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たっつんの腕の中は、驚くほど落ち着いた。
じゃぱぱは最初こそ緊張していたけれど、
背中を一定のリズムで撫でられているうちに、
少しずつ呼吸がゆっくりになっていく。
「……あったかい」
ぽつりと漏れた声に、
たっつんが小さく笑う。
「お前冷えすぎやねん」
「たっつんが熱いだけでは」
「失礼やな」
くすっと笑いが混ざる。
その小さなやり取りだけで、
じゃぱぱの胸の奥の苦しさが少し和らいだ。
静かな夜だった。
でも今日は、
静けさが怖くない。
一人じゃないから。
「……たっつん」
「ん?」
「俺さ」
じゃぱぱは少し迷ってから続ける。
「ほんとはずっと、余裕なくなってた」
たっつんは黙って聞く。
「みんなが頑張ってるの見るたびに」
「俺ももっとやらなきゃってなって」
「でも空回りして」
「焦って」
「また頑張って」
じゃぱぱの指先が、ぎゅっとシーツを掴む。
「……気づいたら、“楽しい”が分からなくなってた」
その声は、
自分でもびっくりするくらい弱かった。
たっつんの腕が少しだけ強くなる。
「そっか」
責めない声。
ただ、
“今までよく耐えたな”って言ってくれるみたいな声。
じゃぱぱの目が熱くなる。
「リーダーなのに」
「こんなんダメだろって思ってた」
「ダメちゃう」
即答だった。
たっつんは迷いなく言う。
「人間やもん」
「ずっと走り続けられるわけないやろ」
「……」
「お前はちゃんと頑張っとった」
「頑張りすぎるくらい頑張っとった」
その言葉が、
胸の奥にゆっくり沁み込んでいく。
じゃぱぱは今まで、
“もっとやれ”しか自分に言ってこなかった。
だから、
“頑張ってた”って認めてもらえることが、
こんなに苦しいくらい嬉しいなんて知らなかった。
ぽろ、とまた涙が落ちる。
たっつんは驚かない。
ただ親指でそっと涙を拭って、
少し困ったみたいに笑った。
「今日はよう泣くなぁ」
「……たっつんのせい」
「俺?」
「安心するから……」
その瞬間、
たっつんの表情がふっと柔らかくなる。
「……ならよかった」
優しい声。
じゃぱぱは胸がいっぱいになって、
逃げるみたいにたっつんの肩へ顔を埋めた。
たっつんは笑いながら、
その頭をぽんぽん撫でる。
「甘えたやな、今日のリーダー」
「今日だけ……」
「ほんまか?」
「……わからん」
正直な返事に、
たっつんが吹き出した。
「ならそのままでええわ」
じゃぱぱが少し顔を上げる。
たっつんは目を細めて、
静かに言った。
「一人で無理するお前より」
「頼ってくれるお前の方が、俺は安心する」
その言葉に。
じゃぱぱの心の中で、
ずっと張り詰めていた何かが、
ようやく少しずつほどけ始めていた。
コメント
1件
読了しました。この話、冒頭の「たっつんの腕の中は、驚くほど落ち着いた」から最後まで、ずっと空気が変わらないのがすごくいいですね。リーダーとしてのプレッシャーに押し潰されそうになってたじゃぱぱが「楽しいが分からなくなってた」と弱音を吐けるようになる流れ、胸がぎゅっとなりました。たっつんの「ダメちゃう」「人間やもん」「お前はちゃんと頑張っとった」の3連続、責めず認めるだけの言葉、これが一番効くんですよね。安心するから泣いちゃう、っていうじゃぱぱの心情描写が刺さりました。「そのままでええわ」の距離感も温かくて、今日のエピソードは本当に染みました。