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ねむ
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橘靖竜
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空腹を感じて、私は瞼を開ける。
空腹を感じて目覚めるとは……
私って、こんなに食いしん坊だったか?
起きて早々に私の中で小さな違和感を感じる
が、直ぐにその違和感は無くなる。
ぼんやりとした頭で、ベットから出て手早く歯磨きと朝食を終わらせて服を着替える。
「準備OKだね。行きますか、新ダンジョン」
新しい冒険の地に少し胸を躍らせて私は電車を使い新ダンジョンがある都市部に向かう。
一時間後、隣町のダンジョン前に来た。
福音ダンジョン、ダンジョン全盛期からあるダンジョンで現在は42層まで攻略が進んでる。
4層までなら初心者や一般人まで通用するとして探索者を始めたての人や観光客が多いのが
特徴だ。
初心者から上級者まで色々な人たちが日々出入りしてる事からダンジョン前は商業施設や飲食店等様々なお店が出来ている。
ダンジョンの入り口を探していると視線を感じた。何故か道行く人達が私を見ていた。
私の今日の服装は上下青のジャージに黒の帽子、黒いマスクに安全靴である。新米の探索者なら普通な気がするけど…田舎臭いか?
「んっ、早くダンジョンに入ろう…」
ダンジョン前で受け付けをしてから、
私は気持ち速めにダンジョンの中に入った。
福音ダンジョンの1層目は平原と森林で構成されたエリアになっている。東京都がすっぽり入るぐらいには広く5層に行くまでの道が整備されていて観光客や新米探索者で溢れていた
私は地図を片手に平原の整備された道を外れ、人が少なさそうな森の中に入っていく。
何故整備された道を外れ森の中に入ったかと言うと人が多すぎるが故に人酔いしそうになるからだ。
「あまり奥まで行かなければ危なくないはずだけど…あっ、ゴブリン…」
ゴブリン、120cm程の人型モンスター、
初心者の最初の敵といったらコイツ
整備された道を歩いていた時は一切モンスターが出て来なかったが、整備された道を外れた途端、敵に出会えた。
ゴブリンは此方に気づいて居ない様子だ。
「スケルトンで人型には慣れてるけど油断しないようにしないとね…」
程よい緊張が私の身体全体に走る。
後ろから思いっきり後頭部に拳を振り下ろす
「っうぎゃっぎぁあ」
ゴブリンがうめき声を上げて倒れる。
そのまま続け様に右、左と拳で殴り続ける。
「念には、念を、入れないと……ん?」
ゴブリンを殴り続けていたら良い匂いがした
殴り続けて血まみれに倒れているゴブリンに私の鼻が反応している…口の端から唾液が溢れているのに気づくが、ゴブリンの出した血から目が離せない。
「美味しそう…」
は?…いやいや、私は何を考えている?
普通ゴブリンを見て美味しそうと思うか?
「…吸血鬼の従者」
私はあのコウモリに吸血鬼の従者にされたらしが、人間を辞めた覚えは無いぞ。もしかしたら私は種族変えられて吸血鬼にされたのか?
昨日からご飯を食べてもお腹がすくのは血肉じゃないと腹が膨れないから?
「助けてあげたのに、この仕打ちマジか…」
いや美少女になり胸が3段階もでかくなって喜んだが、デメリットが大き過ぎるぞ…
私はゴブリンの死体から離れて深呼吸を繰り返し冷静になろうとする。
「おっ、君、初心者かな〜?」
不意に私は後ろから声を掛けられる。
後ろを振り向くと20代ぐらいの男性がいた。
「森の中は危ないから、良かったら俺と一緒に探索しない?こう見えてレベルは10だよ」
「すいません。もう帰ろうと思っていた所なので大丈夫です。心配してくれてありがとうございます」
怪しい…私の見た目も怪しいが、明らかに怪しいぞ。今の私の格好で普通に声を掛けるか?
私はナンパ男の横を通り抜けようとする。
「まあまぁ、そんな事言わないでよ」
「ちょ、何するんですか、辞めて下さい!」
腕を捕まれ私は怖くなり無我夢中で腕を動かすとナンパ男の顔に当たってしまう。
「いってぇな、お前調子にのんなよクソが」
男は鼻血を流しながら私を睨み、私を殴る。
顔を殴られた衝撃でマスクが外れ、鼻血を出しその場に倒れてしまう。マスクが無くなったからか血の匂いがダイレクトに私の鼻を刺激する。
血だ…私の血、人間の血…
私の中でプツンと何かが切れる音がした。
「ふぅぅ、ふぅ、ふぅ…」
「は?何言ってんだコイツ」
呼吸が荒くなっていく…おなかすいた
私はナンパ男が逃げれないように抱きしめて首元目掛けて歯を突き刺した。
「ぐぁ、あぁっ、や、やめろこのクソ野郎」
男は悲鳴をあげ私に反撃しようと殴ってくるが私は首元から口を離さずに血を吸い続ける
あぁ、うまい…うまいなぁ
美味すぎる、コイツの血を全部飲んでやろう
男は私から逃げようと私の頭や体を殴ったりして抵抗するが今の私には全然効かなない。
次第に抵抗する力が無くなり男からの声が聞こえないことに私は気づかなかった。
私は血を飲み終えると久しぶりの満腹感を感じながら男を抱きしめたまま眠ってしまう。
・
・
・
森の中で目を覚ます。
「んっ…んぁ…あぁ…やっちゃった…」
私は血に抗えずナンパ男を吸い殺した後、
眠ってしまったらしい。周りを確認すると干からびたのか身体が変色した男の死体がある
「殺しちゃった……」
自分のした恐ろしい行為に気づいて、私は暫くその場で放心していると不意に声がした。
「寝過ぎよ…お寝坊さん」
周りを見渡しても声の主が見当たらない。
「えっ…誰ですか!姿を見せてください」
「あぁ、ここ、ここよ」
肩の方から何かが腕に伝って移動してくる。
コウモリだ…あの時のコウモリさん?
「初めての食事はどうだった?」
「えっ、あっ…美味しかったです…」
「そう、良い食べっぷりだったわね」
「あの、コウモリさん? 私は人間ですか…それとも吸血鬼ですか…?」
そう言うと、コウモリは楽しそうに笑う
私から飛びだち正面の木の側面に飛び乗る。
何処からともなく大量のコウモリが現れて
私の前でコウモリが集まり固まりになり、
人間の形を形成している。
うわぁ…キモいなぁ、と口に出しそうになったが、その考えは吹き飛ぶ。
形作られて色が浮かび上がれば嫌悪から賞賛に変わる。現れたのは夢の中に出てきた人物
滑らかでサラサラとしたロングヘアの黒い髪が綺麗な美人な女性、黄金比のお手本の様な顔には私と同じ血のように真っ赤な目がある
「貴方は、吸血鬼よ…そして私の娘」
そんな意味の分からない事言って私に近づいてくる。腕を伸ばして優しく抱きしめられる
甘い匂いが、私の鼻腔を擽り何故か酷く安心する感覚と急激な眠気が襲いかかる。
まだ聞きたいこと色々あるのに…
襲い掛かる睡魔相手に戦っていると。
「ねむ…い…」
「寝ちゃいなさい…初めての食事で身体が馴染んで無いのよ。後は私が処理してあげる」
「はっ…い…」
——安心する声色に瞼が落ちた