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#タグ?あぁあいつは…良い奴だったよ
りい💚🖤
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さらだサン/ZENO nrkr
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平日の病院は静かだ。
特に僕の居る病棟のこの階には学生が多いらしく、お見舞いに来る人も基本学生なので尚更だ。
なのに…..
「…なんで先輩来たんですか…?」
「時間見てみなよ、もう17時」
「生徒会長なんですよね…?生徒会の仕事とかは…..」
「大丈夫、大丈夫、なんとかなるから」
ここのところ、目が覚めた翌日から毎日これだ。
正直ここまで通い詰められると、こちらからしても良い迷惑なのだが…
当の本人は医師や看護師さんからは何も注意されていないらしく、平気な顔をしてやって来る。
最初はきちんとノックをして入ってきていたが、今ではノック無しで入ってくるのが当たり前。
本当に生徒会長なのかも疑わしくなってきた。
「何してたの?」
「本読んでたんですよ、親が持ってきてくれて」
そう言い、本を閉じて伸びをする。
一日中こんなことをしていたら体がガチガチになりそうだ。
点滴を外され自由になった左手でベッドを押し、重い体を起こす。
「先輩暇ですよね?」
「散歩がてら自販機行きませんか」
病棟の外にある自販機まで歩いた。
外といっても裏口の横並びに設置されているだけだけど。
もう少し歩けば木陰にベンチが置いてあるが、外はあいにくの雨なので大人しく自販機の前で飲むことにする。
「雨だね〜」
「僕は雨好きですよ」
「へ〜、意外」
誰も居ない病室で雨音だけが響く時間、
僕はその時間をわりと気に入っている。
今日は気温が 低い上に雨も降っているから少し肌寒いが、不思議と嫌いではなかった。
「先輩は要らないんですか?」
「うん、僕は大丈夫」
「蒼井が飲んでるの見てる」
わざわざ言わなくてもいいと思うんだが…
冗談じゃなく、本当に見てくるもんだから飲みずらい。
「…蒼井って紅茶好きなの?」
「え?まぁコーヒーよりは好きですけど」
正直飲み物なんてどれでもいいんだけど、コーヒーよりは紅茶の方が好きだった。
「苦いの好きじゃないの?」
「甘い方が好きですね」
「あんまり甘すぎても嫌ですけど」
「へ〜、覚えとこ」
こんな他愛無い話にも目をきらきらさせて楽しそうにする先輩を見るのが好きだった。
何がそんなに楽しいのかは知らないが、僕の返す言葉ひとつひとつに反応するもんだから、こっちが見てて面白い。
先輩が帰った後、ふと思い出したようにスマホを手に取った。
スマホのパスワードは自分の誕生日。
前に試した時それで開いたのだ。
変に複雑なパスワードじゃなくて安心した。
記憶を無くす前のことがわかるんじゃないかと思い、 前にメッセージ記録を確認したが、三人が言っていた事とほとんど変わらなかった。
(写真ってまだ見てなかったよな…..)
写真を見ただけで何か変わるのかと言われれば、変わらないような気もするが…
期待は小さいが、画面を操作し写真フォルダを開く。
そこに映し出されたのは、想像していたものとは少し違っていた。
電柱と電線の後ろに映る、群青に染まった空と西陽に照らされた雲の夕焼けの写真
ブロック壁の上で寝ている猫の写真
一人の時に撮った写真だろうか。
他にも景色の写真や、何気ない日常を切り取った写真がたくさんあった。
それ以外は赤根さんの写真がほとんどだが…..
みんなが語る昔の蒼井茜
どれもバラバラで僕の中では上手く結び付かないが、人は誰もがいくつもの仮面を被っている。
だから、きっとどれも嘘じゃない。
全部本当の僕だ。
じゃあ一人の時は…?
仮面を被る必要のない一人の時、その時の僕はどんな人間だったんだろう。
僕しか知らなかった蒼井茜を僕はもう知らない。
もしかしたら、仮面の下の僕のことは、もう誰にもわからないのかもしれない。
もしそうなら、僕は一体誰になればいいんだろう。