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37 - 第33話

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2024年01月08日

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mgr side

最初に受付で涼太くんに会った時の印象は良くも悪くも普通の青年という感じ。ただ高校生の割にはどこか幼い感じ。背丈も小さくて中学生みたい。そして何かに怯えている感じだと思った。それが病院に来た緊張なのかあるいは別のものなのかはもう分からない。

話していくうちに彼の辿ってきた道のりの過酷さを知った。誰が悪いわけでもない。親が死んだりお金がないことはもう誰もどうしようもないことだ。彼が病弱であったことも。


そんな彼、涼太くんは今体調を崩してしまい俺1人で病院に連れて行っている。康二とラウールも連れていこうかと思ったが、もう3時を過ぎていて流石に起こすのは躊躇われた。かと言う俺も寝ていたのだが、廊下から悲痛な泣き声が聞こえてしまえば起きるしかなくなる。廊下に座り込んで頭を抱えながら泣いていた涼太くんはあまりにも逃げ場のなくなった子供にそっくりだった。

「蓮兄さっ…」

「…!どうしたの?」

「吐きそ、っ…」

そう言って口元を抑える顔は真っ青だった。慌てて道の端に車を停めて、用意してた袋を差し出す。

「気づかなくてごめんな。もう大丈夫。」

「…っ、ゔ…ぇ…」

袋の端をぎゅっと持って涙をぼろぼろ零しながら戻す涼太くんの背中を擦りながら病院に連絡する。事情を説明して電話を切っても吐き続ける涼太くんは見ているこっちも辛い気持ちにさせた。

「お゙ぇっっ…え゙っっ、はー…は、ぁ…」

「…落ち着いた?」

「う、ん…」

「車出発しても大丈夫そう?」

「ん…大丈夫…」

「寝れそうなら寝ててね。」

そう言ってからまた車を発進させた。



病院から帰ってくる頃には日が昇っていた。あれから病院に着いたあとも痛みで泣いていたり吐いたりして調子が戻らず入院する案も出たが、涼太くんが必死に嫌だと主張してきたのでそれはなしになった。今は少し落ち着いたようで、俺の腕の中で眠っている。だが、その体は熱い。

「…ただいま。」

「「めめっ!!」」

「どこ行ってたの!!」

「夜中に涼太くんが床に座り込んで泣いてたから理由聞いたら熱が高いのと頭が痛いのが怖いって言ってて。だから病院連れて行ってた。」

「俺ら起こしてくれたらよかったのに。」

「真夜中だったし。」

「ご最もやわ。」

「で、涼太くんは?」

「あー…夜中とあんま変わらないかな。入院する案も出たけど嫌がったから連れて帰ってきた。」

「そっか…」

「とりあえずベッドに運んであげて。俺色々取ってくるわ。」

「ん、お願い。ラウールも手伝ってこい。」

「はーい。」

2人がリビングに行くのを見届けて、そのまま涼太くんの部屋まで向かった。



涼太くんの部屋に着いてゆっくりとベッドにおろす。近くにあった椅子を持ってきて少しぼーっとしていると、もぞもぞと涼太くんが動いた。

「…涼太くん?」

「…んぅぅ…うぁぁ…」

涼太くんは目を開けたと思ったらまた泣き始めた。

「どうしたの?どっか痛い?」

「痛いっ…痛いぃ…」

「…薬飲もうか。そしたら少しは治まるかも。」

泣き続ける涼太くんをそっと起こして、昨日と同じように薬を飲ませた。暫くすると泣き疲れたのかそのまま眠りについた。康二とラウールは看病する道具を置いたあと直ぐに仕事に行ったので今家には俺と涼太くんしか居ない。

「はやく良くなるといいね。」

寝ている涼太くんの頭を撫でながら呟いた。

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