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宇宙の君(そらのきみ)

9 - 警察と罪(けいさつとつみ)

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2024年05月16日

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夢の中。

[だっせーw]

〈っ……〉

夢のはずなのに、

殴られた場所が鮮明に記憶に残っていて、

まるでたった今本当に殴られたのではないか、というくらいにヒリヒリする。

[なぁ、お前邪魔なんだけど]

[ほーんと、お荷物じゃんw]

〈ごめん…なさいっ…〉

ーーーーーー

パッと目が覚める。隣には当たり前のように眠るおんりー。

思った事を、無かったことにしたい。

眠るおんりーの顔を見つめる。これまでは余裕がなかったから気が付かなかったけれど、

あの子に凄く似ているな。

頭を撫でる。懐かしいなぁ、この感じ。

どこか懐かしさを感じてしまう。

ドンドンドン‼︎

ドアがノックされ、鍵が開く。

[居たぞ‼︎]

その声で囲まれる。

『なんで警察が…?』

[雪宮蒼、公務執行妨害と暴行罪の疑いが掛かっているんだ。だから、署まで来れるかな]

暴行罪…?人を殴った記憶なんてない。

『えっ…この人は暴行なんてしていません!』

必死に弁明するおんりー。

[…いや、おそらく暴行罪に触れる行為をしている。]

そう言って見せられた防犯カメラには、僕がそいつを殴っているのが映っていた。

え…?暴力?

記憶にないのだ。必死に思い出そうとするが、なにもない。

と言ったら嘘になるのかもしれない。

薄らとした記憶では、中年の男を殴った。

[君が暴行を振るったのは、星月莉杏、45歳だ。]

そう言って画像を出される。

『……』

さっと血の気が引いていく。これは…

これは、おんりーの父親だ。

ーーーーーー

莉杏は怒鳴る。

[…あの子の為に近づくんじゃねえ!]

何があの子の為、だ。

〈あんたはあの子の事を本当に愛した事はあるのか?無いくせに言うなよっ‼︎〉

殴ったら殴り返されたのは鮮明だ。

ーーーーーー

[というわけで、署まで来なさい。]

『離せよっ‼︎』

暴れて抵抗するおんりー。

[大丈夫だよ、落ち着いて。]

だが、あんなにも小柄な男子なんかが警察に勝てるわけがない。あっさり捕まった。

こちらは無言で捕まえられた。声も出ない。

パトカーに乗せられる。

おんりーとは、離れ離れになってしまった。

取調べ室に入れられる。鉄パイプの硬い椅子に座って俯く。

[一緒にいた少年は星月莉音、13歳で間違い無いね?]

星月、莉音。

その響きに既視感を 覚える。

[今、彼は児童相談所で保護されているよ。]

[あの子は昔親から虐待を受けていたからなぁ…可哀想に。]

その言葉に苛立ちを覚える。また俯く。

警察官はあからさまなため息をついた。


残り2日。

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