。というわけで、今日の任務は──
【カップル公認大作戦】
作戦開始は昼下がり。ないこは、リビングにIfと初兎を呼び出した。
「はい、では突然ですが、質問です。おふたりは、お付き合い、されてますか?」
初兎、唐突すぎてジュース噴き出す。
「ぶはっ!ないちゃんまたそのテンション!?前にもやったやろ!」
Ifは落ち着いてるが、目線が泳いでいる。
「うーん、それって…今ここで言う感じの話…?」
「はい、言ってください。記録しますので」
「記録!?どこに!?てか誰のために!?」
「全国にそこら中にいるいふしょーファンのためです!!」
「勝手に背負うな!!!!」
粘るないこに押され、Ifと初兎はついに顔を見合わせて──
If「…はい、付き合ってます」
初兎「言っちゃったぁあああぁ!?てかなんで僕がこんな公の場で…!?」
ないこ「証言、録音完了。──カップル成立、おめでとうございます!!」
部屋中にクラッカー(手作り)と紙吹雪(折り紙)が舞う。突然のお祝いムードに、初兎は手で顔を覆って赤くなっていた。
一方その頃、隣の部屋では──
りうら「ねえ、いむ、もし今ここにないくんが来たら絶対“付き合ってますか”って聞いてくるよね」
ほとけ「うん、99%来る。しかもケーキとか持って」
(ノック音)
「こんにちは~!お祝いセット持ってきました~!」
りうら「やっぱ来たあああああああ!!」
ないこはケーキ(冷蔵庫から勝手に持ってきた)をテーブルに置き、きらきらした目で見つめてくる。
「さ、言っちゃいましょ。ファンは気づいてますよ?君らの“ラグなし息ぴったり配信”とか“相互通話10日連続記録”とか…」
りうら「なんで知ってるの!?それ俺らしか把握してないはず…!」
ほとけは笑いながら、ゆっくり頷く。
「まあ、そろそろ言ってもいいかもね。──付き合ってますよ」
「ひょえぇえええ!!いむりう成立!!おめでとぉおおお!!」
りうらは顔を真っ赤にしつつ、クッションに突っ伏して呻いた。「ほんとに言っちゃったよ…!!うわああ…ッ」
ないこは手帳を閉じ、満面の笑顔で宣言した。
「これにて──全カップル、正式成立!任務完了です!!!」
リビングに戻ると、Ifと初兎も2人ともニコニコでケーキを食べており、悠佑が呆れた顔で聞いた。
「お前、今日の目的って“恋愛暴露”から“カップル成立祝い”に変わってない?」
ないこはにっこり笑って言った。
「人が好きになるって、すっごく素敵じゃないですか? だから僕、背中を押したいんです!」
「それはもう探偵じゃなくて、恋愛コンサルなんよ」
こうして、名探偵ないこの“恋バナ暴露→公認押し通し大作戦”は大成功をおさめたのであった。
──そしてその夜。
ないこ宛に1通のメッセージが届く。
「次は、お前の番かもね? ―From If」
ないこ、突然赤面。
「ぼ、僕には…そういうの、まだ早いですからぁあああ!!」
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