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「……では、私を、好きになってくれるのですね……」
つい先ほどには、『好きにさせてあげますので』とまで、自信に満ちあふれて口にしていたのに、
急にまた、不安げにも感じられる表情で、心もとなげに口にする。
この人は、本当に愛情に飢えているんだろうな…と、思った。
求めても、得られなかった愛を、ただ追い求めて……。
「……先生が、好きです……」
彼が求めてやまない愛を、私があげられることができるのなら、
ただ、そうしたいと思った。
それは、心の底から感じた、彼への偽りない慈しみと愛おしさだった……。
「ああ嬉しいですね……ただ好きと言われることが、こんなにも嬉しいだなんて……」
そう呟いて、私にじっと顔を向けると、
「好きという台詞など、今までは軽く口にできるとも思っていたのに……。……好きと伝えられるだけで、これほど心を動かされるなど……」
彼は、胸に込み上げているのだろう戸惑いを、隠せない様子で話した。
「……先生からも、言ってほしいです……」
彼自身にも「好き」と伝えてほしい気持ちが湧いて、ややはにかみつつ言うと、
「……私も、あなたが好きです」
彼は、そのたった一言を、唇で噛み締めるようにも告げ、
「……好きです…あなたのことが……」
胸に深く切なく沁み入るような、静かに抑えた声音で続けると、さらにぎゅっと強く腕の中へ、私の身体を抱き締めた──。