テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
しばらくして、夜も更けてきた。不破さんが急に、酔った勢いで僕に体重を預けてくるものだから、何事かと思い肩の方を見たら、すやすやと眠っている不破湊がいる。
全く、本当にしょうがない男だな。
とか思ったりしつつ、僕は不破さんを地べたに寝かせるわけにもいかないので、僕の肩で何か寝言のようなことを言っている不破さんを、体が預けられている状態にしておいた。
一瞬、上着を枕にしようとでも思ったが、それだと、そこにいる肩の不破湊を退かさなければならない。それは面倒くさいし、何よりこんな暑い夏の日にそのまま寝かせるわけにも、
と、僕なりの優しさで思ったのだ。
「社長、今回はウルトラマンしないんですか?笑」
剣持が社長に問いかけ、社長がこう言う。
「ちょっと剣持さん、あれを思い出させるのはやめて下さい…」
と、何か懺悔をしているような、とても悔やんでいるような加賀美ハヤトがいた。
不覚にも僕は笑いそうになり、その所を見られたのか、
「甲斐田ぁ?」
と言われてしまった。
「す、…笑、すみません社長…笑」
「よし、後で酒一気飲みの刑な。」
「ひぃっ、」
やっぱりいつもの社長と変わらない。その様子を見て、今度は剣持が笑っていた。とても面白そうで、心底楽しそうだった。彼が楽しいならそれでいいか。という社長の安堵感が少し感じられ、そのおかげで僕は命拾いをした、また家のトイレの壁に身を任せるのはごめんだからね。
「不破さーん、いい加減起きてくださーい。」
「んぁ、?甲斐田…?」
「そうです。甲斐田です。」
「にゃはは〜すまんなぁ肩借りてたわ。」
「もぉ〜、ほんっとに重かったんですからね!ホストのくせに〜、」
「にゃはは〜」
何だろう、彼から謝罪の意思と誠意というものが全くもって感じられない。
まぁ、でもいつもの事だから。と、心の中で片付けていた。
全く、慣れっていうのは恐ろしいものだなぁ。
「そういや社長ともちさんどこいったん?」
「あぁ、それならトイレに行ってますよ。」
「なるほどなぁ、」
そのあとは、暫く2人っきりで、夏の星空を見上げていた。彼と見る星空は、社長と一緒に見た時とは、少し違う気がした。夜の街に照らされているかのように、星たちも一つ一つ輝きを放ち、そのどれもが光に溢れていた。その隣で、不破さんは何をしているのかは、星空だけが知っている。