短編の方です。よろん
というか短編ではないな。長いわ、まぁ、ノベルの方で書きたくなったので
「光の当たる方向によって、影は…」
つまらない。いつも暇なとき俺は外を眺める。
今は美術の授業、正直絵心がないもんで褒められることもない。
俺にとっては最悪の授業だよ。なんでかって、毎回成績が2になるんだから。
でも最近はちょっとこの授業が楽しみになってる。 ここは美術室。
二階にあって、運動場が近い。この時間はニ年生が運動場でサッカーをしている。
「おい、かえる、前見ろ。」
「…あ、はーいすんません。」
今日は、らーば先輩にメールを送ってみようか。
「突然ですみません、すきです、付き合ってください…!」と
メールアプリを開いて書いたまではいいが送ろうかどうか今更迷っている。
相手はらーばというニ年生の先輩。俺は先輩に恋している。
今は十二月、そして受験勉強もそろそろ覚悟しないといけない時期、
告白するなら今のうち。
誤タップで送信してしまえば簡単に言えるだろうか…。
…やっぱりメールは「今日サッカーしてましたね!」にしよう。
いや、やっぱりいつでも見ているような感じがして気持ち悪いだろうか…。
「あ、らーば先輩。」
「あ、かえる〜!ごめんね〜、昨日メール見るの遅くなっちゃったわ…」
「全然!気にしてないので…!」
ずるい。ずるすぎる。爽やかな笑顔がかっこいい。
先輩は身長がでかい。運動神経がいいのも相まってバスケ部所属、 そして爽やか。
優しいし、ノリもいい、そんな完璧に近い人間はそんなにいないだろう。
顔もイケメン、なんだよな。実際女子からの人気は結構ある。
「ああ、ちょっと待って、呼ばれた〜…行ってくるわ!」
「あ、はい!」
学校で話せるのはほぼ一度きり。この学校ではなぜか知らないが
他の学年、クラスに行ってはいけないという校則がある。休み時間は先輩と話したい。
校則がなくとも自ら行く勇気はないと思うが…、
「…いってらっしゃい。」
「帰ってきたよ〜、次の試合の編成の話だった〜」
「おかえり…なさい。」
「え〜、かしこまっちゃって〜、いつもタメ口なのに〜」
「え、じゃあタメ口でいいと?」
「別にいいよ〜?」
部活の集合時間、先生は予定があり遅れるらしい。中学生は先生がいないと なると
ふざけだすのが俺らだ。ふざけだす奴らを横目で見ながら俺らは端っこで雑談。
こうしていてもらーば先輩の人気がすごすぎてちょくちょくこちらを見てくる女子がいる。
あの女子はらーば先輩のことが好きなんだろう。…ライバルだね。
「…本音言うとさ〜、あのポニーテールの女子いるじゃん、ほら、チラチラ見てくる〜?」
「うん。」
「最近猛アプローチしてきてうざ〜い」
こういうときのらーば先輩はマウント取りでもなく自慢とかでもなく、
普通に本音を行っているだけだ。そんなたまに毒を吐くらーば先輩を知っているのは、
俺だけじゃないかな…俺だけだと思いたい、多分。
「でもやっばり俺はかえるがいい〜」
といいながららーば先輩は抱きついてくる。冗談だとわかりながらもなにか
期待してしまう自分がいる。そんなの妄想だとわかっていながらまた、考えてしまう。
「ちょ、一気に女子の目線こっち向いたんですけど…!」
「いいじゃん別に〜」
、ずっとこんなことができる関係性になってしまえばこんなこと、簡単なのに
「…!らーば先輩…?」
朝、いつもの駅。10分くらい前から人で溢れかえった風の冷たいホームで電車を待っていた。
この時間帯、出勤する人や通学する人たちが多い。そんな、ごちゃごちゃしているこの場所が
苦手だ。そんな憂鬱な時間に、いつも見ないはずの、らーば先輩を見た。
あの人は、紛れもなくらーば先輩だ。
「あ、の…こんにちは」
「うぉ、誰かと思った〜(笑)」
「…あ〜!よかった、人違いじゃなくて〜!!!」
少し遠いところにいたもんだから少し駆け足で行ったらもう息が切れちゃって、
ほんとに運動不足だな、と自分でも思う。なんせ部活ベンチの常連さん(笑)なんだから。
それでも らーば先輩と話せるなら走った価値はあると思えた。
そう思っているといつのまにか電車が来ていた。
らーば先輩と一緒にいると時間が経つのを忘れてしまう。
「やっべ、やべやべ(笑)乗れ乗れ〜!」
「やば、閉まる〜!」
やっぱり電車の中は人で溢れかえっている。冬だというのに少し暑苦しい。
他の車両に行けば少しは減るだろうか…?まぁ、 人が多すぎて移動できないのだが(笑)
らーば先輩と今は一緒にいたいのでそれでいいかもしれない。
「…急にぶっ飛んだこと言って良い?」
「え、いい…よ?」
たまにらーば先輩は怖いことを言う。何を言ってくるかわからないのだ。
この時、らーば先輩の顔を見ても大体真顔なので何を考えているのかも本当にわからない。
少し覚悟を決める。いや、別に決めてないか。
「俺、………かえると付き合いたい…!」
らーば先輩がこんなに悩んでるところを始めてみた。
今多分俺の顔は動揺を隠しきれていないだろう。こんな、今まで片思いだと思っていたのに
急に両思いだったってわかったら、どう、答えていいのか
「ごめん、素直に答えてくれていいから。」
「…あ、ぁぇ”?ちょ、ッと待、ってね〜………?」
「考える時間…欲しい…から、返事、遅れる。。。」
考えて考えた末に出したこたえがこれだった。らーば先輩が勇気を出していってくれたのに
こんな返答しかできなくて申し訳ない。今すぐにでも付き合いたかった。
でも、でも。こんな俺が爽やかで、優しくて、かっこいい、一個上の先輩、
らーば先輩と付き合っていいのか、なんてすぐこたえがでなかった。
俺の心臓は、まだ落ち着かない。
「ぁ、」
あ、美術。思わず声が出た。時間割を見て声が出てしまうほど嫌だったのだろう。
そうか、今日は木曜日か、木曜日、何か気分が上がらない日。
起きるのがだるいのはいつものこと、一限から美術。そのあと数学、社会と続いていく。
だとしても決まったもんは決まったもんで、授業を受けるしかない。
成績が1になるのはなんとしてでも避けたい。(小学のときにとったことはあるのだが、、、)
「((そこ外す〜!?!?!?」
「((まぁ、どんまーいどんまーい!」
ああ、そうか、らーば先輩への返事。窓から見える二年生たちを見て思い出した。
なんて返せばいいだろうか、頭の中はらーば先輩でいっぱいだ。
ふと、自分の絵を見てみる。完全に感覚で描いていたデッサン。
練習用の立方体は影や光の概念がないようなぐちゃくちゃの立方体になった。
また、提出した際に苦笑いをされるんだろう、(笑)
美術が終わって、息を吐く。
ふと窓を見ると二年生が運動場から帰ってきている。
「らーば先輩、、!」
友達と談笑しながら帰ってくるらーば先輩が見えた。
いつもの爽やかな笑顔は変わっていない。なのに、目が笑っていないような気がした。
今、
「すみません、らーば先輩、!」
「、ぇ?」
らーば先輩に、言葉に迷ったような間が一瞬できた。
本気で悩んでいるのだろう。元気がない。
「宜しく、ぉ、ねがいします…!」
「、ぁ」
勇気を出して俺も言って、みた。
周りにらーば先輩の友達がいるというのになぜ言えたのかは俺でもわからない。
ふとらーば先輩を見ると涙ぐんでいる。
「、ぁりがとう。(笑)」
らーば先輩が泣いているところを始めてみた。
こんなに、俺のこと考えてくれて嬉しい。そんな、
俺は、らーば先輩の 顔も、性格も、意外と弱いところがあるところも、涙もろいところも、
そこも含めて、いや、そんなあなたも
大好き。
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