千空と出会ってから、私の「ひとりぼっちの世界」は終わった
静かだった森の中に、ツッコミと理系ワードが増えた気がする
千空が言うには” 文明の再建 “には順番があるらしい
まず必要なのは「火」
私と千空は、木をクルクルと擦って火を起こそうとしたが…
千空が何度も試行錯誤してるのを見て、
「やらせて!」と挑戦してみたけど、
数分後には手が真っ赤になってギブアップ
でもそのあと、 無言で石を集めはじめたかと思うと、
今度は砕き始めた
『なーに?それ』
千空「擦っても俺らの力じゃ100億%火が起こせねぇ、
だから、” 火を起こす道具 “を作る」
千空「そのために石器作ってんだ」
『へぇ…!私もやってみても、いい?』
千空「ったりめぇだろ、仲間が多い方が効率いい」
私は近くの石を拾い、恐る恐る叩いてみた
__パキン
『アッッッ…』
……粉々になった
『あっれぇ!?強すぎた!?こなっごなになったんだけど!!』
千空「角度が悪ぃんだろ、つか…どんだけ馬鹿力なんだてめぇ…ゴリラかよ…(引」
『ひどい!私女の子なのに!!』
何度も失敗して、指先が少し痛くなってきたころ
ようやく、ぱきっと綺麗に欠けた断面ができた
『……できた!』
千空「おー…いいじゃねぇか、慣れりゃ悪くねぇな」
ちょっとだけ褒められた気がして、
胸の奥がぽっとあたたかくなった
はじめて、ひていされなかった
| ツ ル ピ カ 猿 た ち は 石 器 を 手 に 入 れ た ! ! |
石器を作ったあと
次に動いたと思ったら、今度は森の奥で何かを集め始めた
『またなんか作るの?』
千空「植物の繊維から” 紐 “をつくる 」
『へぇ~、それってなにに使うの?』
千空「摩擦で火を起こすための仕組みだ
紐を回して、回転の力で木を擦る」
千空は手際よく草を裂き、繊維を細くねじっていく
指先でぎゅっ、ぎゅっと、均一に力をかけながら
『ツルとかじゃだめなの?』
千空「強度が足りねぇな、すぐ切れる 」
『確かに…?難しいね…そんなことも考えなきゃならんのか…』
紐と枝、板を組み合わせて、
あっという間に” 弓切り火起こし “が完成した
千空は紐を弓に張り、棒を固定して回し始める
ギュッ、ギュッと音がして、木の先端から煙が上がった
千空「セルロースが出すガスの酸化による発熱…これが” 燃焼 “だ」
『……すご……ほんとに火ついた……!』
小さな炎が板の上に宿った
オレンジ色の光が、森の暗がりをほんの少しだけ照らす
私はその光を、ただ息をのんで見つめた
その小さな炎は、夜の闇よりも静かに、
私の心の奥を照らしていた
3700年、誰も灯さなかった” 人の火 “
あぁ、あたたかいな
| ツ ル ピ カ 猿 た ち は 炎 を 手 に 入 れ た ! ! |
それからの日々は、生きるための知恵が必要な連続であった
食料を探し、動物を罠で捕まえ、新しい道具を作り、寝床を整える
千空は理屈で、私は感覚で、少しずつ” 生きる “を覚えていった
そしてある日
ようやく千空は草の繊維を編み、服を作り上げた
__これにて、ツルピカ猿から人間へと進化!!
『おめでとう千空!人類復活第一号!!』
千空「うるせぇ、」
でも、そんなやりとりの向こうで、
火が揺れて笑っているように見えた
火のそばには食べ物があり、
屋根の下には眠る時間がある
そして隣には、話しかければ返ってくる声があった
私には必要ないものばかりだけどね
| 衣 食 住 を 手 に 入 れ た ! ! |
季節がゆっくり変わる頃、
ゆうはずっと気になっていたことを口にする
『どうして千空は、3700年も経ったって正確にわかったの?』
千空の答えは簡単だった
” 数えてたからだ “
石の中で、意識を保ったまま、秒を、日を、月を、
ひたすら数え続けていたという
ゆうはその話を聞いて、
『この人人間なのかな…?』とつぶやく
私の声が聞こえてたのか千空は
千空「お前だけには言われたくねぇ… 」
と言ってきた、
そっか、私も3700年何故か生きていたもんね
それから半年
二人は火と簡単な道具を手に入れ、
少しだけ” 生きている “世界を取り戻していた
そんなある日、
森の奥から、かすかな“ パキッ ”という音がした気がした
風の音と混ざって、本当に鳴ったのかどうかも分からない
気のせいかもしれない
でも、胸の奥が不思議と高鳴った
『……?』
“ 誰かが帰ってくる気がした ”
主です。 話長くってすいません。
最後まで見てくれてありがとうございます。
これでもう私たちは彼氏彼女ですね(?)
語彙ないのですごーくわかりにくいと思いますほんとすいません。
間違いがあったら指摘ください。今すぐにでも直すので()
コメント
3件

続きが楽しみです!

続きが楽しみです!