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しばらくして、夜も更けてきた。不破さんが急に、酔った勢いで僕に体重を預けてくるものだから、何事かと思い肩の方を見たら、すやすやと眠っている不破湊がいる。

全く、本当にしょうがない男だな。

とか思ったりしつつ、僕は不破さんを地べたに寝かせるわけにもいかないので、僕の肩で何か寝言のようなことを言っている不破さんを、体が預けられている状態にしておいた。

一瞬、上着を枕にしようとでも思ったが、それだと、そこにいる肩の不破湊を退かさなければならない。それは面倒くさいし、何よりこんな暑い夏の日にそのまま寝かせるわけにも、

と、僕なりの優しさで思ったのだ。

「社長、今回はウルトラマンしないんですか?笑」

剣持が社長に問いかけ、社長がこう言う。

「ちょっと剣持さん、あれを思い出させるのはやめて下さい…」

と、何か懺悔をしているような、とても悔やんでいるような加賀美ハヤトがいた。

不覚にも僕は笑いそうになり、その所を見られたのか、

「甲斐田ぁ?」

と言われてしまった。

「す、…笑、すみません社長…笑」

「よし、後で酒一気飲みの刑な。」

「ひぃっ、」

やっぱりいつもの社長と変わらない。その様子を見て、今度は剣持が笑っていた。とても面白そうで、心底楽しそうだった。彼が楽しいならそれでいいか。という社長の安堵感が少し感じられ、そのおかげで僕は命拾いをした、また家のトイレの壁に身を任せるのはごめんだからね。




「不破さーん、いい加減起きてくださーい。」

「んぁ、?甲斐田…?」

「そうです。甲斐田です。」

「にゃはは〜すまんなぁ肩借りてたわ。」

「もぉ〜、ほんっとに重かったんですからね!ホストのくせに〜、」

「にゃはは〜」


何だろう、彼から謝罪の意思と誠意というものが全くもって感じられない。


まぁ、でもいつもの事だから。と、心の中で片付けていた。

全く、慣れっていうのは恐ろしいものだなぁ。


「そういや社長ともちさんどこいったん?」

「あぁ、それならトイレに行ってますよ。」

「なるほどなぁ、」


そのあとは、暫く2人っきりで、夏の星空を見上げていた。彼と見る星空は、社長と一緒に見た時とは、少し違う気がした。夜の街に照らされているかのように、星たちも一つ一つ輝きを放ち、そのどれもが光に溢れていた。その隣で、不破さんは何をしているのかは、星空だけが知っている。

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