夢の中。
[だっせーw]
〈っ……〉
夢のはずなのに、
殴られた場所が鮮明に記憶に残っていて、
まるでたった今本当に殴られたのではないか、というくらいにヒリヒリする。
[なぁ、お前邪魔なんだけど]
[ほーんと、お荷物じゃんw]
〈ごめん…なさいっ…〉
ーーーーーー
パッと目が覚める。隣には当たり前のように眠るおんりー。
思った事を、無かったことにしたい。
眠るおんりーの顔を見つめる。これまでは余裕がなかったから気が付かなかったけれど、
あの子に凄く似ているな。
頭を撫でる。懐かしいなぁ、この感じ。
どこか懐かしさを感じてしまう。
ドンドンドン‼︎
ドアがノックされ、鍵が開く。
[居たぞ‼︎]
その声で囲まれる。
『なんで警察が…?』
[雪宮蒼、公務執行妨害と暴行罪の疑いが掛かっているんだ。だから、署まで来れるかな]
暴行罪…?人を殴った記憶なんてない。
『えっ…この人は暴行なんてしていません!』
必死に弁明するおんりー。
[…いや、おそらく暴行罪に触れる行為をしている。]
そう言って見せられた防犯カメラには、僕がそいつを殴っているのが映っていた。
え…?暴力?
記憶にないのだ。必死に思い出そうとするが、なにもない。
と言ったら嘘になるのかもしれない。
薄らとした記憶では、中年の男を殴った。
[君が暴行を振るったのは、星月莉杏、45歳だ。]
そう言って画像を出される。
『……』
さっと血の気が引いていく。これは…
これは、おんりーの父親だ。
ーーーーーー
莉杏は怒鳴る。
[…あの子の為に近づくんじゃねえ!]
何があの子の為、だ。
〈あんたはあの子の事を本当に愛した事はあるのか?無いくせに言うなよっ‼︎〉
殴ったら殴り返されたのは鮮明だ。
ーーーーーー
[というわけで、署まで来なさい。]
『離せよっ‼︎』
暴れて抵抗するおんりー。
[大丈夫だよ、落ち着いて。]
だが、あんなにも小柄な男子なんかが警察に勝てるわけがない。あっさり捕まった。
こちらは無言で捕まえられた。声も出ない。
パトカーに乗せられる。
おんりーとは、離れ離れになってしまった。
取調べ室に入れられる。鉄パイプの硬い椅子に座って俯く。
[一緒にいた少年は星月莉音、13歳で間違い無いね?]
星月、莉音。
その響きに既視感を 覚える。
[今、彼は児童相談所で保護されているよ。]
[あの子は昔親から虐待を受けていたからなぁ…可哀想に。]
その言葉に苛立ちを覚える。また俯く。
警察官はあからさまなため息をついた。
残り2日。
コメント
3件
神作を発見しました! 直ちにハート連打を行います! ((꜆꜄ ˙꒳˙)꜆꜄꜆オラァァァァァ!