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公園で現実逃避していた。俺は持っているスマートフォンで写真を撮った。色とりどりの植物が俺を見ている。何故、俺はこんな所に座ってんだ。昨日、彼女とデートの約束したはずだ。思えば、彼奴は俺の事を嫌っていた。嵌められたのか…。俺が丹精込めて作ったクッキーを一人悲しくほうばっていると遠くからひょこっと顔を出した少年が来た。少年は不思議そうに俺の方に向かってきた。いやいや、俺は怪しいヤツじゃねぇぞ?俺はちょっと変わってる。だが、ガキに身をつけられるほど恥ずかしいことは無い。
俺は震えながらその場で固まっていると
「お兄さん!そのクッキー欲しいなぁ!」
と、言ってきた。なんだコイツ、初対面でいきなり人に物をねだるとは、無神経なガキだな。
「あ?何で欲しいんだよ?知らねぇ人には話しかけんなって習わなかったのか?」
と、俺は冷たく接したが少年は心配そうな顔をして
「…!?お兄さんが、寂しそうにベンチに座ってそれを食べていたからさ!」
と、言ってきた。本当にガキか?ガキにしては不思議な視点だな。
「お前、何歳だ」
「…?八歳です!」
「そうか…」
俺はコイツの歳の頃、それほど礼儀正しくはなかった。本当に俺の事を想って話しかけてくれたのか。そう思うだけで自分はなんてちっぽけな存在なのだろうと心を撃たれた。
「これ、俺の手作りなんだ。知らない人のやつでもいいか?」
俺はどきどきしながら訊いた。少年は口を開き
「…!?頂きます!」
と、クッキーを一つだけ手に取って大きな口でかぶりついた。
俺は何故か安心して背筋を伸ばしていると少年がクッキーを俺に渡してきた。
「え?いいのか?」
少年は小さく頷き俺の口の中に半ば強引に突っ込んできた。痛いのと同時に甘さを感じた。
少年は笑顔で
「お兄さん!やっと、笑ってくれた!今日はありがとう!またね!!」
そう言って少年は去っていった。
「…え、えぇ。」
俺は動揺を隠しきれなかった。頬が熱くなっている気がした。