“ 私 の 初 恋 は 寒 い 冬 で し た “
et「 さ っ む …
東京世田谷区。
北海道から東京へ上京してきて、五年。
北海道に住んでいたので、寒さには慣れていたけれど、
最近は、寒さに耐えれなくなっていった。
今夜の冬の街は、
まだクリスマスの余韻を残している。
イルミネーションがきらめいて、
カップルたちの笑い声が聞こえる。
私はひとりで、
小さなカフェに腰を下ろしていた。
手の中のコーヒーはとても暖かいのに、飲み干す気にもなれない。
ふと、
店内のスピーカーから流れてきた曲に、心臓が跳ねた。
___ ♪ You are always gonna be my love…
あまりにも有名な、あのメロディ。
First love.
何度も耳にしてきたはずなのに、
今夜ほど胸に突き刺さることはなかった。
まるで誰かが私の心を暴いているみたいに、
歌詞のひとつひとつが痛いほど響く。
et「 … や め て よ 。
小さく呟いても、曲は止まらない。
私は慌てて視線を落とし、
スマホを見つめた。
通知は来ていない。
そりゃそうだ。
彼からメッセージが届くことなんて、もう二度とないのだから。
ya___.
私の初恋であり、
最初で最後の人。
ur「 あ れ 、e t さ ん ?
不意に名前を呼ばれて、顔を上げる。
そこに立っていたのは、
幼馴染のurだった。
いつぶりだろうか。
私の背など追い越して、どこか大人っぽくなっていて。
昔の私にとっては「隣にいるのが当たり前」みたいな存在だったのに。
ur「 久 し ぶ り 笑
et「 … u r !?
ど う し て こ こ に …
ur「e t さ ん こ そ 。
ur「 こ ん な 寒 い 夜 に
一 人 で カ フ ェ な ん か に 座 り 込 ん で 。
et「 … た だ 、帰 り た く な か っ た の 。
私の返事に、
urは黙って向かいの席に座った。
店員にホットティーを注文してから、
じっと私を見つめる。視線が痛い。
ur「 も し か し て さ 。
ur「 ま た 思 い 出 し て る の ?
ur「 … y a の こ と 。
et「 … う ん 。
否定できなかった。
むしろ、そうじゃない夜なんてない。
忘れたいのに、忘れられない。
忘れようとするほど、彼の笑顔や声が鮮やかに蘇ってしまう。
窓の外には、幸せそうな二人組が通り過ぎていく。
笑い合う横顔を見ていると、あの頃の私たちが重なってしまう。
ur「 … 前 に 進 ん だ ほ う が い い っ て 。
urの声が、現実に引き戻す。
et「 そ ん な の 、わ か っ て る よ 。
ur「 じ ゃ あ な ん で ___
et「 だ っ て … 無 理 だ も ん 。
声が震えた。
わかってる。
彼にはもう新しい恋人がいる。
風の噂で聞いた。
それでも心は、どうしても置き去りのまま。
et「 私 ね 、
あ の と き 引 き 止 め れ ば よ か っ た の か な 。
ur「 …
et「 “ 気 に な る 人 が い る ” っ て 、そ う 言 わ れ た と き 。
et「 笑 っ て “ そ っ か ” な ん て 言 わ な き ゃ よ か っ た 。
et「 … 本 当 は 泣 き な が ら で も ___
et「 彼 の 手 を 離 し た く な か っ た の に 。
テーブルの上に置いた手が、小さく震えた。
urはそれを見て、何も言わなかった。
ただ、ホットティーが届くとゆっくり差し出してくれる。
ur「 冷 め た コ ー ヒ ー じ ゃ 、
余 計 寒 く な る よ 。
et「 … あ り が と 。
湯気の立つカップを両手で包む。
じんわりと指先が温まっていくのに、
心の奥はどうしようもなく冷たいままだった。
窓の外、吐く息が白く漂う。
あの冬の日と同じ景色の中にいるのに、隣にはもうyaはいない。
___私はまだ、あの人の声を探してる。
et「 ね え 、u r 。
ur「 ん ?
et「 私 の 初 恋 は 、
ま だ 終 わ っ て な い の か も し れ な い 。
そう言った瞬間、頬を伝う涙に気づいた。
拭おうとしたけれど間に合わなくて、ぽとりとテーブルに落ちる。
urはため息をつき、
ポケットからハンカチを差し出した。
ur「 泣 い て る く せ に 、
“ 終 わ っ て な い ” な ん て 強 が る な 。
ur「 … e t さ ん の 初 恋 は 、
き っ と ず っ と 終 わ ら な い ん だ ろ う し 。
その言葉に胸が詰まった。
初恋が終わらない___
それは呪いのようで、でもどこか救いでもあった。
カフェを出ると、夜風が頬を刺した。
空を見上げれば、三日月が浮かんでいる。
手を伸ばしても届かない光みたいに、
ya君もまた遠い存在になってしまった。
それでも私は、まだ彼を想っている。
誰にも奪えない、私だけの初恋として。
___ ♪ You will always be inside my heart…
再び曲のフレーズが頭をよぎった。
私は思わず口の中で小さくなぞる。
et「 … You are always gonna be my love .
あの暖かい初恋の思い出が。
私の頭に蘇った。
コメント
7件
参加ありがと‼️ 表現の仕方がめちゃくちゃ好き!!🩷 続きも楽しみ…!💖🫣
やったー‼️1コメかな ... ? 切ない恋すぎてetさんが心配だ...報われることを願ってます🥹 お願いは新作だしてほしいです🙏🏻無理だったら全然大丈夫です!