「望、話さなきゃいけない事がある。」
「急にどうしたの?」
「もう君には会えない。」
「え?」
気が付けば望は泣いていた。
「何で…」
「単純に家の事情。」
「それなら…仕方ないよね。」
「私…」
望は言いかける。
「私、一月が…好きなの。世界で一番好…」
「分かった分かった。」
一月は望を抱きしめた。
「僕の、一縷の望みになってくれてありがとう。」
「本当は言わずに終わるつもりだったけど…僕も望が好きだよ。」
「だから望、生きて欲しい。」
「一月が居なくなったら昔と変わらないじゃん。」
「大丈夫。僕が居なくても大丈夫。望は、強いから。」
望は声を上げて泣いた。こんなに泣いたのは久々だった。
「これ、お守りに持っていて欲しい。」
右耳のピアスだった。
「分かった。一月にはこれを持っていて欲しい。」
銀色のネックレスだった。
「これで、大丈夫。」
望はそう言って一月の頬にキスをした。