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「じゃあ行こうか」
「うん」
結婚前なら、家族と一緒に行き、会場で待ち合わせするのだろうけど、すでに結婚しているので、お互いの両親とは別々に行く。
「私たちが一番だね」
「うん」
「あっ」洋平のご両親と弟さんが来られた。
「あ!」こっちこっちと手招きをする洋平。
「遠方からありがとうございます。本日は、よろしくお願いします」
「い〜え、こちらこそありがとう、楽しみに来たのよ」とお母様。
「うんうん、よろしくね〜」とお父様。
「よろしくお願いします」と弟さん。
すぐあとに、美優の両親も到着。
どうしても、参加したい!と、祖父も……
「美優〜」と、大きな声のお爺ちゃん。
「あ〜お爺ちゃん、ありがとうね〜」
「ありがとうございます」と、
すかさず挨拶する洋平。
入口前で、頭を下げあう、家族……
「どうぞ」と、中へ促される。
ホテル内にあるレストラン専用の個室。
顔合わせをしたい、と電話で相談。
大きなテーブルが並べられ、
間隔を空けて席が設けられている。
何やら、サイドテーブルに並べられている。
すでに結婚していることから、まずは洋平から挨拶。
そして、順序が逆になったことを陳謝し、
洋平のお父様よりご挨拶。
形ばかりの結納を交わしたいと……
「え?」結納に関しては、美優も知らなかった。
お父様、お母様の気遣いだ。
婚約指輪は、すでにいただいているので、
目録に書かれているだけ。
『結納金』とある。現金が包まれているもよう。
「結納無しで、良かったのに……」と、小声で洋平に言ったが、「大事なお嬢様だからそういうわけには、と両親が……」
「幾久しくし、お納めください」
と、お父様から、私の家族の方へ
「謹んでお受け致します」
と、父。
当然、美優は何も聞いていなかったので、唖然。
「すでに、美優さんからは、腕時計のお返しをいただいております」と、腕時計を見せる洋平。
「まあ、素敵〜」と、母2人。
──洋平、それ誕生日プレゼントじゃん!
「美優、指輪、見せて〜」と、母。
思わず、指に嵌めたまま芸能人の結婚会見のように
手を挙げて披露してしまった。
「まあ、とっても綺麗ね〜」と母。
「綺麗ですね〜」と、お母様、意気投合している。
──良かった
そして、家族の紹介。
両親、弟さんは、分かるが……
「あ〜ワシまでお邪魔してしまい、大変申し訳ありませんが、洋平くんとは会社でのお付き合いもありますので、ご両親ともご挨拶をしたく、厚かましく出向いたしだいであります。どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそ、お目にかかれて恐縮です。専務様にも総務部長様にも、洋平が大変お世話になっております。これからもどうぞよろしくお願い致します」
と、お父様。
料理が次々に運ばれて、それぞれに会話も弾み、
素敵な顔合わせとなった。
父は、「色んな物を買う支度金に使わせていただきなさい。と、結納金を渡してくれた」
「ありがとう」
そして、それぞれ帰路へ
「無事に終わって良かったね」
「あ〜ホッとした」
「お疲れ様、ありがとうね〜」
「お疲れ、こちらこそありがとう〜」
「結納金って、洋平が用意してくれたの?」
「実は、両親も半分出したい!って……」
「えーそうなんだ」
「じゃあ半分返さなきゃ」
「いや、もういいよ。腕時計もらったし……」
「あれは、誕プレでしょう?」
「いいの」
「う〜ん、じゃあ新しく何か買う時に使おう」
「うん。結婚式も諦めてないし……式だけでも、身内だけでしようって皆んな言ってただろ?」
「うん、そうだね。その時に使おうか……」
「うん、式場、探そう」
「うん」
「美優〜」
「ん?」
「それより、欲しい物があるんだけど……」
「何?」
「車買おうかなぁ〜」
「え? 今、私の車があるし、洋平は社用車にも乗ってるから、要らないんじゃないの?」
「美優の車は、美優のだし、社用車は会社のだから、遠方は行けないよ」
「そうだけど……いつ乗るの?」
「美優とデート」
「あ〜そ〜」
「俺、ずっと海外だったから、自分の車買えなかったし、やっと日本に帰って来れたから、自分の車が欲しい〜!」
「そうね〜」
「欲しい欲しい欲しい〜!」
──子どもか……
「ふふ、自分で買うなら問題ないんじゃない?」
「うん、自分で買う!」
「何買うの?」
「イイの?」
「イイよ」
「やった〜!」
──だから、子どもか!でも、可愛い〜♡
「Lサス」
「え? いきなり高価な物を……」
「ダメ?」
「いえ、どうぞご自由に……あなたのですから……」
「やった〜何色にしようかなぁ〜美優どれがイイ?」
「え? ちゃっかりカタログもらってんじゃん」
「うん、昨日もらってきた」
「準備万端じゃん」
「うんうん」
「あ、結納金のお返し、半分返そうか?」
「ううん、大丈夫!」
──この人は、いったいいくら貯め込んでるんだろう?まあ、アテにされるよりイイわ
車のカタログを見てる洋平は、
会社でバリバリ仕事を熟す上司の影は微塵もなく、
キラキラした目で、子どもがオモチャを選んでる時
みたいに、楽しそうで、見ているこっちまで笑顔になる。
しばらく、話に付き合ってあげた。
「楽しみだね」
「うん」
「ふふ」
結局、洋平は、ベッドでもずっと車の話をし、
──これは、早く買いに行かないと、しばらく続くな
美優は、そう思ったから……
「明日、車見に行く?」
「イイの?」
「そのつもりだったんでしょう?」
「うん! でも、美優疲れてるかなぁ? とか、式場の方が先かなぁ?とか……」
「ふふ、大丈夫よ。車屋さんのあと、時間があれば
式場を探そう」
「うん、分かった!ありがとう〜美優」チュッ
チュッチュッチュッチュッ
「う〜ん、また〜」
あちこちにキスをする洋平
「もう〜! するなら、ちゃんとして!」
「え? そっち? ハハハ」
「ふふ」
優しく熱いキスが落ちてきた……
「これで、よろしいでしょうか? 奥様」
「ふふ、もっと〜〜〜♡」
「はいはい♡喜んで」
長い夜が始まった……
翌日、洋平は又、早起きをして、子どものようにはしゃいでる。
なぜだろう、美優は母のような気持ちになる。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
美優の車を洋平が運転して向かう。
美優の車も、カッコイイハッチバックの車だ。
独身の時は、時々、友達と買い物やドライブに出かけていた。1人でも、ふらっとドライブへ。
「この車、乗ってくれて良かったのに……」
「うん、これもカッコイイけど、やっぱり、車は、男の憧れだから……」
「そうなんだ」
「なぁ〜美優」
「ん?」
「次のマンションか家って、まだすぐに買わないよなぁ?」
「うん、しばらくは……」
「じゃあ、ローン抱えるの嫌だし、全額払ってしまおうかなぁ〜」
「えー! すごいね〜」
──こんなお高い車を即金で! だから、あなたはいったいいくら貯め込んだのよ? 夫婦でも、まだ聞いていない
しばらく走って、到着。
目を輝かせて見ている。
「いらっしゃいませ」
スタッフの方が出て来られ、
「先日の……」
「あ、どうも……」
カタログを貰いに来た時の営業マンさんらしい。
私は、グレードなど全く分からないから、
ついて歩く。
色々説明を聞きながら、車を見せて貰っている。
カタログは、穴が開くほど見ていたから、
ある程度、候補を絞っていたようだ。
2種類で迷っていたようで、実際に見ているようだ。
「やっぱり、これかなぁ〜」
ニコニコしながら、楽しそう。
「あとは、色だなぁ〜」
「美優、パールホワイトとブラックどっちがいいと思う?」
「えー! どちらも素敵ね。まだ、若いからブラック、カッコよくてイイと思うけど……」
「だよなぁ、次は白にして、今回は黒かなぁ?」
──もう次も決まってるんだ……あは
「じゃあ、これのブラックで!」
「はい、ありがとうございます。では、細かい物は、中で……」と、案内された。
色んなオプションを付けると、なかなかの額!
サイン、した……
1ヶ月程で納車となるらしい。
案外、あっさり決まって、早く終わった。
スムーズ過ぎて、こちらの方がドキドキしたよ。
「良かったね」
「うん、楽しみ〜」
このあと、まさか……
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