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恋というのは 、一度落ちてしまったら最後
どこまでも思いに浸ってしまうものだ
長い廊下を歩く中 、色々な記憶が蘇って来る
『喜八郎』
「…..立花せんぱぁい」
小さな身体の割に
大きな穴を掘る彼はまだ二年生で
作法委員会に所属して一年 。
そんな彼に 、私は一目惚れをしていた
その小さな身体に 、私のモノが入るのだろうか
どこが弱いのだろうとか汚い私が次々と現れて
それを隠すのに精一杯だった 。
そんな彼と相思相愛になれたのは
彼を思い続けて四年経った頃のこと
「立花せんぱい 、僕のこと好きですか?」
『…..なぜ 、聞くのだ?』
私は焦っていた 。
なぜ聞くのか 、もしや好い人でも出来たのか
その先のことまで考えていると どんどん己の心が
黒くどよめいていた 。
「….滝夜叉丸が 、僕のことを
立花せんぱいに参っているって言うんです 。」
『参る、』
「好きと言っていました 。」
『….なぜ 、そう言われたんだ?』
「….確か 、僕が先輩と居ると
心の臓が痛くて身体が熱いと言ったんですよね」
『….それは誠か、?』
「…?はい 、なので先輩はどう思いですか」
両思い 。その響きがなんとも嬉しくて
なんとも幸せな気持ちにしてくれていた 。
でも 、それじゃあいけないのだ 。
私は 、やらねばならない実践が控えていた
だから 、どれほど嬉しい答えであっても
自身の気持ちをしまわざるを得なかった 。
『どうって、私も好きだよ』
「…!それじゃあ」
『でも喜八郎 』
『ただ 、平に言われて
決めつけるのは違うんじゃないか??』
「….え」
『私だって 、お前を大切な後輩だと思ってる』
『それ以上も然り 。』
『でも 、私は..自分の気持ちに素直な喜八郎に
告白をされてみたいものだ 。』
別に 、焦らすつもりはなかった 。
ただそうすれば 、喜八郎は飽き性だから
いずれかは私から離れると思っていたから
「わかりました 。立花せんぱい」
『うむ 、言ってみろ』
「僕 、立花せんぱいに確りと好きと
伝えれるように精一杯がんばりまーす」
少し違うような 、なんなのかと考えているも
しかりとその場で約束を交わした
その後というもの 、
学園生活がより賑やかになった
「せんぱい」
『お 、喜八郎 。どうかしたか?』
「一緒にお昼ご飯を食べてください」
『おぉ、珍しいな 。行こうか』
「立花せんぱい」
『喜八郎 、委員会に来るのが早いじゃないか』
「先輩と沢山一緒にいたくてー」
「立花せんぱい」
「立花せーんぱーーい」
「せーんーぱーいーー」
「せんぱい!!!!」
「せんぱーい?」
「立花先輩っ…」
最後に聞いたお前の声は 、実にか細くて
今にも消えてしまいそうなそんな声であったな
いつだって私はそうだった 。
嬉しそうな喜八郎 、拗ねた喜八郎
悲しそうな 、泣き出しそうな喜八郎 。
そんな喜八郎を 、ただただ見て見ぬふりだった
身を引いていた 。
でも 、だからと言ってそれは
ヤツらに譲るという意味では全くもってない
だから 、もし .. 今から会う喜八郎が
私をどれだけ拒絶をして 、距離を取ろうとも
今度は 、二度とお前を離してはやれないだろう
色々な教室を見ても 、三人は見つからなかった
もしや 、自身の教室に戻ったのか 。
タカ丸や浜が一緒じゃなかっただからな
知らせに言っていることだろう 。
そう思い 、一年生の棟に向かうため
中庭に出たとき 、花壇の近くでしゃがむ影が見えた
長年見続けてきたあの愛しい後ろ姿 。
ウェーブがかったポニーテールを揺らし
膝よりもっと上のスカート丈は 、
いつも久々知に怒られていたな 。
そう思いながら 、彼女の項に流れる一雫に
私はひとつ息を飲んだ 。
『喜八郎』
再度 、名前を呼んでも彼女は振り向かない
前ならそんなことが無かったはずなのに
私のせいでこうも変わってしまったのか
なんて甲斐甲斐しく笑うと 、
ふと脳裏に綾という名前が浮かび 、名を呼んだ
「はぁい 、立花先輩」
その間延びた声は 、普段の喜八郎そのもので
ほかの者には分からないだろうが 、私には
コイツは今とても機嫌が良いのだな 。
なんて分かってしまう 。
そんな 、久方ぶりの姿に高ぶりすぎて
ついつい思いっきし抱きしめてしまった
喜八郎基 。綾は少しは困惑をしていたものの
おやまぁとひとつ零して私の背中に手を添えた
「….せんぱいの負けですねぇ」
そうだった 。以前の私は 、綾と勝負をしていた
簡潔に言えば 、どれだけ綾が
私にかかってきても私が決して相対せず
好きにならずに居られたら私の勝ちのはずだった
でも 、きっと前の私なら出来ていただろうけど
今の私にはなんとも不可能な事だった 。
『そんな事もあったな 。』
「先輩は僕がお嫌いなんでしょう?」
『…..あのときは 、』
「はいはい 、わかってますよー」
聞きたくないのか 、気まぐれか
心情は本人にしか分からないが 、ここは
空気を読んで流すのが一番だと長年の勘が働いた
数十秒の沈黙の後 、綾はまた口を開いた 。
「まぁ 、もう僕は先輩だけのモノじゃないですよ」
何を言うと思えば、そんなことを言うようになって
目を離した隙に 、随分と凶暴になったものだ 。
また躾が必要な飼い猫の頭をくりくりと撫で 、
ひとつだけ言葉を残し 、その日は帰った
『色んな所でしっぽを巻いたとて』
『お前は私のなのだ』
『最後は必ず主人の元へ帰ってくるだろう』
くすりと少し口角を上げて笑って 、去れば
後ろから拗ねた口調の声がくすぐったく聞こえる
___________________
「おぉーい綾ッ!!!
いい加減私と別々で寝てくれないか!?」
『んえぇ、?やだよ寒い』
「今夏なのに馬鹿言うなッ!!」
「滝夜叉丸、、貴様自慢か!?自慢だろう!?」
「ちょちょ三木ヱ門っ!?落ち着け!!
その手に持ってるライター捨てて!?」
「止めるな守一郎ッ 、こいつの女々しい触覚を
燃やし尽くしてやる!!!!!」
「はッ!やれるもんか!!
どうせ誤って自身の髪が焦げるオチだ!」
「そんな事するなら 、
オレがふたりを昔みたいに結っちゃうよ」
「 「 ごめんなさい!!!! 」 」
『……』
「あ 、綾じゃん!やっほ〜っ」
『おやまぁ 、尾浜せんぱーいっ』
「んんん!?!?なになに!?急に抱きついて…」
「は!?勘右衛門ずるいぞ!!」
『…..竹谷先輩興奮しないでください』
「やーいハチの発情期〜」
「うううううるさいッ!!!!!」
『ちがう 、尾浜先輩 .. お菓子持ってますね?』
「!」
「あっはは!!そうそう 、さっき貰ったんだ〜」
『!! 、グミですよね 。』
「当たり〜!はいどうぞ〜」
『…. 尾浜先輩だいすきです』
「うんうん俺も〜…….おぉ “ ッ !?」
「勘右衛門 、君をこのまま生かしてはおけないな」
「へへ、兵助….?」
「羨ましいな勘右衛門 、許せん」
「僕も 、喉飴なら持ち合わせてたけど、」
『喉飴はちょっと〜…』
「だよね 、よし勘右衛門 。あげるよ笑」
「ちょっと雷蔵近ずかないで!?」
「三郎も物騒だから!!!!」
「お前だけ好かれててずるいーーーー!!!!」
「ちょっ 、ガチで来んなハチッ!!!!!」
『あ 、ちょうちょ〜』
「わぷっ 、ごめん綾〜ッ…前見てなかった汗」
『いえいえ 、僕も前方不注意でした』
「今日はアリの巣掘り起こしてないんだね ?
あれ地味に躓いちゃってさ〜」
『不運は健在のようで何よりです』
「もー喜八郎ったら!!」
「綾は反省をしろっつーの」
『食満せんぱーーい』
「….急に飛び付いてくるな 。」
『今日もお使い 、お供してください』
「はぁ 、これが最後だからな??」
『食満せんぱいも大好きでーす』
「なっ!?だだ、大好きっ….??」
「….留三郎 、なんかキョドりすぎてきもいよ」
「全くだな 、そんなんで一緒に使いとか
綾に何かあるんじゃねぇかと心配だなぁ?」
「何ッ!?うるさいぞ文次郎っ!!
お前は勇気が出なくて
綾とまともに話していないくせに!!!」
「は、はぁあ!?!んなわけなかろう!!」
『確かに先輩は話に入るものの 、
僕自身とは話を広げようとしてくれないです 。』
「ぐっ….それは、、」
「お前だって対して変わらんだろう 、文次郎」
「えぇい黙れィ!仙蔵!!!」
「今日はよく吠えるな」
「今日も愛いな 、喜八郎は」
『聞き飽きましたそれ』
「な 、私以外に言う輩が居るとでも?」
『全部貴方からの言葉ですけどー』
「くはは 、そうかそうか 。」
「綾ーーーー!!!!!」
『うわっ….七松先輩ッおろして!!』
「離さん!今日という今日は私の
筋トレの重りになってもらおうじゃないか!!」
『先輩はやいんですもん、いやですよぉ』
「えーい細かいことは気にするな!!」
「もそ…..」
「好きな子の嫌がることはしない 。」
「む!それもそうか!!」
「じゃあまた頼むとして!!綾!
一緒にお昼を食べに行くぞー!!」
『プリンがたべたいでーす』
「よしきた!では文次郎の奢りでいくぞー!!!」
「はぁあ!?ちょっと待てお前らッ!!!」
七松先輩に引っ張られるまま 、
廊下を駆け回っていき 、その後ろでは
残りの六年生や先程まで争っていた
四、五年生までもが着いてきていて 、
その後は全員で仲良く 、とまではいかないが
それはそれは楽しく食事をした
最初は 、誰が僕の近くでとか争っていたけど
何となく 、三木と滝と食べたくて使命をすれば
調子こいたふたりが自慢げな顔をしていたけど
放ってそのままみんなより一歩早くご飯を食べた
忍術学園の頃のような 、
それを遥かに超える楽しさや幸せなこの時間を
僕はまだ味わっていたいんだ
だから立花先輩
今度は 、貴方が苦労する番ですよ