両腕にきつく抱かれると、離れがたい思いが湧き上がってくるようで、
「……好きになんて、ならないとも思ってたのに……」
ふと頭に浮かんだ過ぎ去った日々に、かつての思いが口からこぼれた。
「……私が、本気で好きになった女性は、あなたが初めてなので……、」
彼が言い、一旦言葉を切って、
「なので、初めて本気になった人を、私は好きにしかさせませんので」
そうして、また傲慢にも感じるような台詞を吐いたけれど、その言葉とは裏腹に、唇には柔らかで優しい口づけを落とした。
深まる口づけを受けながら、彼との付き合いがこれから本当に始まるんだと……冬の寒空の下でキスを交わしながら、私は胸が熱く高ぶるのを感じていた──。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!