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コメント
3件
サブキャラの視点だからこそ、得られる青桃ってありますよね💕💕 傍から見ても、青桃さんは常に青桃さんだなぁ、と認識させてもらえた回でした✨️✨️ 高橋さんの言う、イケメンって怖い……ほんとですよね。 あおばさまの描かれる青桃さんは2人ともイケメンなんです🙂↕️
連続の医者パロ…✨✨揶揄うナオ先生も大好きです…😭💕 桃さんが甘えられる唯一の相手が青さんで見ていてにやけが止まりませんでした·͜· ❤︎ 真顔で冗談を言うシーンも情景が浮かんできてとにかく癒しでした…🫶🏻💗 ̖́- 相田さんも高橋さんも優しい方で読んでいてほっこりしてます…!!
あああもう大好きです…՞߹ - ߹՞ ナオ先生どハマりしてます大好きです🫶🏻🫶🏻出てくるモブさんたちを好きになるのはあおばさんの書き方が上手いからですねうんもうとにかく大好きです(̨̡ ¨̯ )̧̢
【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
この言葉に見覚えのない方はブラウザバックをお願い致します
ご本人様方とは一切関係ありません
モブ視点の医者パロです。
その日一日の仕事を終えた時、またしても呼び止められた。
私服に着替えたナオ先生だ。
ネイビーのワンピースはシルエットがタイトで、スタイルの良さが際立って見える。
…正直、目のやり場に困る。
「最近うちの科忙しくて、高橋くんの送別会も計画できなかったからさぁ、今日いるメンツだけになっちゃうけど今から飲みに行かない?」
そんなこっちの気持ちなんて知る由もなく、彼女はそう続けた。
ぜひ、と二つ返事でOKすると、嬉しそうににこりと笑んで背中を押される。
促されるまま連れて行かれたのは病院近くの大衆居酒屋だ。
当日集まれるメンツだけ、とは聞いていたけれど、もう既に20人くらいは集まってくれていた。
「高橋先生お疲れ様でしたー」
「あっちの病院戻っても頑張ってくださいね!」
医師仲間や看護師、事務員など多職種に渡るメンバーが口々に労ってくれる。
用意されたビールジョッキをかつんと合わせ、乾杯の音頭と共にぐいと喉を鳴らした。
仕事を終えた後のビールがうまいなんて、酒を飲み始めた学生の頃は到底理解できなかった。
この年になってようやくそういう大人の言葉に共感できるようになった気がする。
会が進み皆程よく酒を飲み重ねていった頃、酔いが回ってきた看護師が一人「ところで」と俺の方に少し身を乗り出した。
「高橋先生って彼女とかいるんですかぁ?」
飲み会があると、割とこの質問は受ける。
今ここにいる子たちは本当は一番ないこ先生のプライベートを知りたいのだろうけれど、大してルックスが良くない俺にでもこういう話題は飛んでくる。
気を遣ってくれる子もいるのだろうけれど、何よりそれくらい医者という肩書は飲みの場で強い。
だからこそ、自分がもたらす答えに女性陣がどんな反応をするのかも知っている。
「あ、彼女というか…僕結婚してるんで…」
いつでも正直に答える自分の言葉に、少し身を乗り出していた女性陣が「あ、そうなんですか…」と一斉に椅子に座り直すのが分かった。
本当に分かりやすい。
仕事のときは結婚指輪はつけていないから、知らない人が多いのも無理はない。
その後、小さい子どもがいることまでナオ先生に暴露され、嫁との馴れ初め話や休日の子守の話まで振られて大人数を前にプライベートを開示させられるはめになった。
自分の話が一段落した頃、看護師の一人がグラスをくるりと手の中で回しながら「そう言えばー」と語尾を不必要に伸ばしながら甘い声を出す。
「ナオ先生って、小児科のいふ先生と付き合ってるってほんとですかぁ?」
女の子はこういう噂話が好きだよな。
俺もその話は聞いたことがある。
ナオ先生がうちの病院に来たとき、2人は昔学生の頃付き合っていて、最近寄りを戻したのではないかなんて囁かれていた。
「いふ? ないない」
男前にジョッキをぐいと呷ると、ナオ先生は「ぷはー」と百点満点の息をついて、ビールのうまさに満足そうに笑った。
「高校の時からの知り合いではあるけどね」
「えーお似合いって噂なのに。いふ先生めちゃくちゃ優しいし、いいなぁって皆羨ましがってましたけど」
「あいつ皆が思ってるより結構いじわるなとこあるわよ? それに…」
「『それに』?」
ナオ先生の言葉を丁寧に復唱した看護師に、彼女はにこりと笑って見せた。
「あいつねー、めっっっちゃくちゃかわいい子と付き合ってんの」
「…っ!!!!」
にやにやと笑いながらテーブルに頬杖をつき、周囲に向けてそう続けたナオ先生。
その隣で、ぶっほ!!!!なんて漫画みたいな音が立ちそうなほど、ないこ先生が飲んでいたビールを噴き出した。
「だ、大丈夫ですか!?」
慌てた周囲の看護師や事務員が、それぞれおしぼりを手渡す。
それを受け取りながら、ないこ先生は「…ごめん大丈夫。変なとこ入っただけ」とまだ少しむせながらけほけほと咳払いを繰り返した。
「どうしたのー?ないこ先生。大丈夫?」
唇の端を持ち上げて妖艶に笑むナオ先生に対し、ないこ先生が「…大丈夫です」と少しだけ睨むような強めの視線を返した気がした。
…気のせいかな、と思ったけれど、俺はその意味を後で知ることとなった。
飲み会も終盤に差し掛かった頃、トイレへと立った時に通路でアシスタントの相田さんとすれ違った。
「あ、あの…!」
会釈だけして横をすり抜けようとした俺の背に、相田さんの高い声がかかる。
肩越しに振り返ると、彼女は少しだけ緊張したような色をその顔に浮かべていた。
「今日…ありがとうございました」
「今日…?」
なんだっけ、と首を捻りかける。
「飴くださったの…高橋先生ですよね」
言われて思い出した。
…あぁそうか、あの外科医にきつく言われてしまった彼女をかばってあげることも直接慰めてあげることもできなくて、あんな励まし方しかできなかったんだった。
「あー、ごめん全然気の利かないもので…」
「いえ!嬉しかったです」
「ないこ先生みたいに高級チョコとか持ってたら良かったんだけど…」
ふふ、と笑って言った俺だったけれど、彼女は笑わなかった。
真顔でまっすぐにこちらを見上げてくる。
「私は…嬉しかったです、あのキャンディーが」
静かな彼女の声音が、それでも芯を持ったように確かな響きを伝えた。
目を瞠ったこちらに向けて、その瞳は逸らされることはない。
「ずっと知ってました。あの先生に叱られるたびに、高橋先生が気にかけてくださってること。元は私が悪いので叱られるのは仕方がないんですが、それでも…毎日心はすり減りそうだった」
でも、と彼女は続ける。
「先生みたいに私達アシスタントを尊重してくださる方がいることも知ってます。だから頑張れます。本当にありがとうございました」
ぺこりと頭を下げる彼女の言葉に、情けないことに気の利いたセリフは出てこなかった。
…救われたのは、きっと俺の方だ。
俺は、ずっと患者だけじゃなく周囲のスタッフにも寄り添える医師になりたかった。
医者は一人で患者を診るわけじゃない。
様々な職種に救われて守られて、日々の業務をこなせている。
それを忘れたくなかった。
ないこ先生のように、冗談まじりに…そしてスマートに彼女の心を軽くしてあげることはできなかったかもしれない。
それでも、不器用なりの自分の気持ちが伝わっていたのかと思うと胸の奥がつんとする。
「元いた病院に戻られても、お元気で」
そう言って笑う彼女に、相田さんもね、と応じて、互いに笑顔で顔を見合わせた。
「…えー、いいじゃんべつにぃ」
相田さんと別れてトイレに向かい直した時、ちょうどその先にあった少し広めの空間から声が聞こえてきた。
休憩場所、というほど大げさなものではないけれど、通話も許されている場所らしく誰かの電話中の声が耳に届く。
いつもより少し舌っ足らずな口調。恐らく酒が回っているんだろう。それがないこ先生のものだと理解するには余裕で数十秒かかってしまった。
「んー、ちょっと飲みすぎたかも…? 歩いて帰れなそうだからむかえに来てよ」
通路の角の影になって、恐らく俺の姿はないこ先生からは見えていないだろう。
どれほど酔っ払っているのかがうかがえるほどの甘い口調。
いつも背筋を伸ばしてぴしっと歩いている彼からは想像もできない。
…うわ、これがギャップってやつだろうか。女子はこういうのに弱いんだろうな。
それにしても飲み会で酔っ払いすぎて、女の子に「迎えに来て」が通用する世界とは…イケメンは生きている次元が違うらしい。
そう言えばないこ先生の噂も聞いたことがあった。
医局の隅で、ものすごい甘い顔と声で電話してたことがあったって…。
今の通話相手もきっとその人なんだろう。
こんな意外なプライベートの一面を見てしまったことに気まずさを禁じ得ず、そのまま一旦身を翻そうかと思った。
だけど通話を終わらせたらしいないこ先生がこちらに来る方が早かった。
スマホをポケットにしまいながら角を曲がり、立ち尽くしたままの俺に出くわす。
「あれ、高橋くんだ。トイレ?」
まさか俺に今の電話の内容を聞かれたとは思っていないようだ。
何事もなかったかのように平然と尋ねられて「あ、はい…」と頷いたけれど、そのないこ先生は「いつもの」ないこ先生だった。
口調もしっかりしているし、ふらつくことなく正常に歩いている。
背筋はしゃんと伸びていて、無駄な動き一つなく動作は機敏だ。
「飲みすぎた」は?「歩いて帰れない」は?
さっきの電話の内容をなぞるように思ったけれど、こちらの思考なんて知るよしもなくないこ先生は上機嫌にテーブルの方へと戻っていった。
…そう言えば、ないこ先生がアルコールを口にしたのは最初の数杯だけで、後はソフトドリンクだった気がする。
決して「飲みすぎたかもー」の量ではなかったはずだ。
……イケメンて怖い。
大して酔ってなくても、甘えて恋人を呼びつけることができるらしい。
あざとい計算も許されてしまうし、それすらも愛されるんだろうな。
…なんて、そんなことを思った自分が、まだとんでもない勘違いをしていることには気づいていなかった。
その後1時間ほどして解散になり、帰り際には最後の労いの言葉と花束をもらった。
嬉しさから上機嫌で鼻歌混じりになりながら、俺は駅への道をゆったりと歩き出した。
病院の近辺には複数の路線が乗り入れていて、駅も徒歩圏内にいくつかある。
自分が使っているのはそのうちの一番マイナーな駅だ。
他の人たちは違う方面へと帰っていったせいで、周囲に知り合いはいなくなった。
途中、セレブ御用達の高級スーパーを見つけた。
そう言えばここのスイーツがおいしいとテレビで特集されていたっけ。
目をきらきらさせて画面を見ていた妻の姿を思い出し、吸い込まれるように店内へ入る。
自宅近辺では見かけることのない店だし、勤務最終日の今日くらいは妻に手土産でも買って帰ろうなんて考えた。
目当てのスイーツはすぐに見つかり、ほくほくした気分で再び外に出る。
足取り軽くもう一度駅の方へと足を向けた。
……その時、だった。
「歩けないって言ったじゃん、俺」
大きな交差点に差しかかったとき、前方からそんな声が聞こえてきた。
目の前の信号は赤で、信号待ちをしている人たちが数人いる。
そんな中で聞き覚えのある声が耳に届いた。
その声の主から大分手前で足を止め、顔を上げる。
…ないこ先生もこっちの駅を使っているのか。
少し離れた位置に見つけたピンク髪の後ろ姿は、紛れもなく彼のものだ。
だけどその隣には、さっきの飲み会にはいなかったはずの大きな影があった。
長身の青い髪。…小児科のいふ先生だ。
へぇ、この2人接点あるんだ。
そんなことを思ったけれど、同じ病院で働いていて同年代ともなれば、いくらばかでかい病院でも他科と言えど絡むことはあるんだろうな。
「えぇ、誰が? めっちゃしっかり歩いとるやん。飲みすぎたって言うとったけど何杯飲んだん?」
「500杯くらい飲んだ。だから歩けない」
「真顔でつまらん冗談言うんやめて」
即答しながらも、いふ先生は「にゃははは」なんて楽しそうな笑い声を上げる。
後ろから盗み見たその横顔は、嬉しそうにないこ先生に向けられていた。
「歩けないから迎えに来いつってんのに徒歩と電車で来るお前もどうなん? 車で来いよ」
「そう言われても、俺ももう家に帰って酒飲んどったしなぁ」
……んんん?
ないこ先生が紡ぐ言葉が次から次へと、全て聞き覚えのあるものだったせいで俺は大きく首をひねった。
確かに、聞いたよな。
あの時居酒屋でめちゃくちゃ甘えた声で恋人と電話していると思っていたけれど…。
ゆるやかな思考が、一気にある「答え」に行きつく。
えぇぇぇ!?そういうこと!?
思わず上がりそうになった声を押し殺すべく、口元を自分の手で覆った。
飲みすぎたから迎えに来て、なんて甘えるないこ先生と、そう言われて嫌な顔もせずにわざわざ電車で迎えにくるいふ先生…。
そんな2人を後ろから改めて見つめた時、飲み会の最中のナオ先生の言葉を思い出した。
『あいつねー、めっっっちゃくちゃかわいい子と付き合ってんの』
いふ先生のことを確かにそう言っていた。
そしてその時、隣の席でないこ先生が盛大にむせ返ったのも覚えている。
…パズルがはまっていくみたいに、全てが一本に繋がった気分だ。
「そういやないこ、昼間あげたチョコ食べた?」
いふ先生が継いだ言葉に、ないこ先生は目の前の赤信号を見上げたまま「うん」と頷く。
「めっちゃうまかったよ。ちょっとビターな感じでいいよね」
「…あれ激甘ホワイトチョコやったけど。もーほんまに適当に返事するんやめて」
笑いの沸点が低いのか、いふ先生はそう言いながら「あひゃひゃひゃ」なんて、きれいな顔に似合わない笑い声を上げている。
会話の内容自体は大したものではないはずなのに、とても幸せそうに笑うのが印象的だった。
言葉ではあしらうように適当な回答をするないこ先生は、笑ういふ先生の肩の方へ少しだけ頭を傾けたように見えた。
…多分、2人の関係に気づいていない人なら何も思わない程度の距離感だっただろう。
仕事中は、まずないこ先生のこんな姿は見ない。
しっかり者でしごでき感あって他人にも気を遣える彼が、こんなに楽な自然体で接する相手なんて相当特別なんだろう。
…やっぱりイケメンのギャップって強い。
そこがまた魅力的に映るんだろうな、なんて考えて、「あぁもうちょっとこの人のことを知りたかったな」と思う。
人間性のより深い部分を知り得たら、きっと「医師としても尊敬できること」や「この人に教わりたいと思うこと」が、もっともっとあったはずなのに。
いつか自分も、この人みたいになれるだろうか。
いや、なれないとしても、少しくらい近づくことができるだろうか。
その時にはないこ先生はもっと昇進して偉い先生になっていたり、相田さんはあの外科医すら黙らせるほどの凄腕のアシスタントになっているのかもしれない。
そんな未来を夢みながら、俺は宵闇に映える前方のピンク色をまっすぐ見据える。
誰にも聞こえないほど小さな声で、後ろから「…お世話になりました」と呟いた。