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幼なじみとの両片思い

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幼なじみとの両片思い

20 - 花火【2】

♥

30

2025年08月24日

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花火


人混みを抜けた先の小高い公園。ちょうど丘の上から、夜空に大輪の花火が見える場所だった。

「わぁ……きれい……!」

まなみは浴衣の裾を軽く押さえて、空を見上げる。

色とりどりの花火が、夜空を鮮やかに染めていた。

「……ふーん」

横でそらとが、つまらなさそうにしている。

「なに、なんか文句あるん?」

「別に。……花火なんかより、もっと気になるもんあるし」

「え、なにそれ」

「言わん」

そらとの声は低くて、少しだけ拗ねているみたいだった。

その横顔を覗き込んだ瞬間、間近で上がった大きな花火の音に驚いて、まなみはふらりとバランスを崩す。

「っ、わっ!」

「おいっ」

とっさに、そらとが腰を引き寄せるように抱きとめた。

距離が近すぎて、浴衣越しにお互いの体温が伝わる。

「……びっくりした」

「まったく……はぐれるやろが」

「ご、ごめん」

小声で謝るまなみに、そらとはしばらく黙ったまま。

でも、彼の腕はまだ離れない。

「……そらと?」

「……っ、離したらまた誰かに笑いかけるやろが」

「そんなことせんよ!」

「ほんとやろな?」

そらとがぐっと顔を寄せてくる。

夜空で花火が弾けるたびに、その横顔が一瞬照らされる。

まなみは視線を逸らそうとしたけど、すぐに頬をそらとの手で掴まれた。

「……お前、ほんま無自覚すぎ」

「え、なにが?」

「さっきから、俺の理性ギリギリ削りよるっちゃけど」

そう囁くそらとの声は、花火の音に紛れてまなみにしか届かない。

「……そんな顔、俺の前だけでしとけ」

息が触れそうな距離で、まなみの耳元にかすかに響く声。

胸の奥がきゅっと鳴って、返事ができない。

ただ、小さく頷くだけで精一杯だった。

そらとはそんなまなみをじっと見つめ、ふっと目を逸らした。

けど、その手はしっかりとまなみの手を握ったまま。

「帰るときも、もう離さんけん」

「……うん」

夜空に大輪の花が咲き続ける中、

二人の間に流れる空気は、もう後戻りできないくらい甘くなっていた。

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