く
小さい頃、猿みたいな女がいた。
行動一つひとつが意味不明だし、泣くときはギャーギャーうるせぇし、とにかく
人一倍空気が読めない奴。
「おい!いつものやろーぜw」
また始まった。変な遊び…
一時期、俺らの中で流行ってた遊びがある。王様に従って、失敗したら罰ゲームみたいな感じの…
最初は見てるだけだったよ。でも、周りが勧めてきたんだ、断るわけにはいかない。
俺だけ仲間はずれにされちゃうからね
「お前もコッチ来いよーw」
いつもより周りが盛り上がっている。
今日の従い役は[猿女]だったらしい どんな命令をしても失敗しないとかどうとか
「二重跳び十回!してみろw」
「じゃあ、あそこの木ィ登って」
「早口言葉やれよ!」
「う〜ん、バク宙は…」
彼女は全部やりきった、俺らは猿女を困らせるために頭を精一杯かかえこんだよ。
そしたら、仲間の一人がこんな事言い出した
「万引きは流石に無理っしょww」
ガキ大将で有名のたっくんだ。
続けて、たっくんが言う
「あのお菓子屋から人数分、取ってこい」
数分後、猿女が帰ってきた。 手に駄菓子をにぎって
「おいおいw 本当にやったのかよww」
遊びのことはどうでも良くなった
みんなお菓子に夢中だったよ (俺も)
「あっ、人数分足りてねぇじゃん…菓子」
「ホントだ!」
罰ゲームをたっくんが考えることになった
「そうだな…まず菓子は無しだ」
「あとお前、今日からずっと従い役なw」
猿女は嫌がるどころか否定すらしなかった。なぜだかいつもより大人しい
「おい!猿wもう帰っていいぞww」
そう言われると彼女はすぐ公園から逃げるようにでてったよ
罰ゲーム、そんなに嫌だったのかな?
お菓子を味わってると小太りのおばさんがこっちに来て、俺らをにらみつけてきたんだ。
「 万引きしたのあんたらだったかい゛」
お菓子屋のおばさんだったよ
その後みんな拳骨くらって親からも説教される始末、本当は猿女が万引きしたってのに。
たっくんがイラ立っているのがわかった。
たっくんが皆の耳元でつぶやく
「明日からアイツ無視しようぜ」
次の日になると、皆彼女に話かけなくなった。王様であるたっくんの命令だ。
みんな従っていくしかなかった
彼女も薄々気づいてたみたいだったけど…
どうとすることもできなかったっぽい
彼女は夏休みを境目に、とうとう学校に来なくなったよ。
でもなにか変わった訳ではないし、
みんな普通にすごしてた。
中学生になった春も君は来なかった。
入学初日どころか行事にも来なかった。
ずっとね
…でも7月のなんとも無いあの日に
君は突然あらわれたんだ
見たとき目を疑ったよ
短かったはずの髪が長くなって、雰囲気がまるで別人みたいだった。
放送で図書委員 集合の合図がかかる。
「!!」
まずいことに気が付いた。
彼女と班が同じだということに
一緒に本を運ばなければならない
廊下にでて彼女と二人っきり
(とんでもなく気まずい)
無言を突き通そうと思ったけど、彼女がくちを開いてこんな事を聞いてきた。
「あの日のこと、覚えてる」
「ごめんね」
なぜだか胸が苦しくなった様な気がした
放課後、たっくんに呼び出された
「お前、無視しろっつたよな…?」
俺はうつむいたまま話を聞いた。
「なぁ懐かしい遊びしようぜww」
「王様ゲームだったっけな?」
「じゃあ…」
「あの女イジメてこいよ」
その言葉を聞いた時、背筋が寒くなった
「まだ図書委員って残ってるよな?」
「呼んで来い」
俺は言われるがまま彼女を呼びにいった
彼女はびっくりした目でたっくんを見た
「えっ、たくや君…えっ」
「殴れ」
たっくんの命令が俺の心の中にひびく
何回も彼女目掛けて拳を振る舞った。肌が赤くはれて、おびえているのが伝わる。
今、もし立場が変わったんなら
俺はどうなるんだろう
もしかすれば怖くなって…っていや、
明日になれば忘れてるのか?
自分がやってることなのに
何もわからない
自分がやられるのも怖い
人にはやるくせに
自分に向けられない恐ろしいものを
多分、これからも人には向ける…
何度も、何度も 何度も
_______________ 何度も ______________
「ねぇ知ってる?隣のクラスの昨日来てた」
「あーw 知ってる」
「自殺したんだってね」
彼女は家に帰ったあと、首を切ったらしい
そこはネットの餌食となって
馬鹿騒ぎした奴らがあいからわず集まって…
俺のせいなんだよな……。
最近、人混みにいるだけで息が苦しくなるよ
あの夏の出来事はわすれないだろうね
好きだよって伝えたかったな
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うわーッッッ(鳥肌)