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西原衣都
935
宇津Q
1,229
鷹槻れん@コノカレコミカライズ

23,566
#シークレットベビー
クレーンゲームを楽しんだ後、三人はゲームセンターの中をぶらぶらと見て回った。
メダルゲームや音楽ゲームを眺めながら歩き、ひと通り見終えると今度はおもちゃ売り場へ向かうことに。
その途中、子供服売り場の前を通りかかった時だった。
並んでいるワンピースやTシャツに視線を向けた和葉の様子に湊が気づき、
「和葉、俺が詩音ちゃんを見てるから、少し自由に見てきていいよ」
気を使ってそう声を掛けると、思いがけない申し出に和葉は小さく首を横に振った。
「でも、悪いから……」
「気にしなくていいって。詩音ちゃんと一緒だと、ゆっくり見られないことも多いだろ?」
そう言って優しく笑うと湊はしゃがみ込んで詩音と目線を合わせた。
「詩音ちゃん。ママはお買い物しに行くから少しだけ俺と二人になるけど、いいかな?」
「うん!しおん、おにーちゃんといる!」
迷いなく頷く詩音に湊も嬉しそうに笑みを返す。
「ほらな、大丈夫だから行ってきな」
そこまで言われると断る理由がなくなり、和葉は少し困ったように笑った。
「……ありがとう。それじゃあ少しだけお願いしてもいい?」
「任せて」
こうして和葉は暫く別行動を取ることになった。
早速子供服売り場へ来ると詩音に似合いそうな洋服を一着ずつ手に取り、サイズや値札を確認しながら見て回る。
ちょうどセール中だったこともあり、普段使いできそうな服を何着か選んで購入。
その後は生活用品売り場へ足を運び、前から買い足したいと思っていた日用品なども購入する。
詩音と一緒ではなかなかゆっくり見られない売り場を自分のペースで歩ける時間は思っていた以上にありがたかった。
そして一通り買い物を終えた和葉は急いでおもちゃ売り場へ向かう。
すると、和葉に気づいた詩音がぱっと表情を明るくした。
「ママ!」
駆け寄ってきた詩音は大切そうに着せ替え人形の箱を胸に抱えている。
「詩音、そのお人形さんは?」
「えへへ! おにーちゃんがかってくれた!」
そう言って嬉しそうに笑う詩音の後ろから湊がゆっくり歩いて来て、片手には紙袋、もう片方の手にはゲームセンターで取ったぬいぐるみが抱えられていた。
「湊さん、この人形……」
「ああ、詩音ちゃんが欲しそうにしてて、聞いたら友達は皆持ってて一緒に遊べないって嘆いてたから……つい。ごめん、余計なことしたかな?」
「……そんなことは、無いけど……その紙袋ってまさか、この人形の小物とか?」
「ああ、店員に聞いたら服とかも一緒に購入する方が良いみたいだったから」
「ごめんなさい、流石に悪いからお金は返すわ」
「いらない。これは詩音ちゃんへの俺の気持ちだから、返されたくない」
「気持ちは有難いけど、でも、申し訳ないよ……」
着せ替え人形自体は高くは無いものの、同時に小物なども揃えなくてはならないからなかなか手が出せなかった和葉。
欲しがる詩音には申し訳ないと思っていたので湊の気持ちは大いに有難いと思うも、やはり申し訳ない気持ちの方が大きかった。
コメント
1件
ああ、この話すごく良かった……! 湊さんの気遣いが自然で優しくて、しかも詩音ちゃんに人形を買ってあげるシーン、めちゃくちゃグッときたよ。和葉さんの「悪いな」っていう気持ちと湊さんの「返されたくない」っていう真っ直ぐな想いのバランスが絶妙だった。買い物の時間をもらえた和葉さんの描写もリアルで、子育て中の少しの自分の時間がありがたく感じられるの、分かるなあ。続きが気になる!