しばらくすると、いつもの見慣れた顔が屋上のドアを開けた。
「おっす甲斐田ぁ〜」
「お邪魔します。」
それは、いつもと同じ少し遊ばせた髪にメッシュを入れ、瞳に閉じ込めた煌めきを放つ彼。
そして、藤色の髪の毛をした、最少年だがどこか大人びていて、でもどこか少年の好奇心が宿っている彼が居た。
「皆さん揃いましたね。かと言って、特にやることもないのですが…」
え、じゃあ何の為に僕のマンションの屋上に集まったの?なんて言いたかったが、僕は今は違うという空気を感じ取り、喉元でつっかえた言葉をそのまま飲み込んだ。
そして、最小年こと剣持が口を開く。
「そういえば、ここに来る前に近所のスーパーに寄ってアイスとビールを買ったんです。皆さん飲み食いしましょうよ。」
そう言った剣持に、僕は少し驚いた。彼が安易と「ビール」なんて言うから、一瞬高校生ではなく、大学生ぐらいに見えてしまった。
だがしかし、気を利かせて買ってきてくれたのはありがたい。いつもは生意気なのに、なんて思ったりしながら、加賀美さんと一緒に、まだ買ってきたばかりと言うのが伝わる冷たさのビールとアイスを受け取った。
「剣持さん、不破さん、ありがとうございます。」
「全然だいじょぶっすよ〜」
いつもふわふわしていて、本当につかみどころがない彼。本当に不破湊という名前に恥じない行動をしている。だが、たまに見せてくれる男気のある所に僕は惚れ、「アニキ」として慕う様になった。
「それじゃ、かんぱーい!!」
「かんぱーいー!」
僕が声を上げると、みんなもすかさず返してくれた。だが、剣持は未成年でお酒が飲めないため、コーラで乾杯してくれた。
「っぷはー!やっぱみんなで飲むビールは最高だわ!」
「そうですね。やっぱり一人で飲む時よりも全然美味しく感じます。」
「あっ、皆さん!アイス溶けちゃいますよ!」
「まぁ、僕はもう食べてるんで。」
「この生意気なガキがよぉ…」
「っはは!いつもの恨みですか?笑」
「こら、二人とも辞めなさい…」
小一時間前ぐらいまでは、ただ星の光だけが頼りで、僕一人だった暗い屋上が、ろふまお四人で集まると、一気に笑いに満ちていく。あぁ、そうだ、この感覚。僕はこの雰囲気が好きなんだ。みんなでくだらないことを話して、でもそれがどこか懐かしい気持ちになって、楽しくなる。そんなろふまおが、僕は大好きだ。