狩り手

狩り手本部は、静寂に包まれていた。かつての活気が嘘のように、すべてが静まり返っている。南無、観音、法師、港――四人の強力な戦士たちはすでに命を落とし、教皇はその異能を封じられてしまっていた。かつての精鋭たちが次々と姿を消し、狩り手本部にはわずかな者しか残されていない。教皇が無力化され、支配の構造は崩壊した。

だが、希望が一つだけ残されていた。それは、渋谷と石動という融合体だった。しかし、その融合体もまた完全無欠の存在ではなく、今はその力を完全に発揮できる状況にはない。

石動と渋谷：「このままでは、ただの時間稼ぎに過ぎない。」

その時、部隊本部の扉が勢いよく開かれた。誰かが入ってきた。足音が響き、歩み寄るその人物は、見覚えのある顔だった。

狩人：「やっほー！久しぶりだな！元気してる？」

部屋に現れたのは、かつて敵として戦ったあの虚言癖の男――狩人だった。彼の姿に、部隊のメンバーは一瞬驚いたものの、その異常なテンションに次第に混乱を覚える。

狩人は、まるで何もなかったかのように明るく、ポジティブなエネルギーを放ちながら、部屋に踏み込んできた。手には、どこか無邪気に笑う表情と共に、よく見知った手袋を握りしめていた。

狩人：「みんなしんみりしちゃってるかなー？でも、大丈夫！オレが来たからさ！これからはオレが引っ張っていくんだぜ！」

その発言に、部隊内の者たちは一瞬、言葉を失った。狩人が何故ここに来たのか――その動機は誰も理解できない。しかし、彼の態度は一貫して前向きで、あの死んだ仲間たちの存在を嘲笑うような無邪気さすら感じさせる。

石動：「君が来たところで、何も変わらない。君の力では、この状況を覆すことはできない。」

それを聞いて、狩人は一瞬黙り込み、目を細めてからにやりと笑った。

狩人：「えー、そんなことないよ！オレ、絶対に信じられる嘘は現実にしちゃうからさ！で、オレの能力の範囲内で言うと、実はここにいるみんなもオレを仲間として迎え入れたくてたまらないってことになっちゃうわけさ！」

その言葉を聞いた瞬間、部隊内の者たちの表情は一変した。狩人の異能、「嘘を現実にする」という能力が発動したかのように、その空気が一変したのだ。

狩人：「だから、ほら、オレが来たから大丈夫！みんな、オレを仲間にしてくれるでしょ？」

狩人の言葉が、まるで魔法のように響き渡る。その瞬間、部隊のメンバーは一斉に狩人を仲間として受け入れる気になった。彼の言葉に疑念の余地はない――嘘を現実にする能力が、確かに発動したのだ。

だが、問題がないわけではなかった。この事態にあっさりと受け入れられた部隊のメンバーたちは、その後すぐにその矛盾に気づき始める。狩人の能力が発動した後、あまりにも現実的に変化した世界が、その後の行動に矛盾を生み出していたのだ。

石動：「これは、ただの幻影だ。しかし、少なくとも今はこいつの力を利用しなければならない。」

石動は冷静に、狩人の能力を把握し、次の行動に備えようとした。だが、この予期せぬ事態により、狩り手本部はまるで新たな出発点に立ったかのように動き始めた。

狩人：「さあ、みんなで一緒に進もうぜ！オレが言うから、絶対に勝てるし！」

狩人の言葉は、まるで未来を切り開くような勢いで部隊を引っ張っていく。今や狩り手本部は、かつての冷徹な支配構造から一転、無邪気でポジティブなエネルギーが満ちた空間となった。だが、果たしてこれが本当に希望の兆しなのか、それともただの幻想に過ぎないのか――その答えは、次第に明らかになるだろう。