TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
宇宙の君(そらのきみ)

一覧ページ

「宇宙の君(そらのきみ)」のメインビジュアル

宇宙の君(そらのきみ)

10 - 僅かな時間(わずかなじかん)

♥

101

2024年05月28日

シェアするシェアする
報告する

〈莉音‼︎一緒に遊ぼ!〉

〈莉音‼︎絵描いたんよ、見せるわ!〉

〈莉音‼︎歌歌うで!〉

〈り…おん?〉

『蒼くん…ばいばい…』

痣だらけ、傷だらけの君は、親に手を引かれ、何処かに消えてしまった。

いやだ、行かないでよ。

ねぇ…なんで行っちゃうの…

昔の自分が、泣き叫んでいる。

ーーーーーー

はっと、目が覚めた。

夢から覚めれば其処は閑静な住宅街でも、新宿のおんりーの家でもない。

取調室で寝落ちたのか…

警察官が話し合っている。

実際に僕は暴行を払ったし、公務執行妨害でもある。

でも僕は間違っていない。そう。この行動は正しかった、と自分に言い聞かせる。

薄暗い取調室で、ただただ自分を説得させる。

あの父親を殴らなければおんりーが身の危険に晒されていた。

そうだ、あと1日。どうしよう。

[…君は、大阪に帰ろう。]

心の中の何かが漏れ出てくるのを堪える為に、グッと呑み込む。

〈おんりーは⁉︎〉

[おんりー?誰だ?]

〈ぇ…〉

出よう。出ないと。本能的に感じる。

硬い廊下を、全力で駆け抜ける。職員達の視線を感じながら。

外に逃げ出す。どうしよう、どうしよう。

沢山の雨粒がアスファルトで舗装された道路に打ち付ける。

自分の息が上がっていく。 指先が冷えていく。心拍数が上がる。髪の毛が湿る。

いつもなら普通の事なのに、気にしてしまう。

この雨粒のせいでおんりーが消えていたら。考えすぎ、かもだけれど。

でも。

[おんりー?誰だ?]

あの言葉が走っても走っても振り払えない。心配事は風船のように膨らむ。

背後から聞き覚えのある声が迫ってくる。

〔あ、蒼じゃん、久しぶりぃ〜〕

〈…桃弥兄⁉︎〉

バイクに乗った人が、こちらにくる。

この人は おおはらmenこと、大原桃弥だ。3つ歳上の先輩。

〔まさか蒼と東京で再会するとはw〕

〈…警察に追われてるんだっ‼︎〉

〔は?マジかよw〕

そう言ってバイクのブレーキをかけて、徐行しながらヘルメットを投げてくる。

〔何があったかは知らんけど、なんか困ってるんだろ?なら乗ってけ‼︎〕

ーーーーーー

〔おんりーだぁ?名前なんてしらねぇぞ?〕

〈わかんない…けど、絶対に、わかるはずなの‼︎〉

〔思い出してみろよ、これまでのこと。〕

おんりーの父親は、星月莉杏。

何か名前が関わっているかもしれない。

おんりーを並び替えると…んから始まるのはありえない…おりんもしっくりこない…

りおん…?莉音⁉︎

〈莉音っ⁉︎わかった、莉音だっ‼︎〉

〔あ、莉音?あいつの名前聞くの、かなり久しぶりだな…〕

でも、何処に…

〔児相なんじゃねぇの。でも、もう面会できる時間とか、過ぎているんじゃないのか?〕

時計は、18時半。もうそんな時間か。起きたのは14時くらいだったか。

〔…それに、何処にいるかなんてわからないだろ?〕

〈消えるかもなんだよ。おんりーが。〉

〔は?〕

〈嘘だって信じたいよ、僕も。〉

ーーーーーー

『嫌っ…離してっ…‼︎「お父さん」っ‼︎離してよ‼︎』

ーーーーーー

残り1日。

loading

この作品はいかがでしたか?

101

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚